FP・識者の保険コラムExpart Column

高齢者層に増える介護保険料滞納

厚生労働省の調査で、介護保険料の滞納のために資産の差し押さえ処分を受けた65歳以上の高齢者が1万人を超えたことがわかりました。
これはとても由々しき問題だと思います。

介護保険制度が始まってから14年の間に介護保険料自体が1.7倍に増えており、加入者の負担額が大きくなっていることも一因ではあると思いますが、収入の伸び悩み、実質的には収入減少となっていることも大きいと思います。
生活費に関しても値上げになっている商品も多く、また、消費税が5%から8%になったこともあり、家計が苦しくなったと言う声を多く聞きます。

高齢者が増加しそれに伴い介護保険利用者が増えれば、当然、介護保険料を増やしていかないことには財政的に厳しいことはわかります。
65歳以上の介護保険料は3年毎に改定されますが、今後、ますます増額となることも予想されます。

しかし、消費税はいずれ10%に引き上げられることを考えても、国民年金がいくら物価スライドすると言っても十分に受取額が増えるとは思えませんし、ますます介護年金保険料を支払えない高齢者が多くなるのではないでしょうか。

働けない高齢者、収入の増えない若者

高齢者の貧困化が問題にもなっています。
年金だけでは生活できない人も多く、元気で働いて収入が得られれば救われますが、高齢者の就業は厳しいのが現実です。
今の高齢者でもこの状態であることを考えると、収入が右肩上がりで増えて行かない上に、低金利時代の今を生きる若者が高齢者になる時代のことを考えると恐ろしくも感じます。

誰もが安心して老後生活を送ることができる制度を、介護保険だけではなく年金も含めてトータル的に見直す必要があるのかもしれません。
私達自身も、健康維持に努め、年金以外の収入を得られる手立てを考えるなり、貯蓄などをするなりして、将来に備えることも大切です。

人は平等に年を取って行きます。決して他人事だとは考えないで、自分の親、自分自身、子供の今や将来を見据えてライフプランをしっかり立てることがこれまで以上に大切になってきていますね。