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胃がんの治療費と医療費負担を軽減する制度|既往歴がある方の保険加入も解説

投稿日:2026年5月30日

胃がんにかかる治療費と医療費助成制度の解説|医療保険加入についても解説

胃がんにかかる治療費と医療費助成制度の解説|医療保険加入についても解説

胃がんは、かつて日本人のがん死亡数で第1位を占めていた病気ですが、検診の普及や治療法の進歩により、現在は早期発見・早期治療で完治が目指せるようになりました。

この記事では、胃がんの基礎知識から治療法、医療費の負担を軽減できる公的制度、そして既往歴がある方の保険加入について解説します。

胃がんとはどんな病気か

胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、増殖を繰り返す病気です。
進行すると、がん細胞は胃壁の深くまで広がり、周囲のリンパ節や他の臓器に転移していきます。

国立がん研究センターによると、2021年に胃がんと診断されたのは112,881例(男性76,828例、女性36,053例)でした。
また、2024年の胃がんによる死亡数は 37,867人(男性24,720人、女性13,147人)で、肺がん、大腸がんに次いで第3位となっています。

一方で、5年相対生存率は66.6%であり、早期(限局)で発見された場合は92.4%まで上昇します。
また、早期発見・早期治療が予後を大きく左右する点が、胃がんの特徴です。
国立がん研究センターがん情報サービス

胃がんの種類と特徴

胃がんは、がん細胞の形や性質によって「分化型」と「未分化型」に大きく分けられます。
分化型胃がんは、ピロリ菌感染による慢性胃炎から発生するケースが多いのが特徴です。

未分化型胃がんは、がん細胞がバラバラと広がるように増殖し、分化型に比べて進行が速い傾向があります。
未分化型の中には、スキルス胃がんと呼ばれるタイプも含まれます。

スキルス胃がんは胃壁にしみこむように広がるため進行が速いうえ、発見が困難です。
発見時にはすでに腹膜に転移しているケースも少なくありません。

胃がんの症状

胃がんは早期ではほとんど症状がありません。
病状が進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

・腹部の痛みや不快感
・胸やけ
・吐き気
・食欲不振
・体重減少
・黒色便(タール便)

ただし、これらの症状は胃炎や胃潰瘍など他の消化器疾患でも見られるため、区別がつきにくい場合があります。
症状が続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

胃がんの原因

胃がんの発生要因として、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染が最も重要です。
ピロリ菌に長期間感染すると、胃の粘膜が薄くやせてしまう「萎縮」が進行し、胃がんを引き起こしやすい状態になります。

ピロリ菌の除菌により、胃がんの発生リスクが低下することが明らかになっています。
ただし、除菌後も胃がんになる可能性がゼロになるわけではありません。

そのため、定期的な胃内視鏡検査を受けることが推奨されています。
また、喫煙や食塩・高塩分食品の摂取も胃がんの危険性を高めることが報告されています。

胃がんの治療方法

胃がんの治療方法は、がんの進行度(ステージ)や患者さんの全身状態を考慮して決定されます。
主な治療法は、内視鏡治療、手術(外科治療)、薬物療法(抗がん剤治療)の3つです。

がんが粘膜内にとどまる早期胃がんには、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった内視鏡治療が行われます。
胃を温存できるため体への負担が少ないのが特徴です。

進行した胃がんでは、がんとその周囲のリンパ節を切除する手術が基本です。
近年は腹腔鏡下手術やロボット支援手術も普及し、開腹手術より傷が小さく回復も早いとされています。

薬物療法は、手術前後の再発予防やがんの進行抑制を目的に行われ、遠隔転移がある場合や手術が困難な場合には、治療の中心となります。

胃がん治療にかかる費用と活用できる支援制度

胃がんの治療費は、ステージや治療法によって変わります。
たとえば、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を受ける場合、医療費総額は約60万〜70万円程度です。

3割負担の場合、患者さんの自己負担額は約18万〜21万円となりますが、高額療養費制度を活用すれば自己負担は10万円以下に抑えられる場合もあります。
手術(腹腔鏡下手術など)の場合は、入院日数や術式によって費用が異なりますが、いずれの治療でも高額療養費制度をはじめとする公的支援制度が利用できます。

① 高額療養費制度で月々の上限を抑える

高額療養費制度は、1か月に支払った治療費が一定額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。
自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なります。

たとえば、70歳未満で年収約370万〜約770万円の方の場合、1か月の自己負担額は「80,100円+(総医療費−267,000円)×1%」の算式で求めた金額です。

事前に健康保険組合などの窓口で「限度額適用認定証」をもらっておくことで、医療機関での支払いは自己負担の上限額だけで済みます。

所得区分 (年収目安) 自己負担限度額
年収約1,160万円以上 252,600円 + (総医療費 - 842,000円) × 1%
年収約770万〜約1,160万円 167,400円 + (総医療費 - 558,000円) × 1%
年収約370万〜約770万円 80,100円 + (総医療費 - 267,000円) × 1%
年収約370万円未満 57,600円
住民税非課税世帯 35,400円

② 働けない期間の収入をカバーする傷病手当金

健康保険に加入している方が病気やけがで働けなくなった場合、傷病手当金を受け取ることができます。
連続する3日間の待機期間の後、4日目から通算1年6か月間、標準報酬日額の3分の2相当額が支給されます。

③ 年間の医療費が多い場合は医療費控除も検討

1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告をすることで所得税の還付を受けられる制度です。
本人だけでなく、生計を一にする家族の医療費も合算できます。

胃がんと診断された方の保険加入

胃がんと診断された後の保険加入は一般的に困難ですが、診断前から加入していた保険は継続できます。
また、引受基準緩和型保険や無選択型保険など、条件によっては新規加入できる保険もあります。

診断前に加入していた保険を継続する重要性

胃がんと診断される前から加入していた医療保険がある場合、安易に解約してはいけません。
診断前に加入していた保険であれば、胃がんによる入院や手術でも給付金を受け取ることができます。

一度解約すると、胃がんの診断歴があるため、改めて医療保険に加入するのは難しいでしょう。
保険料の支払いが厳しい場合、加入している保険の種類によっては、払済保険への変更など解約以外の選択肢もあります。

通常の医療保険への加入が難しい理由

一般的にがんにかかったことがある方が、通常の医療保険や死亡保険に加入することは困難です。
これは、入院や手術または死亡する確率が健康な方よりも高いと判断されるためです。

がんは再発や転移の可能性がある病気であり、保険会社は引受けリスクを慎重に判断します。
保険加入時は、過去の病歴や治療歴を正確に告知する必要があります。

告知義務違反があると契約が解除されたり給付金が支払われない可能性があるため注意が必要です。

引受基準緩和型医療保険という選択肢

通常の医療保険への加入が難しい場合でも、引受基準緩和型医療保険という選択肢があります。
この保険は告知項目が3〜5項目程度と少なく、持病や既往歴がある方でも加入しやすい設計となっています。

引受基準緩和型医療保険の主な告知項目

引受基準緩和型医療保険の告知項目は、通常以下のような内容です。

・過去3ヶ月以内に医師から入院・手術・検査をすすめられていないか
・過去2年(1年)以内に、入院・手術をしていないか
・過去5年以内にがん(上皮内がんを含む)・肝硬変・統合失調症・認知症・アルコール依存症で医師の診察・検査・治療・投薬を受けていないか

※告知項目は保険会社によって異なります。
胃がんにかかったことがある方でも、治療を終えてから5年以上、再発・転移がなく完治しており、上記の質問にすべて「いいえ」であれば申し込みが可能です。

また、保険会社によって告知項目は異なり、2年以上前の入院・手術を一切問わない保険もあります。

引受基準緩和型医療保険の主な特徴

引受基準緩和型医療保険の主な特徴は以下のとおりです。

・告知項目が少なく、加入しやすい
・加入前の持病が悪化・再発した場合も保障対象となる商品がある
・通常の医療保険と比べて保険料は割高

通常の医療保険では7~10項目程度の詳細な告知が必要ですが、引受基準緩和型では3〜5項目程度に簡素化されています。

持病の悪化はもちろん、持病以外の病気やケガも保障の対象です。
加入条件が緩和されている分、保険料がやや高めになります。

また、契約から一定期間(通常1年間)は給付金額が50%に削減される商品もあるため、契約前に詳細な条件を確認しましょう。

無選択型保険について

「引受基準緩和型保険」への加入が難しい方には、申し込みの際に告知をする必要のない「無選択型保険」もあります。
無選択型保険とは、健康状態の告知や医師の診査が不要な保険ですが、年齢や職業などの一定の条件があります。

誰でも加入できる分、保険料が高く、保障内容に制限があり、加入を検討するときには注意しなければいけません。
そして保険種類によっては年齢や職業、加入限度額によっては加入できない場合もあります。

無選択型保険に加入した後も、健康状態が改善し引受基準緩和型の告知項目に該当しなくなれば、新たに引受基準緩和型保険への加入を検討することができます。

がん保険への加入可能性

胃がんの既往がある方の場合、通常のがん保険への新規加入は一般的に困難です。
ただし、がん経験者専用のがん保険が一部の保険会社から販売されており、以下の条件を満たせば加入を検討できる場合があります。

・がん治療を受けた最後の日から5年以上経過している(保険会社により3年以上の場合もあり)
・過去5年以内にがんの診断・治療を受けていない
・再発や転移がない

これらの保険は、過去に経験したがんの再発・転移も保障対象となる商品もありますが、通常のがん保険と比べて保険料は割高に設定されています。

また、引受基準緩和型医療保険にがん診断一時金などの特約を付加できる商品も選択肢の一つです。
ただし、がん保障の特約を追加する場合も、過去5年以内のがん治療歴に関する告知が求められるのが一般的です。

まとめ

胃がんはかつて日本人のがん死亡数第1位でしたが、検診や治療の進歩により、早期発見・早期治療で完治が目指せるようになりました。
治療費が高額になることもありますが、高額療養費制度や傷病手当金、医療費控除などの公的制度を活用することで、負担を軽減できます。

胃がんの既往歴がある方でも、引受基準緩和型の医療保険や死亡保険を利用できる場合があります。
また、診断前に加入していた保険は安易に解約せず、継続することが大切です。

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