糖尿病の子供は保育園には入れないの?お母さんの深い悩み。
最終更新日:2021/08/01
前回の記事で、幼稚園・保育園での1型糖尿病患者の受け入れ実態について記事を書かせていただきました。
■前回の記事
1型糖尿病の子供を幼稚園保育園・学校に入れる際の注意点を、現役看護師が解説
今回はその続きで、1型糖尿病の娘さん(Nちゃん)を育てるお母さんのお話です。
ちなみに、今回のNちゃんママのお話は漫画版もありますので、よろしければそちらもご覧ください。
【漫画】うちの子は糖尿病だから保育園・幼稚園には入れない?
この記事の執筆者:現役看護師 小田あかり
看護師として、腎臓・循環器、糖尿病に関する業務を多くこなし、糖尿病患者さんの指導も行っています。
多数の学会発表の経験を活かして、医療ライターとしても活動中。
主な所有資格:糖尿病療養指導士、呼吸療法認定士、透析学会認定など
1型糖尿病を持つNちゃんのママのエピソード
Nちゃんは産まれたときからの1型糖尿病で、3歳になりました。
おしゃべりで明るい女の子で、糖尿病外来のアイドルです。
本来であればもうすぐ保育園・幼稚園の年少さんですが、保育園・幼稚園には行かないということがわかりました。
面談でママとお話をすると、「保育園には行かせません」と、とてもこわばった表情でした。
「保育園がきちんと糖尿病の対応をしてくれないかもしれない」「子供がいじめられるかもしれない」と、ぽつりぽつりと涙を流しながら話されるのです。
いつも明るくて前向きなNちゃんママも、心の中ではいろいろな葛藤があり、結論を出されたのでしょう。
幼児期は子どもの人格形成と社会性の発達に重要な役割を持っています。親子関係だけでなく集団や社会生活での人間関係を学ぶ時期です。
もちろん保育園は義務教育ではありませんので、行かないという事も選択肢の一つです。
けれど、Nちゃんママの悩みの根底は、時間が経って小学生になれば解決するものでもないと感じました。
Nちゃんママに本当に必要だったのは
医師と相談し、Nちゃんママに地域の1型糖尿病患者会を紹介することにしました。
同じ病気をもつママ友がいないNちゃんママ。
うちにこもりがちであった点からも、自分で患者会に参加するのはハードルが高いと私は思いました。
いきなり患者会を紹介しイベントに参加してもらうのではなく、2歳年上の1型糖尿病のお子さんと受診日を合わせて、待合室で一緒になったタイミングでみんなでお話しする機会を取り持ちました。
同じ病気の子を持つママ一緒に話すうち、Nちゃんママの表情がすこしずつ柔らかくなっていきました。
ママ同士にしかわからない、看護師も立ち入れないココロの内。
Nちゃんママはやっと本音で話ができる、理解し合える人に出会えたようでした。
先輩ママと仲良くなり、いろいろな話を聞き、Nちゃんママにも変化が見られました。
患者会に入ってたくさんの人と関わりを持たれるようになり、病気になったばかりのママたちのサポート役に回ってくれるようになったのです。
その後、Nちゃんは患者会を通じて、1型糖尿病の理解と受け入れがよい保育園を紹介してもらい、4歳の春から通い始めました。
1度も低血糖にならず、元気に学校生活を送れているようです。
最後に
1型糖尿病の子どもたちの治療・療養のサポートには、成長・発達に合わせ、先を見据えたかかわりが大切です。
そして、そのサポートが実を結ぶには時間と根気が必要です。
子どもの人生に「遅かった!」と後悔することは絶対にあってはなりません。私たちもいつもアンテナを張りめぐらせて、一人一人の患者さんと向き合っていきたいと思います。
この記事の執筆者:現役看護師 小田あかり
看護師として、腎臓・循環器、糖尿病に関する業務を多くこなし、糖尿病患者さんの指導も行っています。
多数の学会発表の経験を活かして、医療ライターとしても活動中。
主な所有資格:糖尿病療養指導士、呼吸療法認定士、透析学会認定など
糖尿病の悪化や合併症発症には保険での備えを。
糖尿病をお持ちの方に特に気を付けていただきたいのはやはり合併症です。
もし合併症が発症すれば生活・家計への影響が大きくなることもあり、それへの対策として保険はとても有効な手段です。
特に今は新型コロナという新しい病気が出てきており、糖尿病の方の健康リスクはさらに大きいものとなりました。
もしまだ医療保険に未加入の方がいらしたら保険加入をお勧めしたいです。
糖尿病の方向けの医療保険・生命保険を比較できるページを用意していますので、ぜひご参照ください。
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