賃貸住宅向け火災保険の基本。選び方と見直す時の注意点
最終更新日:2021/11/29
前回の記事「賃貸住居用火災保険(家財保険)は自分で選ぶべき!3つのメリット。」でお話しした通り、賃貸住宅(マンション、アパートなど)の火災保険は自分で選ぶことで、価格を大きく節約することが出来ます。
ただ、賃貸住宅の火災保険は補償内容が複雑で、いざ自分で選ぼうと思っても何から調べれば良いのか悩みますよね。
今回は賃貸向け火災保険の基礎から選び方までを解説します。
また、すでに火災保険に加入している人向けに保険の見直し方もお伝えします。
この記事の執筆者:FP 佐藤日奈子
保険ウィズ編集部の佐藤日奈子です。北海道出身、千葉県在住の2児の母。
損害保険会社での勤務を経て、現在はファイナンシャルプランナーとして活動しています。
https://twitter.com/withhearthoken
この記事の目次
賃貸住宅向け火災保険の中身
火災保険の補償は大きく、建物と家財に分かれます。
賃貸住宅の場合、建物は大家さんのものなので、自分で守りたいのは家財のみになります。なので、賃貸向けの火災保険は「家財保険」と呼ばれています。
賃貸向け火災保険の具体的な補償内容
賃貸向けの火災保険には、
・家財補償
・借家人賠償責任補償
・個人賠償責任補償
という3つの補償が付いています(保険会社によって多少異なることもあります)。
家財補償とは、自分の家電や家具が火災や自然災害等で損害を受けた場合に補償されるものです。
借家人賠償責任補償は、大家さんに対する補償です。火災等で借りている部屋に損害を与えてしまった場合、原状回復するための補償です。賃貸物件を借りる際に、火災保険への加入が必須になっているのは、この補償をしてもらいたい大家さんの意向があるからです。
ちなみに、家財補償の中に「修理補償」という言葉が見られますが、これは借りている部屋の窓ガラスやドアの修理などを行った場合に補償されるものです。借家人賠償責任保険との違いは、損害賠償請求されるものかどうかです。
例えば、泥棒に入られてドアを壊された場合など、自分の責任ではないけれど修理が必要な場合は修理補償から支払われます。これらもプランによって補償の範囲が変わります。
最後の個人賠償責任補償は、日常生活の事故やトラブルによって発生した損害賠償を補償してくれます。
火災や自然災害だけでなく、普段の生活でも使うことが出来ます。
例えば、お店のものを誤って壊してしまった場合や他人に怪我をさせてしまった場合に補償されます。
そして特に注目されているのが自転車事故の補償です。
自転車の事故で高額な損害賠償が発生する事故が多発した事で、自転車事故を補償する保険に加入することを義務化する自治体が出てきました。この個人賠償責任保険に加入していれば自分や家族の自転車事故の補償も補うことが出来ます。
賃貸向け火災保険の選び方
次に保険の選び方です。以下の3つのステップを順番に埋めていきましょう。
1. 補償の付ける付けないを決める
2. 補償金額を決める
3. 複数の保険会社の保険料を比較する
1. 補償の付ける付けないを決める
最近の火災保険は火災だけでなく、風災、水災、雪災などの自然災害にも対応しています。
プランによって補償範囲が選べるところが多いのですが、特に重要なのが「水災補償を付けるか付けないか」です。
例えば高台に住んでいる場合やアパートの3階以上に住んでいる場合など浸水の可能性がなく、水災で被害に合うことが極めて稀な場合(もしくは可能性がない場合)は水災補償がなくても良いでしょう。
不要な補償を外せばそれだけ保険料を節約することが出来ます。
「自分の住んでいるところでどのような被害が考えられるのか?」から補償を選びましょう。
水災等の自然災害については、過去にどのような被害に遭ったことがあるのか調べるのに、自治体のハザードマップが役立ちます。近年自然災害が増えて、過去に例のない被害が出ることもありますが、1つの目安として参考になります。
2. 補償金額を決める
次に補償金額です。
家財の補償は家族構成やライフスタイルなどによって必要な金額が異なります。
1つの目安として、
一人暮らし:200〜400万円
二人暮らし:300〜600万円
ファミリー:300〜900万円
が目安となりますが、この金額はご家庭によって様々です。
自分の身の回りの家電や家具がいくらくらいなのか見比べて、補償金額を考えてみましょう。
3.複数の保険会社の保険料を比較する
同じような補償条件でも価格(保険料)は保険会社によって異なります。
ここは複数保険会社の保険料を比較して保険を選べば、保険選びで失敗することはほぼないでしょう。
火災保険を見直す時
最後はすでに賃貸向け火災保険に加入していて、その保険の見直しをするケースです。
見直しで特に注意しなければいけないのが以下の点です。
1. 今の保険内容の確認
2. 無保険期間を作らない
今の保険内容の確認
見直しの場合には必ず現在の契約を確認しましょう。
確認する点は、
・解約する場合はどんな条件になっているか?
・現在の補償が自分に合っているか?
・今の保険料よりお得になるのか?
などです。
見直しの場合、今より条件が良くなければ意味がありません。どのような補償内容になっているかしっかり確認をしましょう。
無保険期間を作らない
見直しの場合、保険に入りなおすタイミングは必ず現契約の解約前にしましょう。
解約してから新規で加入をすると、何かの原因で契約が遅れてしまった場合に保険に加入をしていない「無保険期間」が出来てしまいます。
万が一そのタイミングで火災や災害が起きたら補償を受けられなくなります。
保険期間が多少被ることがあっても保険解約の前に次の保険に加入をして、加入が確認出来てから解約手続きを行いましょう。
最後にまとめ
一気に基本から見直しまでを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。保険を選ぶ際に迷ったら基本や選び方を再度読み直して、納得のいく保険を選んでみて下さい。
最近ではインターネットで契約出来る賃貸向け火災保険が多くなっています。簡単に加入出来るだけでなく、どんな補償がいくらの保険料で得られるのかがすぐに分かるので、とても便利です。
(インターネットで加入出来る保険は人件費がかからない分、保険料が割安です。火災保険を選ぶ際はネットで加入出来る保険会社も必ずチェックしておきましょう。)
この記事の執筆者:FP 佐藤日奈子
保険ウィズ編集部の佐藤日奈子です。北海道出身、千葉県在住の2児の母。
損害保険会社での勤務を経て、現在はファイナンシャルプランナーとして活動しています。
https://twitter.com/withhearthoken