FP・識者の保険コラムExpart Column

中高年者の海外旅行中の事故が増加傾向。無理ないスケジュールと保険加入が大事。

投稿日:2025年04月10日

仕事を退職した団塊世代が退職後の趣味として旅行に行くというケースも多くあり、今後もシニア世代の旅行者は増えていくことが見込まれています。

海外旅行の形態も大きく変化しつつあります。
以前は観光名所を観て楽しむスタイルが多かったのですが、最近ではスキューバダイビングやスカイダイビング、大自然トレッキングなど、体をたくさん動かすアクティビティスタイルが増えてきています。

ただそれに伴って、高齢の旅行者がツアー中に事故に遭ってしまうケースも増加している現状もあります

中高年日本人の海外旅行中の事故事例

以下は弊社のお客様が海外で心不全で倒れられた事例です。
心臓の手術と10日間の入院で、2000万円の医療費がかかりましたが、ご加入された海外旅行保険で全額がカバーされました。

アメリカ旅行中に手術&入院されたお客様に、治療費2000万円の保険金をお支払いしました

また、以下は60歳以上の日本人旅行者が実際に旅行中に事故に遭遇したケースとして、外務省が「海外邦人事件簿一覧」として公表しています。

自然体験ツアーでの吊り橋歩行中に事故。2名が重傷を負い入院。

中米コスタリカの森林を探索中の日本人高齢者ツアー一行6名が、森林の中に架かる吊り橋を歩行中、突然吊り橋を支えていたワイヤーが切れ、反動で5名が谷に投げ出された。
3名は比較的軽傷であったが、60代の2名が骨折や内臓損傷等の重傷を負い、入院を余儀なくされた。

ハワイでスキューバダイビングをしていた60代夫婦に事故。妻が死亡。

ハワイに旅行中の60代夫婦が、日本での経験は比較的浅かったが現地インストラクターの指導のもと、スキューバダイビングに挑戦した。
2人でかなりの深みまで潜ったところ、妻の様子が急におかしくなった。
インストラクターが急いで水中から救出し、病院に直行したが、まもなく死亡した。

イタリアのピサの斜塔を登っている途中に疲労で日本人男性63歳が死亡。

2018年4月10日にイタリアの観光名所であるピサの斜塔で、日本人観光客の男性(63歳)が突然倒れ、イタリア消防局の救急隊がその場で応急治療をしたものの死亡しました。
この男性はピサの斜塔の中階まで上がったものの突然倒れたとのことで、旅行による疲労・負担が蓄積したことが原因でないかと救急隊は推測しています。

アルゼンチンを1人旅行中の女性(60歳)が世界遺産の渓谷で死亡。

2019年8月28日にアルゼンチンの「ウマカワ渓谷」で、一人で旅行中であった日本人女性の遺体が発見されました。
遺体が見つかったウマカワ渓谷は「南米のグランドキャニオン」とも呼ばれる世界遺産で、現場の状況からこの女性が誤って転落したものとみられています。

旅行の鉄則は「無理をしない」こと。海外旅行保険も重要。

このように高齢な日本人旅行者の事故事例を見ていくと、体力や健康管理が足らなかったがために事故に至ってしまったケースが多くあります。
無理なスケジュールを組んでしまったことで、予想もしない災難に見舞われることにもなりかねません。

高齢者になればなるほど、旅行スケジュールを慎重に計画し、無理を避けながら旅行を楽しむ姿勢が大切になってきます。

特に、海外旅行先でのケガや病気で現地病院の治療を受けることも想定して、海外旅行保険の加入も重要です

海外の病院では日本の健康保険が効かないため、入院や手術を受ければ治療費用が数百万~数千万円にもなることもあります。
出発前に海外旅行保険に加入しておくことも大事で、安全な旅行計画を立てながら万が一に備えて保険の準備もしっかり整えておくようにしましょう。

木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。

損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。