FP・識者の保険コラムExpart Column

訪日外国人の医療費未払い問題、解決への処方箋は「保険加入の義務化と、専用保険商品の提供」

投稿日:2026年5月19日 (2026年5月18日更新)
保険ウィズ(株式会社ウィズハート)代表取締役 木代晃輔
株式会社ウィズハート
代表 木代晃輔
保険ウィズ(株式会社ウィズハート)代表取締役 木代晃輔
株式会社ウィズハート
代表 木代晃輔

大阪府が2025年に大阪府内の医療機関を対象に行ったアンケート調査で、訪日外国人患者による24年度の未収金は約7200万円に上りました

インバウンド需要は高く外国人旅行者が増える一方で、無保険状態で滞在中に病院・クリニックを受診し、医療費を支払わずに帰国されてしまうケースが問題となっています。

この問題は日本全国で起きていて、医療現場の負担は限界に達しつつあります。

国主導による「保険加入」の強力な推進が必要!

大阪府は東京海上日動火災保険と提携し、訪日旅行者向けの旅行保険「Japan Travel Insurance」の販売推進を進めています。
保険の内容や申込み用のQRコードなどを掲載したチラシを約9万枚作成し、関西空港や市内のホテル、観光案内所などで配布するとしています。

「Japan Travel Insurance」の保険料は滞在日数で変わり、1日で800円、31日だと9420円とかなり安価です。
日本滞在中の病気やけがに伴う治療費として、最大1000万円を補償するという旅行保険です。

■東京海上日動の訪日外国人向けの旅行保険
Travel Insurance for Visitors to Japan

今回の大阪観光局による啓発活動は大きな一歩ですが、自治体レベルの努力だけでは限界があります。
本来、日本への入国条件として(もしくはビザ発給の要件として)、十分な補償額を持つ海外旅行保険への加入を国として強く訴えていき、実質的に加入を義務化していく段階に来ています。

日本が観光立国を目指すのであれば、受け入れ側である日本の医療機関が疲弊しないための「防波堤」を国が築くべきです

「Japan Travel Insurance」の課題。1000万円の医療費補償ではとても足りない現実

提供される保険商品の内容にも目を向ける必要があります。

現在、訪日外国人が加入できる旅行保険を積極的に展開しているのは、日本の保険会社では東京海上日動火災保険だけに限られています。
その他の保険会社は収益の確保が見いだせず、販売に及び腰になっているのが現状です。

また、「医療費の補償上限1000万円」という数字は一見高額に思えますが、重度の事故や長期のICU(集中治療室)利用、さらに医療搬送を伴う帰国が必要になった場合には1000万円ではとても足りません
ここに大きな課題があります。

訪日客のニーズも多様化しており、より高額な補償プランや多言語対応の充実など、保険会社側のさらなる努力が求められます。

国は保険会社に対し、訪日外国人向け商品の開発や参入を促すインセンティブを設けるなど、官民一体となって「旅行者が安心して日本旅行を楽しむことができ、医療を受けた際には医療機関も確実に報酬を受け取れる」仕組みを構築しなければなりません。

木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。

損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。

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