会社で起こるセクハラ行為と雇用者として取るべき対策
セクシュアルハラスメント(セクハラ)は企業にとって重大なトラブルのひとつです。
従業員は企業の対応の仕方によって、企業がいざという時に寄り添ってくれるのかどうかを判断するので、経営者は迅速に行動することが求められます。
そこで、職場でセクハラが発覚した際の対処法と、実際に起こる可能性があるセクハラ行為について解説します。
会社がセクハラを看過できない理由
セクハラが起きると、当然ですが被害にあった従業員のケアを最優先しなくてはいけません。
万一、セクハラを見過ごすようなことがあれば、職場環境の悪化や企業の社会的な評判を落とすことにもなりかねないため、会社でセクハラが起きたら何をおいてもまず迅速に対応することが必要です。
セクハラ問題を放置すると、会社の評判が下がり業績や売り上げにも影響がでるだけでなく、職場の環境が悪くなり労働効率も低くなってしまいます。
環境の悪い場所を好んで働きたい人はいないでしょうから、優秀な人材ほど外部に流出していき、労働環境がさらに悪化してしまう可能性もあります。
また、従業員の心身にも影響があり、体調を崩す人がいないとも限りません。セクハラ問題を放置してもよいことはないと心得ましょう。
会社で起こり得るセクハラ行為
セクハラとは、厚生労働省によると、「職場において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されること」をいいます。
まずは、実際に起こる可能性があるセクハラのパターンを大きく2種類に分けて紹介します。会社で発覚したセクハラがどちらに該当するのかを確認してみてください。
明らかにセクハラと分かるパターン
例えば、性的な事実関係を尋ねたり、性的な冗談を言ってからかったり、食事やデートへ執拗に誘ったり、個人的な性的体験談を話したりという行為はセクハラに当たります。
具体的な発言例としては、
「胸が大きいけど、肩がこるんじゃない?」
「経験人数は?」
「これまで何人と付き合ってきたの?」
などが挙げられます。
ほかにも、性的な関係を強要したり、必要なく身体に触れたり、わいせつな図画を配布・掲示したりする行為もセクハラに当たります。
このように身体的な接触や性的な関心・質問をするのは明らかなセクハラ行為であり、このような行為によって、就業環境を不快に感じ、仕事の能力発揮に重大な悪影響が生じるものを、環境型セクシャルハラスメントといいます。
セクハラをした側が自覚をしにくいパターン
一方で、本人が自覚なくセクハラ行為をしている場合があります。
例えば「女(男)のくせに◯◯だ」というジェンダーに関わる発言、これは「男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである」といった性別に基づく役割意識に基づいたものですが、セクハラと気づきにくいかもしれません。
女性が上司・同僚からの交際を断ったら左遷・解雇された、セクハラだと主張したら雑用ばかり任されるようになったなどの不当な扱いもセクハラに当たります。
これらの行為にはパワハラの一面が含まれ明確に区別できないこともありますが、まさに「労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されること」に当たります。
特にセクハラに対し拒否や抵抗をしたことにより、従業員が不利益を受けるケースを対価型セクシャルハラスメントと言います。
具体的な不利益には、解雇、降格、減給される、労働契約の更新が拒否される、昇進・昇格の対象から除外される、客観的に見て不利益な配置転換をされるなどが挙げられます。
雇用者として取るべきセクハラ対策
会社で社員によるセクハラ行為が発覚したときの対策を講じているでしょうか。
事前対策と事後対策に分けて紹介していきます。
事前対策
まず、事前対策では、セクハラに対する会社の方針を明らかにしておきましょう。セクハラを禁止し、セクハラを行った者には厳重な処罰が下されることを従業員に周知しておきましょう。セクハラに対する厳しい態度を表明しておくことで予防効果が期待できます。
また、就業規則にもセクハラについて規定しておきましょう。セクハラを禁止するルールと処罰内容を就業規則に記載しておくことで、実際にセクハラが発覚した際に落ち着いて対応できます。
とはいえ、ルールを定めるだけでは発覚していないセクハラに対処することはできません。従業員を迅速に守れるように、安心して相談できる窓口を設置し、従業員に周知しておきましょう。また、被害相談の担当者には適切な対処ができるように教育しておくことも大切です。
セクハラに対する方針・就業規則によるセクハラ禁止の明文化、被害を相談できる窓口と理解がある担当者の設置、ハラスメント防止ポスターの掲示や研修等によるセクハラ防止の周知と啓蒙等まで講じて、ようやくセクハラの事前対策が完了します。
事後対策
セクハラが起きてしまった後の対策は、正確かつ速やかに行う必要があります。
まず、事実関係を確認することから始めます。被害者と加害者、その他関係者に事情を聞き、セクハラがあったのかどうかを把握します。セクハラの程度やその状況などを調査し、事案に応じた対策を打っていきます。
セクハラがあったことを確認した場合は、被害者への迅速な配慮が必要になります。例えば、加害者がこれ以上接触できないように自宅待機や異動、解雇措置などを取る方法があります。
対応が遅れると被害が広がったり再発したりする可能性があるので、毅然とした迅速な対応が求められます。
セクハラの加害者には、前述の通り被害者に接触できないように措置を取るほか、就業規則に則って処分を検討することになります。
また、一連の対策が終わったら再発防止策を立てましょう。セクハラは起こらないに越したことはありません。被害をむやみに増やさないためにも、事前対策の問題点などを再度検討して二度と起こらないように働きかけましょう。
セクハラ対策においては、被害者・加害者・関係者のプライバシーは保護するように努めましょう。
また、セクハラを告発したことで、会社に居づらくなるなどの懸念を感じる労働者もいます。被害者や協力者に不利益が生じることはないと、会社側から周知しておくことも大切です。
従業員がセクハラ訴訟を起こした場合の影響
セクハラ禁止を会社で周知し、事前対策や再発防止策を講じていても、解雇した従業員が会社や役員・管理職を訴えることがあります。また、セクハラ対策が十分でなかったとして、被害者が会社を訴えることもあります。
会社のセクハラ対策が十分でない場合はもちろん、防止策を講じていても被害者の従業員から訴訟されるリスクが経営者・会社側にはあるので注意が必要です。
まとめ
会社で起こるセクハラへの適切な対応方法と雇用者ができる対策について紹介しました。法律でセクハラ行為の防止策を講じることが定められているので、放置することは法的にも社会的にもよくありません。
また、セクハラを放置すると会社の評判や業績が落ちていくことも予想されます。セクハラの事前対策、万一発生した場合の再発防止策を万全に取り、働きやすい職場環境を作ることが大切です。
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