現役看護師から妊婦さんへのメッセージコラムNurse Column

早産で産まれた子どもとご両親へ。NICUの看護師が伝えたいこと。

公開日:2021/03/08

こんにちは。現役看護師のAkariです。

このサイトでは、保険商品のご紹介だけでなく、
「お腹が張る」は切迫早産・流産のサインの可能性。ベビーからのSOSを聞こう。
など、さまざまな妊婦さんのエピソードをご紹介しています。

今回は、早産で産まれた赤ちゃんを担当する、新生児集中治療室(NICU)の看護師の経験をお話します。

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現役看護師 小田あかり

この記事の執筆者:現役看護師 小田あかり

2003年から看護師として勤務。小児科・NICU・産科を経験し、現在は都内病院で勤務しています。
多数の学会発表の経験を活かして、医療ライターとしても活動中。

赤ちゃんと共に日々頑張っている妊婦さんに向けて、役立つ記事を書いていきます。


早産ってなに?

正期産と呼ばれる時期は妊娠37週0日~41週6日までの期間です。
早産はこれよりも早い妊娠22週0日~36週6日の期間で出産する場合をさしています。

全妊娠うち、20人に1人は37週0日に満たない早産といわれる時期で出産しています。
 

早産だとどのような問題が生じるのか?

赤ちゃんは妊娠週数の経過とともに、毎日少しずつ、外界で適応できるように体の機能が成長していきます。

正期産であれば、赤ちゃんは医療的なサポートを受ける必要がないくらい、成熟した状態で産まれてくることができますが、早く産まれてしまうほど
・自分で呼吸をする
・母乳を飲んで消化する
・体温を保つ
などが難しく、さまざまな医療サポートが必要です。

さらに、妊娠30週未満では赤ちゃんは感染症に弱く、脳の出血や目の障害などの全身へ影響が出やすく、後遺症が残りやすいのです。

1日・1分・1秒でも長く、ママのお腹の中で過ごせることが、赤ちゃんの将来を左右します
そのため、産科医は安静を指示し、点滴や外科的処置をして、その時間をできるだけ長くできるようにしているのです。

早く産まれた赤ちゃんが退院できるのは、出産予定日が一つの目安です。
目安として妊娠30週未満や1000g未満で産まれたお子さんは半年の程度入院が必要です。先天的な病気や障害を持っているお子さんは、年単位で入院することもありました。

新生児集中治療室の看護師のお仕事

新生児集中治療室で看護するのは、実は赤ちゃんだけではありません。
ママ・パパなどの赤ちゃんをとりまく人も看護の対象です。

赤ちゃんの看護

赤ちゃんが大きくなるには、暖かく、栄養が十分で、静かな環境が必要です。
病状に合わせて治療を行いながら、赤ちゃんの成長・発達を妨げないような環境を整えることも大切な看護です。

ママ・パパの看護

早く生まれた赤ちゃんは集中的な治療を必要とすることが多く、普通に抱っこができるようになるまでに、数週間から数か月の時間がかかることが少なくありません。

急性期には保育器に入る赤ちゃんの頬や手足に触れるだけ‥。
その痛々しい姿、人工呼吸器やたくさんの点滴、痛みを伴う治療に、自責の念を持たれる方が多いのです

そんなママ・パパたちの精神的なサポートは、赤ちゃんのためにもとても大切です。
出産後にママが退院しても、赤ちゃんが退院できないために雨の日も休まず、面会にいらっしゃる方が多いので、体調面の配慮も重要です。

赤ちゃんとご両親の両方に配慮しながら、おうちに帰れる日まで、抱っこ・授乳・沐浴の練習だけでなく、愛着形成のサポートも行っています。

NICUの看護師は第2のママ!?私とOちゃんの思い出

新生児集中治療室の赤ちゃん

新生児集中治療室に入院する子どもたちには、さまざまな医療的サポートが必要です。
「普通」であれば、当たり前にできること、例えば目を開ける、初めて口からミルクを飲む、抱っこする、お風呂に入る…。

本来はパパ・ママが経験する大切な瞬間が、病院では治療の合間に置き去りにされてしまうことも少なくありません。

そのため私が働いている新生児集中治療室では、その一瞬・一瞬を写真に撮って残しています。
毎日の様子を交換日記風に看護師とママ・パパでノートに記載して、お渡しする病院は多く、私の働いていた病院も例外ではありませんでした。

私の担当患者さんだったOちゃんのお話

たくさんの子ども達の担当をしてきましたが、忘れられない患者さんがいらっしゃいます。
今ではもうすぐ中学生になるOちゃんです。

Oちゃんはとても難しい病気で、生まれてから1年以上も入院し、初めてのクリスマスもお正月も誕生日も病院で迎えました。

口からミルクを飲む、抱っこする、お風呂に入る…。可能な限り初めての瞬間にご家族が立ち会えるようにし、たくさんの思い出を残しました。
当時、私の病院は申し送り時間以外は、ご両親の面会が24時間OKされていたので、ママとパパと年越しカウントダウンをしたのも良い思い出です。

担当患者さんの交換日記作りや記念日写真は、看護師の腕の見せ所!!

夜中の様子や、大泣きしている表情、お風呂でご機嫌な表情など、ちょっとしたしぐさや、表情、自分が親なら残しておきたい写真を撮って交換日記として残し、退院する頃には大学ノート2冊分にもなってしまいました。

ママは今でもお会いすると仰ってくださいます。
「AkariさんはいつもOちゃんが、いちばん可愛いって言ってくれてたの」
「写真に撮ってくれる表情がいつも可愛くて、本当に愛されているって思っていたのよ」「うちでは、病院にもう一人ママがいるって思って、Akariさんの担当の日は安心していたの」
と。

交換日記が大切な宝物に

Oちゃんが小学生になったとき、自分の赤ちゃんの頃の写真を持っていく授業があったそうです。
その時に「病院のママが作ってくれた交換日記を持たせたのよ」と教えてくれました。

その交換日記と写真には、Nちゃんとご家族の1年以上のがんばりと、成長・思い出が刻まれています。
Oちゃんの入院中は辛いことも悲しいこともたくさんあったけれど、そのアルバム1ページ・1ページが、ご家族にとってかけがえのない宝物になっているそうです。

さらに、Oちゃんママは「将来は結婚式のムービーでも使うから!」と言っていて、いつか来るOちゃんの結婚式を私は心待ちにしています。

10年前の交換日記が思いもかけない形で未来へ繋がっていく…。あのときの私には想像もできませんでした。
看護師をしていて良かったなぁ…と、ココロが満たされる、大切なOちゃんとのエピソードです。

最後に

新生児集中治療室に入院することは、赤ちゃんにとってもご家族にとっても、決して嬉しい事ではありません。

それでも、辛いことばかりでつい忘れてしまいそうな大切な記念日を、普通のご家族と同様に体験できるように、時間・場所を提供すること。
その瞬間・瞬間を切り取って、届けることが、新生児集中治療室での看護師の大切なお仕事だと思います。

現役看護師 小田あかり

この記事の執筆者:現役看護師 小田あかり

2003年から看護師として勤務。小児科・NICU・産科を経験し、現在は都内病院で勤務しています。
多数の学会発表の経験を活かして、医療ライターとしても活動中。

赤ちゃんと共に日々頑張っている妊婦さんに向けて、役立つ記事を書いていきます。

妊娠異常や異常分娩に、医療保険での備えを。

妊娠中に異常を起こし、切迫早産になったり帝王切開出産になるケースはとても多いです。
そのようなときに医療費を気にせず治療をすぐに受けられる医療保険はとても大切。

もし妊娠中でまだ医療保険に未加入の方がいらしたら絶対加入をお勧めしたいです。
(実際に弊社の女性スタッフが医療保険で救われた事例も載せています)
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