健康診断の高品質化が実現した保険会社への「診断結果提出」
経営者や自営業者の仲間に「健康診断受けた?」と聞くと、少なくとも半分の方からは「ここ何年も受けていない」という返事が返ってきます。
定期的な健康診断が課せられている会社員や学生ならともなく、健康診断が「義務」ではない人にはなかなか受診する敷居が高いものです。
そのため、生命保険に加入してはじめて「自分の体は病気になる可能性が高い」ことが判明する人もいます。これは同時に、保険金を支払う保険会社からはリスクが高いと見られることにつながります。
保険会社から見た、健康診断を受けていない保険加入者のリスク
保険金支払対象となる病気の多くは、「自覚」のあるものとないものに分かれます。
自覚のあるものは自発的に病院に行くためあまり問題ないのですが、リスクが高いのは後者です。
「自分は健康だ」と思ってる方が保険の加入手続きを進め、保険会社による問診も短時間で終わって加入も無事済んだが、いざ保険期間が始まるとすぐに病気が発覚するというケースが数多く報告され問題視されていました。
そこで、大手生保の第一生命保険が一計を案じ、健康診断の結果を提出した場合に保険料を下げる仕組みを提供開始しました。
保険料が割引になると加入者にとってもメリットがあるため、両得といえます。
保険加入者の「努力」で安くなる保険商品が今後続々増える
この流れはもともと損害保険会社で目立っていました。
その一例が地震保険です。保険に加入する建物の建築年(旧耐震・新耐震)、構造、国からの証明書(権利済証)の有無によって保険料が変わります。
また、自動車保険も車種や年式、事故歴(免許証の色」によって保険料が変わりました。
加入希望者の提出資料や背景による保険料の値引きは、損害保険では既に当たり前であり、ようやくその考え方が生命保険にも進出してきたといえるでしょう。
生命保険のこの分野においては、第一生命がリーディングカンパニーです。
ネット保険も存在感を示すなか、保険料の削減はユーザーファーストの視点からも有効な手立てとなります。
数年以内には、腕や首元にリング型の計測装置を設置し、血圧や脈拍などを自動計測し、その計測結果にピッタリと合う保険料が算定されるようになるかもしれません。
保険(Insurance)にテクノロジー(technology)をかけたこの動きはInsurtech(インシュアテック)と呼ばれ、2018年~2019年には大きなブレイクを迎えるといわれています。
今回の第一生命の「健康診断の結果の提出で保険料が安くなる」仕組みは、保険加入者が能動的にデータを出して保険料が変わる「新時代の保険の入り方」において大きな先例といえるでしょう。