FP・識者の保険コラムExpart Column

火山噴火をカバーする金融派生商品、箱根で販売広がる。

2016年12月13日

東京海上日動火災保険が神奈川県の箱根山の噴火の際に一定額を支払う金融派生商品(金融デリバティブ)の販売を12月より開始しました。
噴火による建物の損壊などの被害がなくても決済金が支払われるのが特徴で、噴火による風評被害にも対応できる「保険」として注目されています。

火山噴火の影響を大きく受ける観光業

箱根山の噴火の後、地元の旅館などはキャンセルなどで客足が遠のき、経営に大きなダメージを受けたというニュースが報道されていました。
一度噴火が起これば、噴火の危険性を考えて旅行先として敬遠する人も増えてしまい、通常の客足に戻るまでには相当な時間がかかってしまいます。

東京海上社では11月から一部で試験的に販売していたところ、事業者のニーズが強いということで本格的な販売に踏み切ったようです。それだけ噴火による影響が観光業にとって大きいことがうかがえますね。

金融派生商品は観光業の新たなリスクヘッジとなるか

金融派生商品の内容は、気象庁が箱根山を噴火警戒レベル3(入山規制)と認定した場合に1口年150万円のオプション料に対して日額10万円の決済金が支払われるというものです。支払限度額は300日分で3,000万円となります。

決済金額やオプション料の設定は事業者の要望に応じて変更はできますが、このオプション料が高いのか安いのかの判断は難しそうですね。
年間で何日くらい箱根山が噴火警戒レベル3と認定されるかによって感じ方が違ってくるのではないでしょうか。

一般的な保険では風評被害は補償されませんが、この金融派生商品を使えば風評被害による逸失利益が補填できます。火山周辺の観光事業を営む企業にとっては経営のリスクヘッジになりますね。
日本への外国人旅行者が過去最高を更新する一方で、日本は火山大国とも言われるなど噴火による自然災害リスクは確実に存在します。この金融派生商品の対象となる火山が今後増えていき、安定した観光事業を生み出すことを願います。

監視・観測対象となっている日本の火山一覧

以下は、気象庁が公表している「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」です(2016年12月時点)。
火山マップ