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損害が1000万円を超えるケースも。家財保険で保険金が支払われた実際の事例。

公開日:2025/02/01

賃貸住宅を借りるときには家財保険に加入することになりますが、実際にどのような事故が補償されるのか知らない人も多いと思います。
実際に多く発生している事故や、支払われた保険金の額も含めてご紹介します。

木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。

損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。

火災事故の保険金支払い事例

まず東京消防庁によると、住宅火災の出火原因は多い順に、
1位:たばこ
2位:ストーブ
3位:こんろ
4位:コード
となっています。

死者が発生した住宅火災の出火原因内訳

死者が発生した住宅火災の出火原因内訳
(令和元年から5年まで)
引用:東京消防庁HP「STOP!住宅火災」より

家財保険においてもこれらの火事による保険金支払いが多く発生しています。

てんぷら油からの出火により1200万円の被害

てんぷら油からの発火など、コンロが火元となる火災は多く発生しています。

過去には1200万円の損害となる火事もありまして、そのときは家財保険の借家人賠償責任補償から1,200万円全額が支払われました
もし保険加入していなかったら、家計崩壊の恐れもある金額です。

【参考】
火事の場合、入居者の不注意や注意散漫による重過失がないか調査が行われます。
重過失と認められると家財補償は支払い対象外となりますが、大家さんや第三者への賠償責任補償は支払われます。

■ このような火事を防ぐために
通常の揚げ物のほか、「揚げ焼き」など少量の油のほうが熱量が多くなるため発火しやすくなります。
ガスコンロ使用中は絶対に目を離さず、キッチンから離れないように注意しましょう。

たこ足配線からの発火して家財・部屋を燃やし450万円の被害

延長ケーブルのたこ足配線から出火して、火事が起こりました。
ちょうど入居者が外出中だったこともあり、被害が拡大してしまいました。

損失した家財50万円、家主への賠償責任400万円の合計450万円が家財保険から支払われました

■ このような火事を防ぐために
延長ケーブルやコンセントタップは安全規格に適合した商品を選び、使用ルールを守って使いましょう。
適宜ほこりを取り、古くなったものは買い替えるなど、日々の掃除やメンテナンスも大切です。

劣化した充電ケーブルがショートした電気系の火災により700万円の被害

スマートフォンの充電中にケーブルがショートし発火し、入居者の戸室内が全焼しました。
この火災により、家財保険金額の全額となる200万円、家主への賠償責任500万円の合計700万円が支払われました

■ このような火事を防ぐために
充電ケーブルの劣化によるショートのほか、スマートフォン本体のリチウムイオン電池の劣化など、身近な電子機器にも火災リスクがあります。
接続部分が劣化した充電ケーブルや、バッテリーの膨張した機器の使用は避け、使用年数が長くなったものは買い替えを検討しましょう。

自然災害の保険金支払い事例

遭遇する頻度は高くないものの、被害が大きくなる恐れがあるのが自然災害です。
具体的な支払事例には次のようなものがあります。

洪水による床上浸水により家財が全損し300万円の被害

豪雨により河川の氾濫が発生し、集合住宅の1階に所在する戸室が浸水してしまいました。
床上40cmほどの浸水のため、住宅内にあった家財は使用不可能となってしまいました。

この浸水被害により、家財保険金額の全額となる300万円が支払われました

■ このような被害の拡大を防ぐために
賃貸住宅では水災補償は必要ないと言われることがありますが、建物の立地や階数によってリスクは異なります。
例えば海や河川の近くにある建物の1階部分では、大雨や高波などによる浸水に注意し、気象情報を確認して、早めの避難することが重要です。

豪雨に伴う土砂災害により家財が全損し500万円の被害

崖の近くにある物件で、豪雨に伴う土砂崩れに建物ごと巻き込まれてしまいました。
入居者は土砂崩れの直前に異変に気付き、避難して無事だったものの、建物は完全につぶれてしまい、内部の家財も全て失われました。

この土砂災害により、家財は保険金額の全額となる500万円の被害を受け、保険金が支払われました

■ このような被害の拡大を防ぐために
物件を探す時には、自治体などが公表するハザードマップで浸水・土砂災害リスクを確認し、リスクを把握しておくことが大切です。
また、土砂災害は家財保険の「水災」の項目で補償対象となります。
ハザードマップで土砂災害リスクが指摘されているエリアに住む時は、水災補償のある家財保険に加入し、豪雨の時には状況を応じて早めに避難しましょう。

台風に伴う強風により50万円の被害

台風に伴う強風によって飛ばされた木の枝が、窓ガラスにぶつかって割れてしまったという事故も多く発生しています。
この事例では、割れた窓から吹き込んだ雨によって、周辺に置いていたPCや電化製品、家具などが濡れる被害に遭い、50万円の保険金が支払われました

■ このような被害を防ぐために
台風が近づいている時には、飛来物の衝突によってガラスが割れ、室内に飛び散る恐れがあります。
カーテンを閉めておくだけでも、ケガや家財の損害を防いだり軽減したりする効果があります。

給排水設備からの漏水事故の保険金支払い事例

賃貸住宅で意外と多いのが、給排水設備からの漏水事故です。
設備不良以外にも、入居者の不注意で大きな損害に繋がることもあります。

お風呂のお湯の出しっぱなしにより580万円の損害

お風呂を溜めるために水道を出しっぱなしにしてしまい、浴槽からあふれた水が排水しきれず、室内に浸水しました。
調査の結果、入居者が浴室内の排水口の清掃を怠っていたことが原因で排水口が詰まり、浴槽からあふれた水が排水できなかったことがわかりました。
階下にまで漏水していたため、階下住人の家財にも大きな損害を与えてしまいました。

この事故により、室内の修繕費用として家主に対して80万円、階下住人に対する賠償費用として500万円の合計580万円が支払われました

■ このようなトラブルを防ぐために
お風呂の排水口が髪の毛などによって詰まってしまったことによる漏水事故は多く発生しています。
お風呂や洗面台、キッチンなどの排水口は定期的に清掃しておくことが大切です。

洗面台の水の出しっぱなしにより640万円の損害

洗面台で洗濯をしようとして水を出しっぱなしにしたままその場を離れ、洗濯物が排水口を塞いで、洗面台から水があふれてしまいました。
その状態で数十分放置してしまったため、自室内が水浸しになり、さらに階下の住人の家財にも損害が出てしまいました。

この事例では、自室内および階下の内装や造作の修理費用として家主への賠償100万円、加えて階下住人の家財、修理期間中の仮住まい費用や引っ越し費用として540万円の、合計640万円が家財保険から支払われています

洗濯機のホースの接続不良により550万円の損害

洗濯機に接続する給水ホースが外れ、水道から全開の水が流れ出てしまいました。
入居者が外出中だったため、帰宅までの約5時間にわたり全開で水が流れ続けたことで、被害が拡大してしまいました。

調査の結果、入居者の取り付けた給水ホースの接続に不備があったことがわかり、室内の修繕費用として家主に対する賠償50万円と、階下住人の家財500万円の合計550万円が支払われました

その他、偶然な事故の保険金支払い事例

家財保険では「不測かつ突発的な事故」や「破損・汚損」と呼ばれる事故です。
火災や自然災害、漏水以外でも、予期せぬ偶然な事故も家財保険で補償対象となることがあります。

※この「不測かつ突発的な事故」は保険会社やプランによって補償対象外となっていることがあります。
加入前に、選択したプランで補償対象になっているか確認しておきましょう。

模様替え中のリビングドアの破損により20万円の損害

お部屋の模様替え中に、動かしていた家財が倒れ、リビングドアにぶつかって破損させてしまいました。
賃貸契約など諸条件により、借家人賠償責任補償または修理費用特約での支払いとなりますが、今回は修理費用特約として20万円が支払われました

玄関タイルにヒビを生じさせ5万円の損害

玄関で宅配便を受け取り室内に運ぼうとしたところ、荷物を落として玄関のタイルにヒビが入ってしまいました。
この事例では、家主への賠償として5万円が支払われました

家財保険は、それぞれの保険会社の特徴や価格を知って加入しましょう。

保険ウィズでは、複数の保険会社のプランを比較できるページをご用意しています。
こちらのページからご自分に合ったプランを探してみてください。