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過敏性腸症候群の治療費と医療費負担を軽減する公的制度、保険加入の可能性を解説

投稿日:2026年5月18日

過敏性腸症候群の治療費はいくら?公的制度と保険加入の可能性を詳しく解説

過敏性腸症候群の治療費はいくら?公的制度と保険加入の可能性を詳しく解説

過敏性腸症候群(IBS)は、下痢や便秘、腹痛といった症状が長期間にわたって続く病気です。
日本では人口の約10〜15%がこの病気に該当するといわれており、決して珍しい病気ではありません。

この病気は、命に直接関わる病気ではないものの、通勤中や会議中に突然の腹痛や便意に襲われるなど、日常生活や仕事に支障をきたすケースあります。

この記事では、過敏性腸症候群の基礎知識から治療にかかる費用、利用できる公的制度、そして保険加入の可能性について詳しくご紹介します。

過敏性腸症候群とはどんな病気か

過敏性腸症候群について、その症状や原因、タイプ分類などを解説します。

過敏性腸症候群の症状と特徴

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は、大腸内視鏡検査や血液検査などを行っても潰瘍や腫瘍といった器質的な異常が見つからないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感、下痢や便秘などの便通異常が慢性的に続く病気です。

日本における有病率は約10〜15%と報告されており、およそ7~10人に1人がこの病気に該当するともいわれています。

男性より女性にやや多く、年代別では20〜40歳代の働き盛りの世代に多くみられる傾向があります。

主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

・腹痛や腹部の不快感
・下痢や便秘などの便通異常
・腹部膨満感(お腹の張り)
・ガスがたまりやすい
・排便後も残便感がある

これらの症状は、ストレスや緊張を感じる場面で悪化しやすいという特徴があります。
たとえば、大事な会議の前や通勤電車の中など、トイレに行けない状況で症状が出やすくなることも少なくありません。

過敏性腸症候群のタイプ分類

過敏性腸症候群は、便の状態によって以下の4つのタイプに分類されます。

下痢型

水様便や泥状便が続くタイプで、突然の便意に襲われることが多いのが特徴です。
男性に多くみられる傾向があり、通勤や外出時に不安を感じる方も少なくありません。

便秘型

硬い便やコロコロした便が続き、排便時に強くいきむ必要があるタイプです。
女性に多くみられる傾向があります。

混合型

下痢と便秘を交互に繰り返すタイプです。
早稲田大学などの研究グループによる調査では、日本を含む東アジア3カ国において、この混合型が最も多いという結果が報告されています。

分類不能型

上記のいずれのタイプにも明確に当てはまらないケースです。
症状が軽度であったり、パターンが一定でなかったりする場合に該当します。

過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群の原因は完全には解明されていませんが、精神的・身体的ストレスが大きく関与していると考えられています。

脳と腸は自律神経やホルモンを介して密接につながっており、これを「脳腸相関」と呼びます。

ストレスを受けると、この脳腸相関に異常が生じ、腸が過敏な状態になる仕組みです。
その結果、通常であれば感じない程度の刺激にも腸が反応してしまい、腹痛や便通異常が起こると考えられています。

また、以下のような要因も関係しているとされています。

・腸内細菌のバランスの乱れ
・感染性腸炎の後遺症
・遺伝的な要因も指摘されている

過敏性腸症候群の治療と費用

過敏性腸症候群の治療は、主に外来での薬物療法と生活指導が中心となります。
入院が必要になるケースは少なく、継続的な通院治療で症状のコントロールを目指します。

治療の内容

日本大腸肛門病学会によると、過敏性腸症候群の治療には以下の5つの柱があります。

・病態の理解
なぜ今の症状が出ているのかを理解することが治療の第一歩となります。
過敏性腸症候群は命に関わる病気ではないことを知り、過度な不安を軽減することが大切です。

・生活習慣の改善
規則正しい生活リズムを整え、十分な睡眠をとることが重要です。
適度な運動を取り入れることも症状の改善に役立ちます。

・食事療法
便秘型の場合は食物繊維を多く含む食品の摂取を心がけ、下痢型の場合は消化のよいものを選ぶことが勧められます。
刺激物やアルコールの摂取を控えることも効果的です。

・薬物療法
症状のタイプに応じて、便の水分量を調節する薬や腸の運動を整える薬、整腸剤、漢方薬などが処方されます。

・心理療法
ストレスが症状に影響するため、ストレスをコントロールする心理療法が有効な場合があります。
完璧を目指さず、75点を目標にする考え方なども推奨されています。

主な治療薬

過敏性腸症候群の薬物療法では、症状のタイプに応じて以下のような薬が処方されます。

・ポリカルボフィルカルシウム(ポリフル、コロネル):便の水分量を調節し、下痢にも便秘にも効果がある
・塩酸ラモセトロン(イリボー):下痢型に有効なセロトニン受容体拮抗薬
・リナクロチド(リンゼス):便秘型に有効
・整腸剤(ビオフェルミン、ラックビーなど):腸内環境を整える
・漢方薬(桂枝加芍薬湯など):腹痛の改善に用いられる

治療にかかる費用の目安

過敏性腸症候群は外来通院が中心となるため、医療費の負担は比較的軽い傾向にあります。

通院にかかる費用は、診察料と処方される薬の種類・量によって異なりますが、一般的な外来診療の範囲に収まることが多いでしょう。

ただし、大腸がんや炎症性腸疾患など他の病気を除外するために、大腸内視鏡検査が必要になる場合があります。
大腸内視鏡検査の費用は、観察のみの場合で3割負担で約5,000〜6,000円程度、生検(組織採取)を行う場合は約10,000〜15,000円程度が目安となります。

症状が重い場合や治療が長期化する場合は、月々の医療費がかさむこともあるでしょう。

医療費負担を軽減する制度

国の指定難病に該当すれば、難病医療費助成制度による医療費助成を受けられる場合があります。
しかし、過敏性腸症候群は指定難病には該当しません。

そのため、高額療養費や医療費控除、傷病手当金といった制度を活用して医療費負担を軽減していくことになります。

① 高額療養費制度で月々の上限を抑える

高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。
検査が重なった月や、他の病気の治療と合わせて医療費が高額になった場合などに活用できます。

自己負担限度額は年齢や所得によって異なります。
70歳未満の方の場合、以下が目安となります。

所得区分 (年収目安) 自己負担限度額
年収約1,160万円以上 252,600円 + (総医療費 - 842,000円) × 1%
年収約770万〜約1,160万円 167,400円 + (総医療費 - 558,000円) × 1%
年収約370万〜約770万円 80,100円 + (総医療費 - 267,000円) × 1%
年収約370万円未満 57,600円
住民税非課税世帯 35,400円

申請は、加入している健康保険組合や協会けんぽ、市区町村の国民健康保険窓口などで行います。

② 働けない期間の収入をカバーする傷病手当金

傷病手当金は、病気やケガで仕事を休み、給与が支払われない場合に健康保険から支給される手当です。
過敏性腸症候群の症状が重く、連続して3日間(待期期間)仕事を休んだ場合に、4日目から支給の対象となります。

支給額はおおむね給与の3分の2程度で、最長1年6か月間受け取ることができます。
なお、傷病手当金は会社員や公務員など健康保険に加入している方が対象です。

国民健康保険には原則としてこの制度がない点にご注意ください。

③ 年間の医療費が多い場合は医療費控除も検討

医療費控除は、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得税の一部が還付される制度です。

控除の対象となるのは、自己または生計を一にする家族のために支払った医療費で、年間10万円(または総所得金額の5%のいずれか低い方)を超えた金額が対象となります。

通院にかかった交通費や、治療目的で購入した市販薬の費用なども対象になる場合があるため、領収書は大切に保管しておきましょう。

過敏性腸症候群でも加入できる保険

過敏性腸症候群と診断されている方の中には、「保険に入れないのでは」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、保険の種類や症状の状態によっては加入できる可能性があります。

通常の保険に加入できる場合もある

一般的な生命保険や医療保険では、加入時に健康状態の告知が必要となります。
過敏性腸症候群の治療中であることを告知すると、加入を断られたり、特定の部位(消化器系)を一定期間保障対象外とする「特定部位不担保」の条件が付いたりするケースがあります。

しかし、保険会社や商品によって引受基準は異なります。

症状が安定している場合や、完治後一定期間が経過している場合には、通常の条件で加入できる可能性もあります。

また、入院歴や手術歴の有無によっても判断が分かれるため、まずは通常の保険に加入できるかどうかを確認することが大切です。

持病があっても加入しやすい保険

通常の保険への加入が難しい場合でも、「引受基準緩和型保険」も選択肢の1つです。
この保険は告知項目が少なく、「過去2年以内に入院・手術をしたか」など限られた質問に該当しなければ加入できる場合があります。

持病があっても加入しやすい反面、保険料は通常の保険より割高になる傾向があります。

また、告知なしで加入できる「無選択型保険」もありますが、保障額が少なく保険料も高めに設定されていることが多いため、慎重な検討が必要です。

ご自身の状況に合った保険を見つけるためには、専門家に相談することをおすすめします。

弊社ウィズハートでは過敏性腸症候群でもご加入いただける保険がございますので、ご興味のある方はお気軽にお問合せください。

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