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自分の死亡したら相続税はどれくらいかかる?生命保険を活用した対策も解説

投稿日:2025年05月07日
保険ウィズ(株式会社ウィズハート)代表取締役 木代晃輔
株式会社ウィズハート
代表 木代晃輔
保険ウィズ(株式会社ウィズハート)代表取締役 木代晃輔
株式会社ウィズハート
代表 木代晃輔

株式会社ウィズハートの木代(キシロ)と申します。
ご高齢・シニア向けに生命保険の仕事をしています。

財産を相続する時にかかる相続税は、富裕層の税だと考えている人もいるかもしれません。
しかし平成27年1月に相続税の基礎控除が改正され、相続税の課税対象者が大幅に増加しました

相続税の基本と、生命保険を使った相続税対策について解説します。

相続税は富裕層だけの問題ではない

「我が家にはそんなに資産がないから関係ない」と思っていると、相続が発生した時に慌てることになります。

国税庁の公表したデータによると、基礎控除改正前となる平成26年の総是久栖の課税割合は4.4%でしたが、平成27年には8.0%と大幅に増加し、それ以降も8%台を推移しています。
つまり、相続税の課税対象が倍増していることを表しています。

■ 参考
国税庁HP「令和2年分相続税の申告事績の概要」(PDF)

また、令和7年3月19日には国土交通省によって公表された令和7年の地価公示では、全国的に地価は上昇しており、上昇幅も拡大していることがわかりました
相続税の課税基準としての評価には「路線価」が用いられますが、路線価は地価を参考に算出されるため、相続税評価額も上昇傾向にあると言えるでしょう。

■ 参考
国土交通省HP「全国の地価動向は全用途平均で4年連続上昇~令和7年地価公示~」

ほかにも、上場株式については相続発生日(本人が亡くなられた日)の最終価格で相続税の評価額を計算します。
近年では株価も上がっており、10年前の2015年頃の日経平均株価は1万円台後半から2万円前後で推移していましたが、2023年以降は3万円台を超えた状態が続いています。
そのため、株式を取得した時よりも相続時の評価額が高くなることは十分に考慮しておかなければなりません

相続税がかかるのはどんな人?

それでは、相続税が課税されるケースを具体的に見てみましょう。

財産を相続すると相続税の課税対象となりますが、「基礎控除」があるため、一定の範囲までは相続税がかかりません。

★相続税の基礎控除
3000万円+(600万円×法定相続人の数)

例えば、亡くなられた人(被相続人といいます)に配偶者と子が2人いる場合、3000万円+(600万円×3人)の4800万円までが非課税となります
財産がこの範囲内であれば相続税はかからず、それよりも多い財産があると基礎控除(この事例では4800万円)を超える部分に課税されます。

動産や不動産が多いと相続税の支払いに困る?

財産に現金や預貯金の割合が多ければ、相続財産を分割する際もわかりやすく、相続税の支払いにあたってもトラブルは起きにくいでしょう。
一方で、土地や建物などの不動産や上場株式などの有価証券は、取得・購入時の価格ではなく、相続発生時に評価額を算出します。

そのため、財産に不動産屋有価証券がある場合、基本的には相続が発生してみないと評価額が確定しません。

また、相続税は現金での納付が原則です
株価が上がっていれば、株式を売却して相続税の支払いに充てるということもできます。
しかし、株価が下落している場合など、タイミングによってはすぐに売却できないかもしれません。

建物や土地などの不動産は、買い手がいなければそもそも売却することが困難です。
そのため、相続税の支払いに備えて、ある程度の現金・預貯金を確保しておくことが重要になってきます。

そこで活用できるのが生命保険です。
生命保険は請求後5日以内に保険金が支払われるのが一般的ですので、相続発生時に現金が必要となった際に補うことができます。

生命保険の非課税枠を有効活用できる

生命保険には、相続税の基礎控除とは別に非課税枠があります。

★生命保険の非課税枠
500万円×法定相続人の人数

先ほどの配偶者と子2人の事例では、500万円×3人=1500万円までの生命保険は非課税となり、これを超える部分が相続税の課税対象になります。

保有している財産から相続税の額をシミュレーションし、それをもとに必要な分だけの保障に加入しましょう。

ウィズハートでは「89歳までご加入いただける生命保険・死亡保険」を扱っていますので、相続のための保険活用をご希望でしたらお気軽にご相談ください。
以下のページでは保険料の試算も可能です。

他にもある生命保険の活用法

財産が自宅の土地と建物の不動産だけという場合で、同居している子どものほかに別居している子どもがいる時は、自宅を同居している子どもにそのまま譲りたいと考えるのではないでしょうか?

兄弟であれば基本的に相続割合は等分です。
たとえ遺言を作成し、同居している子どもに自宅不動産をすべて相続させることを明記していても、もう一方の子どもは遺留分として一定割合を請求する権利を持ちます。

生命保険は加入しておけば受取人を指定できますので、その保険金は相続財産とは別枠の受取人固有の財産となります。
事業を相続人に継承させたい場合や、法定相続人ではない孫に財産を渡したい場合などにも生命保険を使って希望をかなえることもできます。

早めに準備しておくことが大切

相続税の課税対象者が拡大したほか、最近は地価高騰の影響で不動産評価額も思っていた以上に高くなることも考えられます。
相続財産が基礎控除の範囲内におさまる場合でも、相続人間でのトラブルが心配な場合には、生命保険を活用するなどで事前の相続準備を行っておきましょう。

木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
独立後は株式会社ウィズハートの代表として、保険相談サイト「保険ウィズ」や、FP相談サイトを開設。

15年以上にわたって生命保険・損害保険の仕事に従事し、北は北海道、南は沖縄までと、日本全国から年間100件以上のご家庭の保険相談にお応えしています。