肺がんの治療費はいくら?公的支援制度と既往歴がある方の保険加入を解説


肺がんは、日本人の死因の上位を占める深刻ながんの一つです。
早期発見と適切な治療が重要となるこの病気について、治療方法や医療費、そして利用できる公的支援制度まで、詳しく解説します。
この記事の目次
肺がんとはどんな病気か
肺がんは、気管や気管支、肺胞などの呼吸器に発生する悪性腫瘍です。
進行すると、がん細胞が周囲の組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れに乗って全身に広がっていきます。
国立がん研究センターによると、2021年に日本全国で肺がんと診断されたのは124,531例(男性82,749例、女性41,782例)でした。
また、2024年のがんによる死亡数では、肺がんは75,569人(男性52,333人、女性23,236人)と、すべてのがんの中で最も多い死因となっています。
肺がんの種類と特徴
肺がんは、がん細胞の性質によって「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」に大きく分けられます。
非小細胞肺がんは、さらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分類されます。
腺がんは肺がんの中で最も多く、症状が出にくいのが特徴です。
扁平上皮がんは喫煙との関連が強く、咳や血痰などの症状が現れやすいとされています。
肺がんの症状
肺がんは早期ではほとんど症状がありません。
病状の進行とともに、咳、痰、血痰、発熱、呼吸困難、胸痛などの呼吸器症状が現れます。
ただし、これらは肺がんに特有の症状ではないため、他の呼吸器疾患と区別がつかないこともあります。
複数の症状が見られたり、長引いたりして気になった場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
肺がんの原因
肺がんの最大の原因は喫煙です。
日本肺癌学会によると、非喫煙者に比べて喫煙者の肺がんリスクは男性で4〜5倍、女性で2〜3倍高いと報告されています。
喫煙は肺がんの最大のリスク因子であり、喫煙に起因する肺がんは男性で70%、女性で15%と推定されています。
さらに、喫煙者の周囲にいる人がタバコの煙を吸う受動喫煙でも、肺がんの発症リスクが高まることが分かっています。
日本人を対象とした9つの疫学研究を統合解析した結果では、受動喫煙があると肺がんのリスクが約1.3倍増加することが報告されています。
喫煙以外では、慢性閉塞性肺疾患や職業上の有害物質への曝露、大気汚染、肺がんの既往歴や家族歴なども発症する危険性を高めると考えられています。
肺がんの治療方法
肺がんの治療方法は、がんの種類や進行度(ステージ)、患者さんの全身状態などを考慮して決定されます。
主な治療法には、手術、放射線治療、薬物療法(抗がん剤治療)があります。
手術による治療
手術は肺がんの基本的な治療法で、非小細胞肺がんのⅠ期、Ⅱ期とⅢ期の一部が対象となります。
手術方法には、腫瘍を肺葉ごと切除する「肺葉切除」、切除範囲を小さくする「区域切除」や「楔状切除」、片側の肺すべてを切除する「肺全摘術」などがあります。
近年では、胸部を大きく切開する開胸手術だけでなく、胸に数カ所の小さな穴を開けて胸腔鏡という細い棒状のビデオカメラを挿入する「胸腔鏡下手術」も行われています。
放射線治療
放射線治療は、高エネルギーのX線を腫瘍に照射してがん細胞を傷つけることで治療する方法です。
手術が困難な場合や、手術と組み合わせて行われることもあります。
薬物療法
薬物療法は、がんの進行を遅らせたり、腫瘍を小さくさせたりする効果があります。
近年は、がん細胞の増殖に関わる分子を標的として、その作用を阻害する働きがある分子標的薬など、新しいタイプの薬剤の開発も進んでいます。
肺がん治療にかかる費用と活用できる支援制度
肺がんの治療費は、ステージや治療法によって変わります。
国立がん研究センター中央病院によると、肺葉切除手術を受ける際の平均的な入院日数は8日、医療費総額は約169万円です。
3割負担の場合、患者さんの自己負担額は約51万円となります。
また、体幹部定位放射線治療(SBRT)の費用の目安は、10割負担で約95万円です。
ただし、これらの金額には食事代、差額ベッド代、交通費などは含まれておらず、治療法や施設によって費用は異なります。
薬物療法の費用は、使用する薬剤の種類や治療期間によって大きく変動するため、担当医にご確認ください。
いずれの治療法でも、高額療養費制度をはじめとする公的支援制度が利用できます。
① 自己負担額を軽減できる高額療養費制度
高額療養費制度は、1か月に支払った治療費が一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です
自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なります。
たとえば、70歳未満で年収約370万〜約770万円の方の場合、1か月の自己負担額は「80,100円+(総医療費−267,000円)×1%」となります。
事前に健康保険組合などの窓口で「限度額適用認定証」をもらっておくことで、医療機関での治療費の支払いは、その自己負担額の上限だけで済みます。
| 所得区分 (年収目安) | 自己負担限度額 |
|---|---|
| 年収約1,160万円以上 | 252,600円 + (総医療費 - 842,000円) × 1% |
| 年収約770万〜約1,160万円 | 167,400円 + (総医療費 - 558,000円) × 1% |
| 年収約370万〜約770万円 | 80,100円 + (総医療費 - 267,000円) × 1% |
| 年収約370万円未満 | 57,600円 |
| 住民税非課税世帯 | 35,400円 |
② 療養期間中の収入を支える傷病手当金
健康保険に加入している方が病気やけがで働けなくなった場合、傷病手当金を受け取ることができます。
連続する3日間の待機期間の後、4日目から通算1年6か月間、標準報酬日額の3分の2相当額が支給されます。
③ 確定申告で受けられる医療費控除
1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告をすることで所得税の還付を受けられる制度です。
本人だけでなく、生計を一にする家族の医療費も合算できます。
肺がんと診断された方の保険加入
肺がんと診断された後の保険加入は一般的に困難ですが、診断前から加入していた保険は継続できます。
また、引受基準緩和型保険や無選択型保険など、条件によっては新規加入できる保険もあります。
診断前に加入していた保険を継続する重要性
肺がんと診断される前から加入していた医療保険がある場合、安易に解約しないことが重要です。
診断前に加入していた保険であれば、肺がんによる入院や手術でも給付金を受け取ることができます。
一度解約すると、肺がんの診断歴があるため再加入が困難になる可能性が高くなります。
保険料の支払いが厳しい場合は、払済保険への変更など解約以外の選択肢もあるので、保険会社や代理店に相談しましょう。
通常の医療保険への加入が難しい理由
一般的にがんにかかったことがある方が、通常の医療保険や死亡保険に加入することは困難です。
これは、入院や手術または死亡する確率が健康な方よりも高いと判断されるためです。
がんは再発や転移の可能性がある病気であり、保険会社は引受けリスクを慎重に判断します。
保険加入時は、過去の病歴や治療歴を正確に告知する必要があります。告知義務違反があると契約が解除されたり給付金が支払われない可能性があるため注意が必要です。
引受基準緩和型医療保険という選択肢
通常の医療保険への加入が難しい場合でも、引受基準緩和型医療保険という選択肢があります。
この保険は告知項目が3〜5項目程度と少なく、持病や既往歴がある方でも加入しやすい設計となっています。
引受基準緩和型医療保険の主な告知項目
引受基準緩和型医療保険の告知項目は、通常以下のような内容です。
・過去3ヶ月以内に医師から入院・手術・検査をすすめられていないか
・過去2年(1年)以内に、入院・手術をしていないか
・過去5年以内にがん(上皮内がんを含む)・肝硬変で医師の診察・検査・治療・投薬を受けていないか
※告知項目は保険会社によって異なります。
肺がんにかかったことがある方でも、治療を終えてから5年以上、再発・転移がなく完治しており、上記の質問にすべて「いいえ」であれば申し込みができます。
また、保険会社によって告知項目は異なり、2年以上前の入院・手術を一切問わない保険もあります。
引受基準緩和型医療保険の主な特徴
引受基準緩和型医療保険の主な特徴は以下のとおりです。
・告知項目が少なく、加入しやすい
・加入前の持病が悪化・再発した場合も保障対象となる商品がある
・通常の医療保険と比べて保険料は割高
通常の医療保険では10項目以上の詳細な告知が必要ですが、引受基準緩和型では3〜5項目程度に簡素化されています。
持病の悪化はもちろん、持病以外の病気やケガも保障の対象です。
加入条件が緩和されている分、保険料がやや高めになります。
また、契約から一定期間(通常1年間)は給付金額が50%に削減される商品もあるため、契約前に詳細な条件を確認しましょう。
無選択型保険について
「引受基準緩和型保険」への加入が難しい方には、申し込みの際に告知をする必要のない「無選択型保険」もあります。
無選択型保険とは、健康状態の告知や医師の診査が不要な保険ですが、年齢や職業などの一定の条件があります。
誰でも加入できる分、保険料が高く、保障内容に制限があり、加入を検討するときには注意しなければいけません。
そして保険種類によっては年齢や職業、加入限度額によっては加入できない場合もあります。
無選択型保険に加入した後も、健康状態が改善し引受基準緩和型の告知項目に該当しなくなれば、新たに引受基準緩和型保険への加入を検討することができます。
がん保険への加入可能性
肺がんの既往がある方の場合、通常のがん保険への新規加入は一般的に困難です。
ただし、がん経験者専用のがん保険が一部の保険会社から販売されており、以下の条件を満たせば加入を検討できる場合があります。
・がん治療を受けた最後の日から5年以上経過している(保険会社により3年以上の場合もあり)
・過去5年以内にがんの診断・治療を受けていない
・再発や転移がない
これらの保険は、過去に経験したがんの再発・転移も保障対象となる商品もありますが、通常のがん保険と比べて保険料は割高に設定されています。
また、引受基準緩和型医療保険(がん保障付き)という選択肢もあり、こちらは治療終了から1年以上経過していれば加入できる場合があります。
まとめ
肺がんは日本人の死因の中で最も多いがんであり、早期発見と適切な治療が重要です。
治療費は高額になることがありますが、高額療養費制度や傷病手当金、医療費控除などの公的制度を活用することで、負担を軽減できます。
肺がんの既往歴がある方でも、完治後であれば引受基準緩和型医療保険を利用できる場合があります。
また、診断前に加入していた保険は安易に解約せず、継続することが大切です。
治療状況や健康状態によって加入できる保険が異なるため、詳しくは専門家にご相談ください。
弊社ウィズハートでは肺がんでもご加入いただける保険がございますので、ご興味のある方はお気軽にお問合せください。
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