現役看護師から妊婦さんへのメッセージコラムNurse Column

「お腹が張る」は切迫早産・流産のサインの可能性。ベビーからのSOSを聞こう。

公開日:2021/02/10
最終更新日:2022/02/11

こんにちは、現役看護師のAkariです。
今回は妊婦さんにとってよくある、「お腹が張る」ことについてです。

私の職場でも、お腹の張りに悩まされいた同僚看護婦がいました。
当初は我慢をしていましたが、ひどいお腹の張りを感じて診察を受けたところ、切迫早産の恐れがあるという診断を受けて長期間の入院をしました。

それだけ「お腹が張る」ことは注意が必要なサインなのです。

■ 参考「妊娠中の方にお勧めしたい医療保険ページ」
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(妊娠22週での妊婦検診で切迫早産と診断され、3ヵ月超入院した弊社の女性スタッフの体験談も載せています)

現役看護師 小田あかり

この記事の執筆者:現役看護師 小田あかり

2003年から看護師として勤務。小児科・NICU・産科を経験し、現在は都内病院で勤務しています。
多数の学会発表の経験を活かして、医療ライターとしても活動中。

赤ちゃんと共に日々頑張っている妊婦さんに向けて、役立つ記事を書いていきます。


切迫早産や切迫流産はどれくらいの人がなってしまうの?

切迫早産とは、37週よりも早く生まれてしまう「早産」の危険性が高い・早産の1歩手間という状態をいいます。

具体的な症状として、
・おなかの張りや痛みが頻回に起きる
・子宮口が開き赤ちゃんが出てきそうな状態
をさします。

切迫流産とは、妊娠22週よりも早く赤ちゃんが生まれてしまう状態を流産と言いますが、その流産の1歩手前の状態で、適切な対応をすれば妊娠の継続・赤ちゃんの命をつなぎとめることは可能です。
切迫流産全体の9割は正常の妊娠に戻るので安心してください。

切迫流産で見られる症状としては、おなかの痛みや出血などがあります。

4人に1人以上の人が切迫経験あり。

2016年の全労連(全国労働組合総合連合)の調査によると、一般的な職業での切迫流産・切迫早産の経験率は27.5%です。
流産経験のみですと、23%となっています。

ちなみに、看護師の場合だと37.4%で、3人に1人とどの職業よりも突出しています。
不規則な生活リズムやストレスが影響を与えると言われているので、看護師は妊婦さんにはハイリスクな仕事といえます。

お腹が張っても休めない。赤ちゃんのSOSを見逃さないで。

同僚の看護師のCさん(妊娠中)のエピソードをお話しします。

Cさんは内科系外来で働く私の後輩で、初めての妊娠でした。
妊娠5か月くらいから
「仕事をしていると、時々きゅーっとおなかが張るんです」
「座っていればよくなります」
と話していました。

「お腹が張る」のはベビーからのサイン

おなかが張るときは
「ちょっと姿勢が苦しいよ」
「ママ、つらいよー」
とベビーが訴えているサインともとる事ができます。

きちんと医師や助産師に相談し診察をうけましょう。
横になって休息をとっても回復しない場合は、薬で症状を和らげるなど赤ちゃんの負担をとり、おなかが張らない環境を作ってあげましょう。

また、赤ちゃんはストレスフルな状態では、健康に育っていく事ができません。
子宮が収縮する状態が続いていると、おなかの中の居心地が悪くなってしまいます。

特にお腹の張りに出血を伴う症状は、「赤ちゃんの命がけのSOS」ですので、早く受診する必要があります。

張る頻度が増えていたけれど

頑張り屋のCさんは、仕事中に休息をとったりしながら働いていました。
張りが強くなった時にはトイレに行って尿を出して お腹の中の空きスペースを作ると症状はいくらか改善していました。

しかし、7か月目のある日のこと。
朝からずーっと張っていて、トイレに行っても座っていても良くならないCさん。

本人は「大丈夫。みんなに迷惑かかるから働きます」と言っているけど、表情も険しくなっています。

お腹を触らせてもらうと、いつもよりも硬くバレーボールの様に張っていました。
みんなで「すぐに受診してほしい。一緒に院内の産科外来についていくから!」と説得して、緊急で診察をうけに行きました。

診察の結果は「入院・絶対安静」

診察の結果、「子宮口が開いてしまっていて、いつ産まれてもおかしくない切迫早産」と診断されました。

このとき、彼女はまだ妊娠24週に入ったばかり。
入院して安静に過ごすように言われ、トイレもベッドの上でして生活することになりました。

大変な入院生活でしたが、3か月の入院をして妊娠37週を過ぎ、最後は無事に元気なお子さんを出産することができました。

出産後のCさんは、こんなことを言っていました

「お腹が張るのはいつものことで、きっと良くなるから様子を見ようと思っていました。
あの時、病院に行くように強く言ってくれなければ、早産になったり流産してしまったかもしれないって思うと、言ってくれてよかったです。
普段と違うときには無理をしないですぐに受診するって大切だなと思いました」
と。
  

様子を見る、ネットで調べるだけで終わらせないで!

私は内科だけでなく、循環器や産科・小児科の経験があるのでいろいろな相談を受けます。
妊婦さんからはお腹が張る・胎動が減ったなどの相談が多いのですが、妊娠中の状態はエコーやNSTで適切に状態を把握する必要があるので、「いつもと違う」と感じたら受診をするように強く勧めています。

何もなければ『よかったね』で終わりますが、もし何かあれば「入院」、「自宅安静」、最悪の場合は「流産」となるケースもあります。

看護師自身でさえベビーのサインに気づくのが難しいのですから、医療の知識がない人にとってはさらに難しいですよね。

「これは大丈夫かな?」、「何か変じゃないだろうか」、そういうときはついついスマホで検索魔になってしまうかもしれません。
でも「ネットで自分の安心できる答えが見つかったから解決!」では、本当の問題は解決されてません。

ベビーのサインに気づけるのは、ママだけということを忘れないようにしてほしいと思います。
心配なとき・いつもとなにか変な感じがするときは決して無理をせず、我慢せず病院に相談しましょう。

今回の記事のまとめ

・いつもある症状でも長く続くとき、いつもと何か違う感じがするときには注意が必要です。
・大切なベビーからのサインに気づいたら、そのままにしないようにしましょう。
・新型コロナウイルス感染症が心配な場合は、電話相談もおすすめです。

現役看護師 小田あかり

この記事の執筆者:現役看護師 小田あかり

2003年から看護師として勤務。小児科・NICU・産科を経験し、現在は都内病院で勤務しています。
多数の学会発表の経験を活かして、医療ライターとしても活動中。

赤ちゃんと共に日々頑張っている妊婦さんに向けて、役立つ記事を書いていきます。

妊娠異常や異常分娩に、医療保険での備えを。

妊娠中に異常を起こし、切迫早産になったり帝王切開出産になるケースはとても多いです。
そのようなときに医療費を気にせず治療をすぐに受けられる医療保険はとても大切。

もし妊娠中でまだ医療保険に未加入の方がいらしたら絶対に加入をお勧めしたいです。
実際に弊社の女性スタッフは切迫早産で3ヵ月超の入院をし、医療保険でかなり救われました。
以下ページにその体験談を載せています。
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