保険会社と自治体の協定、全国に広がる
2017年10月19日、損害保険ジャパン日本興亜と横浜市は、地域活性化に関する包括連携協定を結びました。
市内在住の高齢者への声掛けや、災害時のドローン(小型無人機)活用など幅広い分野で連携するとのことですが、近年、保険会社と自治体が連携して社会課題の解決に取り組む「包括連携協定」の動きは全国で広がっています。
保険会社と自治体が結んだ「包括連携協定」の例
日本生命・第一生命・住友生命と大阪府との協定(2017年7月)
地域の一層の活性化及び府民サービスの向上を図っていくため、「健康に関すること」「防災・防犯に関すること」「中小企業振興に関すること」「福祉に関すること」「府政のPRに関すること」など各7分野で「包括連携協定」を締結。
東京海上日動・損害保険ジャパン日本興亜・三井住友海上・住友生命と東京都との協定(2017年7月)
「健康増進やスポーツ振興に関すること」「防災・減災に関すること」「子育て・高齢者支援に関すること」など各9分野で包括連携協定「ワイドコラボ協定」を締結。
第一生命と埼玉県との協定(2017年7月)
「健康増進に関すること」「教育・文化・スポーツ振興に関すること」「子供・青少年育成に関すること」「産業振興・中小企業の支援に関すること」「防災・災害対策に関すること」など13 分野にわたる連携と協働に関する包括連携協定を締結。
協定に求められる成果とは
包括的な連携協定が締結されているという背景には、官民協働を推進し、自治体単独よりも効果的な住民サービスを提供したい自治体側と、CSR(企業の社会的責任)の一環として、利益の追求だけではない社会貢献を行い地域での存在感を高めたい保険会社側の思惑が一致したという事実があります。
協定という枠組みが緩やかな協力体制を規定しており、双方の負担やリスクが発生しにくいことがこうした協定が増えている理由と考えられます。
ただ一方で「包括」ということで取組範囲は広く、どのような具体的成果が上がっているかの評価が難しいという問題も想定されます。
自治体が特定の民間企業に肩入れすることなど、以前は考えられないことでした。
せっかく動き始めた「包括連携協定」の枠組みを意義あるものにするには、住民のメリットを最優先に考える必要がある「自治体」の方が大きな覚悟を求められることになりそうです。