FP・識者の保険コラムExpart Column

ウーバーイーツに欠けた社会的意識。配達員が起こした自転車事故にウーバーイーツは責任を持つべき。

ウーバーイーツの配達員が女性にぶつかる事故を起こし、250万円の損害賠償請求の訴えを受けていることが報道されました。
事故は大阪で2018年に起こり、配達員がスマートフォンの画面を見ながら自転車で走行していたため、女性に気づかず衝突してしまったとのことです。

スマートフォンの画面を見ていたということは配達依頼を探していたと思われ、配達外で起きた事故になります。
ウーバーイーツは配達員向けに独自の補償制度を用意していますが、適用されるのは配達中のみで、依頼を受ける前の待機時間は補償対象としておりません

■ 参考記事
ウーバーイーツ配達員向けの補償制度、足りない補償が社会問題に。

ウーバーイーツに限らず、自転車による事故は近年多発しており、大きなケガや障害を負わせてしまえば数千万円もの賠償金支払いが求められることもあります。
もしこの配達員の方が自転車保険に加入していないのであれば、あまりにリスク管理がなってなかったと言わざるを得ないでしょう。

ウーバーイーツ本部に欠けている当事者意識

また、ウーバーイーツ側の姿勢にも大きな疑問を感じます。
「配達員は個人事業主なので雇用関係はなく、業務委託の契約も結んでいない」とコメントし、配達員が起こした事故にウーバーイーツ本部に責任はないと主張していますが、配達員はウーバーイーツの看板を背負って配達依頼を受けているのであって、それを許可している以上、責任がないとは言えないでしょう。

また、さきほど書いた独自の補償制度の運用にも多くの配達員が疑問を投げかけています。
事故を起こしてしまって補償制度を利用しようとすると、ウーバーイーツ本部から配達員アカウントを削除されてしまうことがあり、そうなると今後配達をすることが出来なくなってしまうのです

https://twitter.com/kurohikosan/status/1150055410776203264

そのため事故を起こしても補償制度を利用できず、配達員が自腹で補償するか、最悪の場合配達員がその場から逃げてしまうことも懸念されています。

これではいったい何のための補償制度なのか分かりません。
被害者が泣き寝入りしないことを前提に、社会的・道義的責任を考え、誠意ある対応を取っていただきたいものです。

木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
独立後は株式会社ウィズハートの代表として、保険相談サイト「保険ウィズ」や、FP相談サイトを開設。

損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、特に個人・企業向けの賠償責任保険に精通。
現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。