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フランスのワーキングホリデーVISAと選ぶべき海外旅行保険。保険プロが解説

更新日:2024年11月28日

フランスのワーキングホリデー。VISA要件と選ぶべき海外旅行保険を保険プロが解説

2024年12月時点での情報です。


木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。

損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。

フランスはヨーロッパ中西部に位置し、イギリス海峡や大西洋、地中海などの海に面した国です。
スペインやドイツ、イタリアなどと国境を接しています。

フランスの位置

正式名称はフランス共和国といい、首都はパリ、公用語はフランス語です。
EU加盟国のため、通貨はユーロを使用しています。

フランスは国土が日本の約1.5倍と広いことから、地域によって気候がやや異なります。
南部は温暖ですが、日本と比べても一年を通して温度・湿度ともに低く、特に冬は暖房によってさらに乾燥しやすくなります。

ワーホリビザの申請要件

フランスのワーホリビザでは、最長1年間滞在することが可能です。

項目 要件
滞在可能期間 1年間
年齢 申請時18歳以上31歳未満
(31歳の誕生日の前日まで申請可能)
申請時に必要な資金 3,100ユーロ以上の残高があること
(日本円で約50万円)
申請料 無料
ビザ発給数 年間1,800件
海外旅行保険への加入 必須
申請時期 入国日の3か月前から

在日フランス大使館 ワーキングホリデービザ

VISA申請の流れ

フランスのワーホリビザは、オンラインや郵送での申請に対応していません。
そのため、必要な書類を揃えた上で、フランス大使館に持参する必要があります

■Step1:申請資格を確認する
フランスのワーホリビザの取得申請にあたっては、申請資格を満たしていなければなりません。
年齢のほか、一定額の預金、海外旅行保険への加入など、申請要件をクリアしているか確認しましょう。

■Step2:必要な書類を準備する
ビザの申請に必要な書類には次のようなものがあります。

・ビザ申請書
・証明写真1枚
・パスポート
・申請動機作文(英語またはフランス語で作成)
・滞在中の計画書および履歴書(英語またはフランス語で作成)
・銀行の残高証明書(3,100ユーロに相当する額以上があること)
・ワーキングホリデービザ宣誓書
・健康診断書(申請日から1か月以内のもの、英文または和文)
・海外旅行保険加入証明書(入国日から1年間有効なもの、クレカ付帯保険は不可)
・レターパックプラス(ビザ受け取り用)

英語またはフランス語で作成しなければならない書類もあります。
作成に時間がかかるかもしれませんので、計画的に準備しましょう。

■Step3:在日フランス大使館に書類を持参し提出する
フランスのビザ申請は、在日フランス大使館への申請者本人による持参のみ受け付けられています。
申請書類が準備できたら、在日フランス大使館のWebサイトから訪問日時を予約し、指定された時間に本人が持参します。
発給されたビザは、申請時に提出したレターパックで送付されます。

海外旅行保険に加入しておくことが必須!

フランスワーホリでは、ビザの申請にあたり1年間の海外旅行保険の加入証明書の提出が求められます。
クレジットカード付帯保険は不可とされていますので注意しましょう。

Q&A ワーキングホリデーの海外旅行保険の費用の相場・目安はどのくらい?
ウィズハート 木代
木代

1年間の保険期間で、安い保険会社では大体20万円前後、高い保険会社ですと50万円となっているのが相場です。

保険会社によって行先や年齢に応じて価格(保険料)が変わってくるところもあり、40~50万円以上の金額になる保険会社もあります。

昨今の円安や海外医療費インフレでどの保険会社の海外旅行保険とも利益がひっ迫していることから値上げする保険会社が相次いでいて、今後も保険料相場は上がっていくことが予想されます。

弊社が取り扱っている保険会社はまだ値上げせずに20万円~30万円弱で頑張ってくれていますが(詳細は後述します)、もしかしたら今後上がる可能性があります。

Q&A 日本の健康保険は使えないの?
ウィズハート 木代
木代

フランスに限らず、海外では日本の健康保険証を使うことはできません
そのため海外で病院を受診した時は全額を支払う必要があり、高額な医療費がかかることがあります。

健康保険には「海外療養費制度」という制度があって帰国後に申請することで海外での治療費の一部金額の還付を受けることができますが、還付申請の手続きが複雑だったり、還付金が思ったよりもずっと少なかったケースもあるので頼り過ぎは禁物です。

Q&A クレジットカード付帯保険ではダメなの?
ウィズハート 木代
木代

「クレジットカード付帯保険は不可」と、在日フランス大使館に明確に記載されています。
海外旅行保険に加入することが必須です。

フランスワーキングホリデーVISA
在日フランス大使館「ワーキングホリデービザ申請」(PDF)より抜粋

海外旅行保険ってどんな保険?メリットとデメリット

海外旅行保険では、さまざまな補償を受けることができます。
代表的な補償には次のようなものがあります(特定の保険会社の補償説明ではなく、あくまで一般的な内容を載せています)。

■治療費用・救援費用
ケガや病気により現地で病院を受診した時や、処方された薬を購入した時にかかった費用が補償されます。
また、ケガや病気で長期入院し、日本から家族が現地に駆けつける際にかかる費用が救援費用として補償されます。

■賠償責任補償
現地で何らかのトラブルにより、第三者に損害を与えてしまったときに保険金が支払われます。
例えば、現地の住まいでお湯を出しっぱなしにして寝てしまい、水浸しになり修理費を請求された時などに補償されます。

■携行品・生活用動産
自分の持ち物が壊れてしまったり、紛失や盗難に遭ってしまったりした時に保険金が支払われます。
例えば、外出先でスマートフォンを盗まれてしまった場合や、カメラを落として壊してしまった場合などです。

特に海外では日本人を狙ったひったくりや強盗などの犯罪が頻発していることから、この補償があると安心です。

海外旅行保険のメリット

海外旅行保険に加入しておくことで、病院を受診した際に治療費などの保険金が受け取れるほか、次のようなメリットがあります。
(特定の保険会社のサービス説明ではなく、あくまで一般的なメリットを載せています)

■治療費のキャッシュレスサービス
海外で病院を受診する時、保険会社から病院へ直接支払いを行う「キャッシュレスサービス」が利用できます。
このサービスを利用すれば、高額な治療費の窓口で支払いや立て替えが不要となります。

■24時間日本語対応のコールセンター
海外旅行保険に加入すると、保険会社のコールセンターが利用できます。
コールセンターでは、医療機関の紹介や手配のほか、パスポートやクレジットカードなどの紛失・盗難時の手続きなど対応を受けられます。
こういった現地での困りごとに、24時間365日、日本語で対応してもらうことが可能です。

■医療通訳サービス
多くの保険会社では、病院を受診する際の医療通訳サービスが提供されています。
ワーホリで海外を訪れる人の中には、現地の言葉に自信がないという人もいるでしょう。
病院を受診する前に保険会社に連絡を入れることで、電話などを利用した医療通訳サービスを受けることができます。

海外旅行保険のデメリット

海外旅行保険に加入する最大のデメリットは、一定のコスト負担(保険料)があることです。
保険会社やプランにもよりますが、一般的に1年間のワーキングホリデーであれば20~40万円程度の保険料がかかります。
分割は出来ず、加入時に一括で支払う必要があるため、まとまった支出が発生します。

フランスワーホリでの海外旅行保険の選び方

ワーホリ保険は多くの保険会社が取り扱っていますが、自分に合った保険会社やプランを選ぶことが大切です。
特に、次のようなポイントをしっかりと押さえて保険に加入しましょう。

滞在期間をカバーする保険会社を選ぶ

フランスワーホリでは、入国日から1年間を保険期間とする海外旅行保険に加入しなければなりません。
短期間プランだけしか販売していない保険会社もあるので、中長期の補償期間に対応している保険会社を選びましょう

弊社ではAIG損害保険会社をお勧めしており、1年間(それ以上も可)のワーホリ渡航やネット申込にも対応しています。
プランにもよりますが、保険料は1年間で24万円~30万円です。

帰国時期が明確に決まっていない場合や変更となる可能性がある場合は、無保険の期間が生じないよう、最も長い期間で加入しておくことが大切です。
もし早期に帰国した時には、解約により保険料が返金されるので、保険会社や担当の保険会社に早めに相談しましょう。

必要な補償内容を選ぶ

海外旅行保険でもっとも大切な補償が、現地での医療費を補償する「治療救援費用」です。
海外では想像以上に高額な治療費を請求されることがあるため、保険金額が「無制限」となっているタイプがおすすめです。

弊社のお客様であった実例ですが、海外で心不全により救急搬送され、そのまま緊急手術&入院となり、2,000万円を超える医療費がかかったケースがありました

重大な疾患のほかにも交通事故や犯罪被害により大きなケガを負ってしまうこともありますから、充実した補償内容を選びましょう。

早めの準備が大切

海外旅行保険はネットから申込できるタイプのものも多くありますが、特別な事情がある場合には加入手続きに時間がかかることがあるため、早めに準備しておきましょう。

■入通院歴や持病のある人へ
通常、ワーキングホリデー保険に加入する時には、健康に関する告知が求められます。
直近で入院や通院をしたことのある人や、持病・既往症の治療を続けている人などは申告が必要となります。

保険会社への手続きや申し込みに時間がかかることもあるので、早めに確認するようにしましょう。
弊社でも持病のある方や薬を服用されている方の海外旅行保険のご相談やご加入を多く受け付けていますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

海外旅行保険のご相談・お問合せはこちら

■加入証明書(保険付保証明書)が必要な場合
フランスワーホリでは、申請時に海外旅行保険の加入証明書の提出が必要です。
弊社の取り扱っているAIG損保の海外旅行保険は、英語またはフランス語での証明書発行が可能です。

弊社では加入証明書をお客様に発送する機会も多いですが、発行には日数を要することもあります。
英文契約証・証明書をご希望の方は、保険お申し込み後にお早めにご依頼ください。

また、一般的にはネットから海外旅行保険に申込できるのは出発予定日から2~3か月前となっているのですが、VISA申請のためもっと早くに保険加入したいという場合は特別方法にて対応可能ですのでご連絡ください。

その他、フランスで生活する上での注意

フランスでは日本と異なる部分が多くありますので、生活する上で次のようなことに注意しましょう。

フランスの衛生事情

フランスの衛生事情は、現在のところ特に問題ないとされています。
かつてはパリが不衛生な街として取り上げられることもありましたが、現在ではゴミ箱の設置や定期的な清掃が行われるなど、取り組みが進められています。
街なかには公衆トイレも設置されていますが、有料のトイレも多いため、使用する前によく確認しましょう。

フランスでは水道水を飲むことができますが、フランスの水は日本の軟水に比べて石灰質の多い硬水です。
飲みにくいと感じるようであれば、市販のミネラルウォーターや硬度を下げる簡易浄水器を使用するのもいいでしょう。

フランスの治安・犯罪事情

フランス内務省の統計によれば、2023年の犯罪件数は約320万件で、犯罪件数は前年より増加しています。
また、フランス国内の日本大使館や総領事館には、日本人観光客のほか、在留邦人からの犯罪報告が後を絶ちません。

日本人の犯罪被害は、スリや置き引きなどの窃盗犯罪が多くなっています。
混雑する地下鉄などの公共交通機関や駅構内、商業施設のほか、注意散漫となりやすい観光中に被害に遭う危険が高まります。

これらの場所では、複数人が共同して犯行に及ぶケースも多発しています。
例えば、一人が話しかけてきたり、体をぶつけてきたりなどして注意を逸らし、その間に貴重品をすり取る手口です。
特に上着のポケットに、財布やスマホなどの貴重品を入れないよう注意しましょう。

■夜間の外出は控える
夜間に人通りや街灯の少ない場所を通るのは避けましょう。
特に女性は性犯罪の被害に遭わないよう注意が必要ですが、過去には日本人男性が被害に遭ったケースもあります。
性別に関わらず、夜間の外出は控えたほうがいいでしょう。

■貴重品や荷物から目を離さない
日本人を狙ったスリやひったくりは、フランスでも多く発生しています。
ななめ掛け(たすき掛け)のバッグを持つことは予防の観点で有効ですが、ひったくりに遭うと、引きずられてケガを負うリスクも想定されます。
財布やスマホなどの貴重品は内ポケットにしまうなど、普段から注意しましょう。

また、レストランのテラス席は、ひったくり犯から狙われやすく、逃走されやすい場所です。
荷物はテーブルの上などに置かず、路上から手の届かない場所に置いたり、ポケットにしまったりすることが大切です。

■行動するエリアのことを把握し、危険な場所には近づかない
例えばパリでは、外国人観光客を狙ったスリ、置き引き、ひったくりなどの犯罪が多発しています。
エッフェル塔やルーブル美術館、シャンゼリゼ通りなど主要な観光地のほか、地下鉄をはじめとした公共交通機関では、日本人が被害にあった事例も多くあります。

また、他の地域でも、パリと比べれば治安は安定していると言われていますが、観光客の増える夏季休暇シーズンや、クリスマス市の時期など、治安が悪化する時期もあるため注意しましょう。
また、観光地や住宅街に関わらず、夜間は昼間よりも治安が悪化する傾向にあるため、行動するエリアの様子をよく把握しておくことが大切です。

外務省海外安全ホームページ 「在留邦人向け安全の手引き フランス」

フランスの医療制度と医療費

外務省によると、フランスの医療水準は比較的高く、緊急医療体制も整備されています。
通常、フランスで病院を受診しようとした時は、「Médecin Généraliste」と呼ばれる一般医を受診します。

■一般医(Médecin Généraliste)
この一般医は、いわゆるかかりつけ医にあたり、初期の総合診療を担っています。
一般医の診察により、より専門的な治療を受ける必要があると診断されれば、発行される紹介状を持って専門医を受診することになります。

フランスの健康保険制度では、かかりつけ医の登録が推奨されており、登録することで、診察代などの健康保険適用後の自己負担額が安くなるなど、メリットも提供されています。

■専門医
フランスでは一般医のほかに、眼科や皮膚科、整形外科などの専門医があります。
通常は一般医の紹介により受診することになりますが、最初から専門医を直接受診することも可能です。

ただし、日本とは異なり受診には予約が必須です。
また、診療科や病院によっては、予約しても数週間待ちとなることもめずらしくありません。
緊急度が高いと判断される場合は、緊急外来の受診も検討しましょう。

救急医療

フランスの救急医療サービスの電話番号は「15」です。
公営の「S.A.M.U. (サミュ)」によって運営されており、必要と判断された場合には緊急対応車両(SMUR)や搬送車が出動します。
SUMRには医師や看護師が乗っているため、症状によっては救急車内で治療を開始することもあります。
フランスでは救急車が有料となっており、基本料金に加えて移動距離に応じた金額が加算されます。

また、救急外来のある病院を直接受診することも可能です。
ただし、一般的に救急外来はとても混雑しており、緊急度が低い場合には待機時間が長くなることも想定しておく必要があります。

木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。

損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。

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