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てんかんの治療にはいくらかかる?医療費助成制度と保険加入のポイントを解説

投稿日:2026年02月24日

てんかんの治療費と保険活用

てんかんの治療費と保険活用

てんかんは、脳の神経細胞の異常な電気活動により繰り返し発作を起こす疾患です。

適切な治療により多くの患者さんが発作をコントロールできるようになりましたが、長期的な服薬治療が必要となるため、医療費の負担について理解しておくことが大切です。

てんかんとは

てんかんは、脳の神経細胞が異常な電気活動を起こすことで発作を繰り返す神経疾患です。
日本の推定患者数は約71万~93万人とされ、全症例の約60%を部分発作が占めています。

発作の型により単純部分発作、複雑部分発作、全般発作など様々な症状が現れます。
現在では抗てんかん薬による治療により、約70~80%の患者さんが発作をコントロールできるようになっています。

ただし、治療は長期間にわたることが多く、継続的な通院と服薬が必要です。

てんかん治療にかかるお金の実際

てんかんの治療は長期にわたるため、医療費の負担について理解しておくことが重要です。

治療費は使用する薬剤や発作の頻度によって変動しますが、自立支援医療制度などの公的支援を活用することで、実際の負担を大幅に軽減することができます。

基本的な治療にかかる費用

てんかんの治療は抗てんかん薬の服用が基本となります。
第一選択薬として用いられる代表的な薬剤に、レベチラセタム(イーケプラ)、カルバマゼピン(テグレトール)、バルプロ酸ナトリウム(デパケン)などがあります。

レベチラセタムを例にとると、イーケプラ錠500mgは1錠あたり112.9円の薬価です。
1日2回服用する場合、薬剤費の総額は1日約226円、月額では約6,780円程度となります。

通常の医療保険(3割負担)では、薬剤費の自己負担は月額約2,034円です。
これに診察料や検査費用を含めると、通常の通院治療では月額1~2万円程度の医療費がかかる計算になります。

ただし、後述する自立支援医療制度を利用することで、自己負担を大幅に軽減できます。

発作が続く場合や入院が必要な場合の治療費

発作のコントロールが困難な場合は、複数の抗てんかん薬を併用したり、より高額な薬剤を使用することがあります。
てんかん重積状態など緊急の治療が必要となった場合は入院が必要となり、医療費が高額になる可能性があります。

入院治療では、点滴による抗てんかん薬の投与や各種検査が行われるため、入院期間に応じて医療費が増加します。

てんかん患者が利用できる公的支援制度

てんかんの診断を受けた方が利用できる公的支援制度について説明します。
特に重要なのが自立支援医療制度で、この制度を活用することで医療費の自己負担を大幅に軽減できます。

自立支援医療(精神通院医療)制度

てんかんは自立支援医療(精神通院医療)の対象疾患です。
この制度を利用することで、通院による治療の自己負担が原則として医療費の1割に軽減されます。

さらに、所得に応じて1ヶ月あたりの自己負担上限額が設定されるため、継続的な治療の経済的負担を大幅に軽減できます。

対象となる医療

精神障害(てんかんを含む)に対して、病院または診療所に入院しないで行われる医療が対象となります。

・外来での診察
・外来での投薬
・デイ・ケア
・訪問看護

ただし、入院医療の費用や公的医療保険が対象とならない治療は対象外です。

自己負担額について

通常3割の医療費負担が1割に軽減され、さらに所得に応じて月額の自己負担上限額が設定されます。

階層区分別の自己負担上限額は以下の通りです。
・生活保護世帯:0円
・低所得1(市町村民税非課税世帯で本人年収80万円以下):月額2,500円
・低所得2(市町村民税非課税世帯で本人年収80万円超):月額5,000円
・中間所得(市町村民税課税世帯で所得割23万5千円未満):医療保険の自己負担限度額
・一定所得以上(市町村民税課税世帯で所得割23万5千円以上):原則対象外

ただし、てんかんは「重度かつ継続」の対象疾患に該当するため、市町村民税課税世帯の方でも以下の軽減措置が適用されます。
・中間所得の方:月額10,000円
・一定所得以上の方:月額20,000円(令和9年3月31日までの経過措置)

申請方法と必要書類

申請はお住まいの市町村の担当窓口(障害福祉課など)で行います。

申請に必要な書類は以下の通りです。

・自立支援医療支給認定申請書
・医師の診断書(指定自立支援医療機関の医師が作成)
・健康保険証の写し
・市町村民税の課税証明書または非課税証明書
・マイナンバーの確認書類

受給者証の有効期間は1年間のため、継続して医療費助成を受けるには更新申請が必要です。
更新申請は有効期間終了の約3ヶ月前から受付が始まり、病態や治療方針に変更がなければ2回に1回は診断書の提出を省略できます。

高額療養費制度

自立支援医療制度は通院医療が対象ですが、入院が必要となった場合などは高額療養費制度を利用できます。
同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分があとで払い戻される制度です。

医療費が高額になることが事前にわかっている場合は、「限度額適用認定証」を提示することで、医療機関での支払いを自己負担限度額までにすることができます。

精神障害者保健福祉手帳

てんかんにより長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある方は、精神障害者保健福祉手帳の取得を検討できます。
手帳を取得すると、等級に応じて以下のような支援を受けられる可能性があります。

・公共料金の割引
・税金の控除・減免
・公共交通機関の運賃割引

手帳の申請は市町村の担当窓口で行います。

障害年金

てんかんの症状が重く、就労が著しく困難な状態が続く場合は、障害年金の受給を検討できます。
障害の程度に応じて、障害基礎年金または障害厚生年金が支給される可能性があります。

申請には初診日から1年6ヶ月以上経過していることなど、一定の要件があります。

傷病手当金

病状により就労が困難になった場合、健康保険の傷病手当金を受給できる可能性があります。
連続する3日間を含む4日以上の労務不能期間があれば、最長1年6ヶ月間、標準報酬日額の3分の2相当額が支給されます。

てんかん患者が知っておきたい民間保険のこと

公的支援制度により医療費負担は軽減されますが、それでも入院時の差額ベッド代や通院時の交通費など、公的制度でカバーされない費用が発生します。
また、発作により就労が制限された場合の生活費など、医療費以外の経済的リスクにも備える必要があります。

ここでは、てんかんと診断された方が民間保険をどのように活用すべきか解説します。

てんかんと診断されてからも加入できる医療保険は?

てんかんの診断を受けた場合、通常の医療保険への新規加入は困難になる可能性があります。
診断後でも加入を検討できる保険として、告知緩和型医療保険や引受基準緩和型医療保険があります。

これらの保険は、通常の医療保険と比べて告知項目が少なく、てんかんの診断歴や治療状況によっては加入できる可能性があります。

ただし、以下の点に注意が必要です。

・保険料が通常の医療保険より高額に設定されている
・加入後一定期間(通常1年間)は保障額が削減される商品もある
・てんかんに関連する入院・手術については保障の対象外となる場合がある

加入の可否や条件は、てんかんの診断時期、発作の頻度、服薬状況などにより個別に審査されます。

弊社ウィズハートではてんかんをお持ちの方でもご加入いただける可能性のある保険がございますので、ご興味のある方はお気軽にお問合せください。
ウィズハートへの保険のご相談はこちら

すでに加入している保険の活用方法

てんかんの診断前に加入していた保険は、診断後も継続して保障を受けることができます。
既契約の保険を最大限活用するための確認ポイントをご説明します。

保障内容の確認ポイント

すでに加入している医療保険については、以下の内容を確認しておきましょう。

・入院給付金の日額と支払限度日数
・手術給付金の対象範囲と給付倍率
・通院給付金の有無と条件
・先進医療特約の有無

診断前に加入していた保険であれば、てんかんによる入院や手術でも給付金を受け取ることができます。

給付金請求のタイミング

入院した場合や手術を受けた場合は、速やかに保険会社に連絡して給付金を請求しましょう。
請求には医師の診断書が必要となりますが、入院日数が短い場合などは診断書の代わりに医療機関の領収書で対応できる場合もあります。

既契約の保険を継続する重要性

てんかんの診断後は、既存の保険を安易に解約しないことが極めて重要です。
一度解約すると、診断歴があるため再加入が困難になる可能性が高くなります。

保険料の支払いが困難な場合は、保障額を減額して保険料を抑える方法や、払済保険への変更なども検討できます。
まずは保険会社に相談してみましょう。

家族全体で備えるという考え方

本人の保険加入が困難な場合は、家族の保障を充実させることで世帯全体のリスクに備える方法もあります。
配偶者や子どもの医療保険を手厚くしておくことで、家族が病気になった際の経済的負担に対応しやすくなります。

病気になる前に保険を検討する重要性

てんかんに限らず、慢性疾患の診断を受けると、新規の保険加入が困難になる可能性が高まります。
健康なうちに医療保険への加入を検討しておくことで、将来的なリスクに備えることができます。

特に家族にてんかんや他の神経疾患の既往がある方は、早めに保険加入を検討しましょう。

まとめ

てんかんの治療では、自立支援医療(精神通院医療)制度の申請が最優先です。
所得に応じた自己負担上限額が設定され、「重度かつ継続」対象のため市町村民税課税世帯でも月額上限5,000円または10,000円に軽減されます。

民間保険については、診断後の新規加入は困難になる可能性が高いため、既存の保険を安易に解約せず保障内容を活用しましょう。
診断後でも告知緩和型医療保険など加入できる選択肢はありますが、個別審査が必要です。

弊社ウィズハートではてんかんをお持ちの方でもご加入いただける可能性のある保険がございますので、ご興味のある方はお気軽にお問合せください。
ウィズハートへの保険のご相談はこちら

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