心筋梗塞の治療費はいくらかかる?利用できる公的制度と保険加入について解説


心筋梗塞とは、心臓に血液を送る冠動脈が血栓によって詰まり、心筋(心臓の筋肉)が壊死してしまう深刻な疾患です。
日本人の死亡原因の第2位である心疾患のなかでも、心筋梗塞は特に命に関わる危険性が高く、発症した場合は一刻を争う対応が必要となります。
令和5年(2023年)の厚生労働省「患者調査」によると、急性心筋梗塞の患者数は約7万5,000人、陳旧性心筋梗塞(過去に心筋梗塞を経験した方)は約25万5,000人にのぼります。
■出典:「令和5年患者調査 表番号 Z159総患者数,性・年齢階級(5歳) × 傷病小分類別」
また、令和4年(2022年)の人口動態統計では、急性心筋梗塞による年間死亡者数は約3万2,000人と報告されています。
■出典:「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況 第7表 死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)」 (PDF)
本記事では、心筋梗塞の概要から治療費、利用できる公的制度、保険加入について詳しく解説します。
この記事の目次
心筋梗塞の原因と症状
心筋梗塞は、冠動脈の動脈硬化が進行し、血管壁に蓄積したコレステロールなどの塊(プラーク)が破れて血栓ができることで発症します。
心筋梗塞の主な原因
心筋梗塞の根本的な原因は動脈硬化です。
動脈硬化を進行させる危険因子には以下のようなものがあります。
・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症(高コレステロール血症)
・喫煙
・肥満(メタボリックシンドローム)
・ストレス
・加齢
・心筋梗塞の家族歴
これらの危険因子が重なるほど、心筋梗塞の発症リスクは高まります。
特に喫煙は、心筋梗塞のリスクを2倍以上に高めるとされています。
心筋梗塞の症状
心筋梗塞の典型的な症状は、突然の激しい胸の痛みや圧迫感です。
痛みは「胸を鷲づかみにされたような」「押しつぶされるような」と表現されることが多く、30分以上続きます。
狭心症と異なり、安静にしても症状は治まりません。
その他の症状としては以下が挙げられます。
・冷や汗
・呼吸困難
・吐き気や嘔吐
・左肩、左腕、顎、背中への放散痛
・顔面蒼白
・めまいや失神
これらの症状が現れた場合は、迷わず救急車(119番)を呼んでください。
心筋の壊死は血流が止まってから約20分で始まるため、一刻も早い治療が生死を分けます。
心筋梗塞の治療方法と費用
心筋梗塞の治療は、詰まった血管を再開通させて血流を回復させることが最優先となります。
主な治療法にはカテーテル治療と冠動脈バイパス手術があります。
カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術・PCI)
カテーテル治療は、手首や太ももの付け根から細い管(カテーテル)を挿入し、詰まった血管をバルーンで広げ、ステントという金属の網状の筒を留置して血流を回復させる方法です。
局所麻酔で行えるため体への負担が少なく、入院期間は1〜2週間程度です。
現在、急性心筋梗塞の治療では最も一般的に行われている方法となっています。
1箇所の病変を治療した場合の医療費は約100万円前後で、3割負担の場合は約30万円となります。
冠動脈バイパス手術(CABG)
冠動脈バイパス手術は、詰まった血管を迂回するように新たな血管の通り道(バイパス)を作る外科手術です。
カテーテル治療が難しい複数箇所の狭窄がある場合や、重症例で選択されます。
全身麻酔が必要で、入院期間は2〜3週間程度かかります。
医療費の総額は約300万円程度となり、3割負担の場合は約100万円の支払いとなります。
退院後の心臓リハビリテーション
心筋梗塞の治療後は、心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)が重要です。
心臓リハビリは、運動療法を中心に食事指導、禁煙指導、服薬指導などを組み合わせた包括的なプログラムです。
保険適用期間は発症から150日間(約5か月)で、退院後は週1〜3回程度の通院リハビリが推奨されています。
心臓リハビリを継続することで、再発率の低下や死亡率の改善が期待できます。
心筋梗塞で利用できる公的制度
心筋梗塞の治療費は高額になりますが、様々な公的制度を活用することで経済的負担を軽減できます。
高額療養費制度
高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。
この制度を利用することで、実際の自己負担額は所得に応じて月額約3万5,000円〜約25万円程度に抑えることができます。
| 所得区分 (年収目安) | 自己負担限度額 |
|---|---|
| 年収約1,160万円以上 | 252,600円 + (総医療費 - 842,000円) × 1% |
| 年収約770万〜約1,160万円 | 167,400円 + (総医療費 - 558,000円) × 1% |
| 年収約370万〜約770万円 | 80,100円 + (総医療費 - 267,000円) × 1% |
| 年収約370万円未満 | 57,600円 |
| 住民税非課税世帯 | 35,400円 |
事前に「限度額適用認定証」を加入している健康保険に申請しておくと、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。
マイナ保険証を利用すれば、限度額適用認定証の申請手続きが不要となる場合もあります。
また、直近12か月間で3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目以降は「多数回該当」として自己負担限度額がさらに軽減されます。
傷病手当金
会社員や公務員の方が心筋梗塞で仕事を休み、給与が支払われない場合には、健康保険から傷病手当金を受け取ることができます。
支給額は、直近12か月の標準報酬月額の平均の3分の2相当額です。
支給期間は、同一の傷病について通算して1年6か月が限度となります。
連続して3日間休業した後、4日目以降の休業日から支給されます。
ただし、国民健康保険や後期高齢者医療制度には傷病手当金の制度がないため、自営業者などは対象外です。
障害年金
心筋梗塞の後遺症により日常生活や就労に支障がある場合、障害年金を受給できる可能性があります。
障害年金には障害基礎年金(1級・2級)と障害厚生年金(1級・2級・3級)があります。
心臓にペースメーカーや人工弁を装着した場合は、原則として3級以上に認定されます。ただし、障害基礎年金には3級がないため、初診日に国民年金に加入していた方(自営業者など)は、装着しただけでは受給できない場合があるため注意が必要です。
障害年金を受給するためには、初診日に公的年金に加入していること、保険料の納付要件を満たしていること、障害等級に該当することなどが要件になります。
詳しくはお近くの年金事務所にご相談ください。
医療費控除
1年間に支払った医療費が10万円(総所得金額が200万円未満の場合は所得の5%)を超えた場合、確定申告により所得控除を受けることができます。
対象となる費用は以下のとおりです。
・治療費、入院費
・処方薬の費用
・通院のための公共交通機関の交通費
・医師の処方による医療器具の購入費
高額療養費制度で払い戻しを受けた金額や、生命保険から受け取った入院給付金は、医療費控除の対象から差し引く必要があります。
控除額の上限は200万円で、確定申告を行うことで所得税と住民税が軽減されます。
心筋梗塞の方の保険加入について
心筋梗塞を経験した方は、通常の医療保険や生命保険への加入がかなり難しくなります。
しかし、保険への加入を諦める必要はありません。
引受基準緩和型の保険
引受基準緩和型保険は、告知項目が3〜5つ程度に限定されており、持病がある方でも加入しやすい保険です。
主な告知項目の例は以下のとおりです。
・過去3か月以内に医師から入院・手術をすすめられていないこと
・過去1〜2年以内に入院・手術をしていないこと
・がんや肝硬変などの特定の疾患で治療中でないこと
これらの項目すべてに該当しなければ、心筋梗塞の治療歴があっても申し込みが可能です。
持病の悪化による入院・手術も保障対象となります。
ただし、保険料は通常の保険より割増しされており、加入から1年間は給付金が半額になるなどの条件が付く場合があります。
がん保険
心筋梗塞などの心臓病があっても、がんの発症リスクが高まるわけではないため、がん保険には申し込みできる可能性が高くなります。
ただし、他に合併症や既往症がある場合は、引き受けできないこともあります。
保険加入時の注意点
保険に加入する際は、告知義務を正確に果たすことが重要です。
心筋梗塞の既往歴を隠して加入すると、告知義務違反となり、いざというときに保険金が支払われない可能性があります。
ご自身の状況でどのような保険に加入できるか、専門家に相談することをおすすめします。
弊社ウィズハートでは心筋梗塞でもご加入いただける保険がございますので、ご興味のある方はお気軽にお問合せください。
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