高齢の親が「保険に入りたい」と言ったら?生命保険が有効になるケースと加入すべき保険。

株式会社ウィズハート
代表 木代晃輔

株式会社ウィズハート
代表 木代晃輔
株式会社ウィズハートの木代(きしろ)です。
弊社ではシニア向けの生命保険・医療保険を多く扱っており、シニア向け保険の記事を書いています。
高齢のご両親から
「生命保険に入りたい」や
「生命保険に入っておいたほうがいい?」
と相談されたら、子の立場としてはどのように考えたらよいでしょうか?
シニア世代に生命保険は必要なのか?
ご両親からこのような相談をされたときにまず考えるべきは、「生命保険がほんとうに必要なのか?」です。
例えば、預貯金などの金融資産が充分にあるという場合は、生命保険に新たに加入しておく必要性は低くなります。
万が一の時、どういった目的でどのくらいの死亡保険金額が必要なのか、ざっとでもよいので試算してみることが大切です。
生命保険に加入するメリットが大きい人
生命保険の必要性が高い人、つまり生命保険に加入しておいた方がいい人は、次のような事情のある人です。
① 葬儀費用で遺族への負担が心配な方
万が一の時に必ずかかるお金のひとつが葬儀費用です。
近年は家族葬や直葬が増えており、大規模な葬儀や告別式を行わない人も増えています。
しかし、シンプルなお葬式であっても火葬や納骨など最低限の費用は必要です。
葬儀費用を負担する(あるいは子に負担させる)のが心配だという場合は、保険の加入を検討してみましょう。
② 相続税支払いのための手元現金が少ない方
次に、相続税の支払いに保険を活用する方法があります。
実は資産を多く持っている人でも、相続税の支払いが困難となる事例があることをご存知でしょうか。
相続税は現金で納付する必要がありますが、相続財産に不動産や株をはじめとした有価証券などの現金化しづらい財産の割合が多い場合、相続税を支払うための現金が準備できないという事態が生じます。
相続税を支払うための原資として、死亡保険金がすぐに支払われる生命保険で、相続税の相当額を準備しておくという方法もあります。
③ 現金で資産を残して円満な相続を希望される方
また相続人の間で財産を均等に分けるのが難しい場合も、保険の活用が有効です。
もし特定の相続人に財産が多めに渡ってしまうと、他の相続人との間で不公平が生じ、争いの元になりかねません。
不動産や事業関係の財産のような分割が難しい財産が多い場合には、生命保険の死亡保険金を使った現金相続も検討しましょう。
生命保険への加入メリットが少ない人
資産が多く、中でも現預金の比率が高い人は、生命保険加入の必要性は低いと言えます。
現預金がたくさんあるのなら、相続税の支払いや相続人の間での財産分割において、トラブルが生じにくいためです。
ただ、もし死亡前に中長期で入院されたり高額な手術などによって大きな医療費がかかると、現在保有している財産が大幅に減って相続の計画に影響してしまうかもしれません。
このような場合は医療費への備えとして、医療保険への加入は検討の余地があるでしょう。
シニア向け生命保険は4種類
通常、生命保険は年齢が高くなるほど保険料も上がる傾向にあり、加入には年齢制限や健康状態告知が設けられています。
特に70代、80代の人が保険に加入しようとすると選択肢は少なくなり、シニア世代に対応した商品やプランを選ぶ必要があります。
年齢を重ねると病院にかかる機会も増加しますから、年齢や健康状態に応じて、複数の商品・プランの中からコストや補償内容を比較し、適切なプランを選んで加入することが大切です。
シニア世代の生命保険の選択肢には、主に次のようなものがあります。
通常型の生命保険
健康状態に問題がない方は、通常型の生命保険が有力な選択肢のひとつになります。
通常型の生命保険では、一生涯の保障が続く「終身保険」も選べます。
必ず確保しておきたい保障は終身保険で備えておくといいでしょう。
引受基準緩和型の生命保険
通院歴や持病があり、通常型の生命保険に加入できない場合は、引受基準緩和型の生命保険が選択肢です。
健康に関する告知の項目が少なく、持病のある人でも加入しやすくなっています。
一方で、通常型の生命保険よりも保険料が高めに設定されています。
通院歴があると絶対に通常型に加入できないというわけではありませんので、まずは通常型の加入可否を確認してみると良いでしょう。
少額短期保険の死亡保険
少額短期保険は、1年更新の比較的シンプルな保険です。
保険料も安価な傾向で、幅広い年齢に対応した商品も多く、高齢でも加入しやすいのが特長です。
一方で、年齢に応じて保険料が上がる更新型のため、年齢の高い方が中長期で加入しようとすると保険料総額が高額になりやすく、年齢や健康状態によっては通常型の生命保険のほうがメリットが大きくなることもあります。
共済
各種共済にもシニア世代を対象としたプランが販売されており、安価な掛け金で加入することができます。
ただ、こちらは年齢が高くなるほど死亡保険金額がどんどん小さくなっていくため、十分な備えとは言いづらいでしょう。
加入時に検討すべきポイント
シニア世代が生命保険に加入する時は、必要な死亡保険金額と保険料がどのくらいになるか試算してみましょう。
保険金額が大きくなるとコストアップの要因となりますので、無理のない設定にすることが大切です。
また、加入時点での保険料比較も大切ですが、定期保険タイプの商品では、一定の年齢になると更新ができず、保険が終わってしまうものもあります。
必ず準備しておきたい金額は終身保険で対応するなど、中長期的な視点で比べることが大切です。
自分の健康状態や負担できるコストなど、いくつかのプランを比較して、必要な保障を必要な分だけしっかりと選んで加入しましょう。
シニア向け保険については詳しくはこちらのページでも複数のお勧め保険を比較紹介していますので、ご参考にされてください。

この記事の執筆者:木代 晃輔
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
独立後は株式会社ウィズハートの代表として、保険相談サイト「保険ウィズ」や、FP相談サイトを開設。
15年以上にわたって生命保険・損害保険の仕事に従事し、北は北海道、南は沖縄までと、日本全国から年間100件以上のご家庭の保険相談にお応えしています。