現役の糖尿病療養指導士が書く糖尿病コラムdiabetes-column

病気になると血糖値が変動するシックデイとその対策

公開日:2021/01/18
最終更新日:2021/08/01

糖尿病でない人であれば、風邪などの病気にかかったり、熱が出る・下痢する・吐く、食事ができないなどの症状のときは、体をやすめ消化の良いものを食べたり症状が良くなるまで様子を見ていると思います。

しかし糖尿病の患者さんが同じような症状がある時には、『シックデイ』(体調の悪い日)と言い、血糖値や体調の管理にいつもより注意する必要がでてきます。

体調が悪くなったり細菌に感染すると、インスリンを効きにくくする物質や、血糖値が高くなるようなホルモンが多く分泌されます。
糖尿病でない人であれば、インスリンも多く分泌されても血糖値が高くなることはありません。

しかし、糖尿病の患者さんは自分の体ではインスリンの量が調整できないので、通常と同じ量の内服薬やインスリンを使用していても血糖値が高くなりやすいのです。
ある研究では、普段よりも30%くらい血糖値が高くなるという結果も発表されています。

そのため、普段インスリンを使わなくてもいいくらい血糖値の値が安定している人でも、感染症にかかるとびっくりするくらい血糖が高くなってしまい、入院している場合は体調が安定するまで一時的にインスリンを使用することがあります。

1型糖尿病患者さんなどインスリンを全く分泌できない患者さんでは、さらに血糖値が高くなりやすいので注意が必要です。

血糖値が高くなる一方で、体調が悪いことで食事ができずに低血糖になるリスクも高く、安易にインスリンの量を増やせば解決するという訳ではないのです。
血糖値をこまめに確認し、いつもよりカーボカウントを厳重に行ったりなど、注意していく事が大切です。

シックデイでのときに、注意するとよいことの『シックデイルール』がありますので、ご紹介しますね。

シックデイルール

安静と保温につとめましょう。

1.スープなどで十分に水分を摂り、お粥やうどんなどで炭水化物をとりましょう。
2.インスリン製剤を使っている方は、決して自己判断でインスリンを中断しないようにしましょう。(速攻型・超速効型インスリンを使用している患者さんは、食事量に注意して、インスリン注射をすることが必要です)
3.飲み薬を使用している方は、薬の量の調整が必要な場合があります。
4.可能ならこまめに血糖自己測定をして、血糖値と病気の状態を確認しましょう。

すぐに医療機関へ連絡をするか、受診をする状態

・嘔吐・下痢がとまらない、38度以上の高熱が続くとき
・食事が24時間にわたって、全くとれない、または極端に少ないとき
・血糖値が350mg/dL以上が続くとき
・意識の状態に変化があるとき

いつシックデイになるかはわかりませんし、病院受診には感染のリスクもあります。
また、24時間365日病院に気軽に受診できるわけではありません。
私が担当している患者さんには、普段から主治医とシックデイの対応を相談しておくようお勧めしています。

現役看護師 小田あかり

この記事の執筆者:現役看護師 小田あかり

看護師として、腎臓・循環器、糖尿病に関する業務を多くこなし、糖尿病患者さんの指導も行っています。
多数の学会発表の経験を活かして、医療ライターとしても活動中。

主な所有資格:糖尿病療養指導士、呼吸療法認定士、透析学会認定など

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