相次ぐ自転車事故、各地で自転車保険の加入義務化が進む。自転車保険の動向まとめ。
相次ぐ自転車自己による高額賠償
ここ数年で自転車による賠償事故が増えており、加害者に高額賠償を命じる判決が出ています。
主な高額賠償となった自転車事故の事例をいくつかまとめました。
時期 | 賠償金額 | 事故の内容 |
---|---|---|
2008年 東京 |
9,266万円 | 自転車に乗った男子高校生が車道を横断したところ男性会社員(24歳)と衝突。 相手の男性には「言語機能の喪失」などの後遺症が残ってしまい、平成20年に東京地裁が9,266万円の賠償金支払いを命じる |
2013年 神戸 |
9,500万円 | 坂を歩行中の女性(62歳)に自転車に乗った小学5年生が衝突。 被害女性は頭蓋骨骨折などの傷害を負い、寝たきりとなってしまった。 神戸地裁は子供の親に9500万円の支払いを命じた。 |
2014年 東京 |
4,700万円 | 自転車に乗って信号無視をした男性(46歳)が横断中の女性(75歳)に衝突。女性は頭部を強打し、5日後に死亡した。 男性は重過失致死罪で在宅起訴され禁錮2年、執行猶予3年が確定 |
なぜ最近になって高額賠償の自転車事故が頻発しているのか?
自転車事故の高額賠償はここ10年で一気に増えてきました。
なぜなのか、その理由はいくつか考えられます。
① 被害者には高齢者が多く、重大なケガや死亡につながりやすく賠償費が高額になるケースが多い
② 最近の道路は舗装がしっかりされているため、自転車のスピードが出やすい。
③ 重量のある電動自転車の利用が増え、人にぶつかったときの衝撃が普通の自転車よりも強く、大きな事故になりやすい。
などがあるでしょう。
全国の自治体で、自転車保険の加入義務化が進む
大阪府では平成28年4月1日より、自転車の交通事故防止と被害者の保護を図るため、「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が施行されています。
条例では、
・府民の自転車の安全利用促進
・点検・整備の促進
・高齢者の自転車用ヘルメットの着用の努力義務
などが規定されていて、平成28年7月1日からは自転車事故に対応できる自転車保険への加入が義務付けられています。
【大阪府条例からの抜粋】
自転車利用者は、自転車損害賠償保険等(自転車の利用に係る交通事故により生じた他人の生命又は身体の被害に係る損害を填補することができる保険又は共済をいう。)に加入しなければならない。
大阪府の他にも、複数の自治体が条例で自転車保険の加入を「義務化」しています。
□ 兵庫県 平成27年10月1日施行
□ 大阪府 平成28年10月1日施行
□ 滋賀県 平成28年10月1日施行
□ 鹿児島県 平成29年10月1日施行
□ 名古屋市 平成29年10月1日施行
□ 埼玉県 平成30年4月1日施行
(埼玉県川島町では自転車保険の保険料を町が負担する方針を決定
:埼玉の川島町が画期的英断。全ての中学生を対象に自転車保険料を町が負担。)
最近に保険加入を義務化した名古屋市によると、愛知県内でも高額の損害賠償事例が出ており、平成24年には傘さし運転していた自転車にはねられた歩行者が死亡し、加害者側が約2,080万円の賠償を求められました。
他にも平成25年には約1,870万円、2015年には約1,620万円の賠償を伴う自転車事故も起きていました。
名古屋市が事業連携協定を締結している保険会社は以下のとおりです。
【名古屋市と事業連携している損害保険会社等】
・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
・愛知県共済生活協同組合
・東京海上日動火災保険株式会社
・損害保険ジャパン日本興亜株式会社
・AIG損害保険株式会社
・au損害保険株式会社
・三井住友海上火災保険株式会社
・全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済 愛知県本部)
・ジャパン少額短期保険株式会社
交通安全協会も独自に自転車保険制度を発足
自転車保険立ち上げの動きは自治体以外でも見られます。
全日本交通安全協会では低価格の自転車保険制度『サイクル安心保険』を独自に発足させ、全国での普及活動を行っています。
『サイクル安心保険』には、賠償責任補償1億円を基本に傷害補償や家族対象プランなどの全3プランがあり、全てのプランに示談交渉サービスが付帯していて、掛金は年間1,230円からとかなり安価な保険となっています。
お住いの地域で知らない間に条例が定められているかもしれません。
まずはご自身が住んでいる自治体で自転車保険の加入が義務化されているかを確認し、保険加入がまだの方は検討されてみてはいかがでしょうか。
事故を完全に防ぐことは出来ませんが、自転車保険に入っておけば少なくとも高額な賠償費用からは自身や家族を守ることが出来ます。