オーストラリアのワーキングホリデーVISAと選ぶべき海外旅行保険。保険プロが解説
2024年12月時点での情報です。
この記事の目次
この記事の執筆者:木代 晃輔
株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。
損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。
オーストラリア連邦は日本からまっすぐ南側、約8000km離れた南半球にあります。
日本の約20倍と広大な国土面積に人口は約2626万人、首都はキャンベラで公用語は英語、通貨はオーストラリアドルです。
オーストラリアはその広大さから地域によって気候は大きく異なり、北部と東西沿岸は熱帯雨林気候や熱帯性気候、内陸部は砂漠性気候で、主要都市のシドニーやメルボルンを含む南部は温帯性気候となっています。
また、南半球にあるため日本とは季節が逆となり、9~11月が春、12~2月が夏、3~5月が空き、6~8月が冬にあたります。
ワーホリビザの申請要件
オーストラリアのワーホリビザでは、滞在期間中は観光やサービス産業、農業を含む、あらゆる場所・業界・役割における就労が可能です。
最長12か月間となりますが、季節労働など特定の仕事に従事した場合、合計3年間まで延長することが可能となっています。
項目 | 要件 |
---|---|
滞在可能期間 | 12か月間 滞在中は12か月間の就労と、4か月以内の通学が可能 |
年齢 | 18歳から30歳 |
申請時に必要な資金 | 最初の滞在費として約5,000オーストラリアドル(約50万円) +帰国のための航空券を購入するのに十分な資金 |
申請料 | 650オーストラリアドル(約6万5千円) |
ビザ発給数 | 制限なし |
VISA申請の流れ
オーストラリアのワーホリビザはオンラインでの申請に対応しています。
具体的には次のようなステップで手続きを進めます。
■Step1:申請資格を確認する
オーストラリアのワーホリビザの取得申請にあたっては、申請資格を満たしていなければなりません。
年齢のほか、一定額の預金など、申請要件をクリアしているか確認しましょう。
■Step2:必要な書類を準備する
ビザの申請に必要な書類には次のようなものがあります。
・パスポート
・滞在に十分な資金として5000オーストラリアドル相当の銀行残高証明書
・健康診断書
■Step3:オンラインにて申請し、費用を支払う
オーストラリア内務省のWebサイトでアカウントを作成し、必要書類を添付して申請を行います。
申請料はその流れで支払う必要があり、申請料が支払われるまで処理は行われません。
ビザの決定については書面で通知されます。
なお、申請後に追加の対応が指示されることもあるため、確認を漏らさないようにしましょう。
海外旅行保険への加入が重要
オーストラリアで病院にかかると高額な自己負担が生じることになるため、海外旅行保険に加入しておくことが大切です。
弊社にはオーストラリアワーホリの海外旅行保険をお任せいただいたお客様が多くいらっしゃいます。
保険金請求時のサポートを行ったことも多数あり、以下記事にてその事例を公開していますのでご参考にされてください。
保険加入や保険金請求の際にサポートを得られることは、海外旅行保険選びでとても重要なポイントだと思っています。
- Q&A ワーキングホリデーの海外旅行保険の費用の相場・目安はどのくらい?
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木代-
1年間の保険期間で、安い保険会社では大体20万円前後、高い保険会社ですと50万円となっているのが相場です。
保険会社によって行先や年齢に応じて価格(保険料)が変わってくるところもあり、40~50万円以上の金額になる保険会社もあります。
昨今の円安や海外医療費インフレでどの保険会社の海外旅行保険とも利益がひっ迫していることから値上げする保険会社が相次いでいて、今後も保険料相場は上がっていくことが予想されます。
弊社が取り扱っている保険会社はまだ値上げせずに20万円~30万円弱で頑張ってくれていますが(詳細は後述します)、もしかしたら今後上がる可能性があります。
- Q&A 日本の健康保険は使えないの?
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木代-
オーストラリアに限らず、海外では日本の健康保険証を使うことはできません。
そのため海外で病院を受診した時は全額を支払う必要があり、高額な医療費がかかることがあります。健康保険には「海外療養費制度」という制度があって帰国後に申請することで海外での治療費の一部金額の還付を受けることができますが、還付申請の手続きが複雑だったり、還付金が思ったよりもずっと少なかったケースもあるので頼り過ぎは禁物です。
- Q&A クレジットカード付帯保険ではダメなの?
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木代-
クレジットカード付帯保険はあくまでオマケの保険です。
医療保障の上限金額が少ないなど、保険内容は不十分のためお勧めできません。保険期間も短いため、ワーキングホリデー期間中の保険としては心もとないものになるでしょう。
例えば楽天カードの付帯保険では渡航から3か月間までとなっており、この期間を超えると補償が終了します。クレジットカード付帯保険ではなく、海外旅行保険への加入を推奨します。
海外旅行保険ってどんな保険?メリットとデメリット
海外旅行保険では、さまざまな補償を受けることができます。
代表的な補償には次のようなものがあります(特定の保険会社の補償説明ではなく、あくまで一般的な内容を載せています)。
■治療費用・救援費用
ケガや病気により現地で病院を受診した時や、処方された薬を購入した時にかかった費用が補償されます。
また、ケガや病気で長期入院し、日本から家族が現地に駆けつける際にかかる費用が救援費用として補償されます。
■賠償責任補償
現地で何らかのトラブルにより、第三者に損害を与えてしまったときに保険金が支払われます。
例えば、現地の住まいでお湯を出しっぱなしにして寝てしまい、水浸しになり修理費を請求された時などに補償されます。
■携行品・生活用動産
自分の持ち物が壊れてしまったり、紛失や盗難に遭ってしまったりした時に保険金が支払われます。
例えば、外出先でスマートフォンを盗まれてしまった場合や、カメラを落として壊してしまった場合などです。
特に海外では日本人を狙ったひったくりや強盗などの犯罪が頻発していることから、この補償があると安心です。
海外旅行保険のメリット
海外旅行保険に加入しておくことで、病院を受診した際に治療費などの保険金が受け取れるほか、次のようなメリットがあります。
(特定の保険会社のサービス説明ではなく、あくまで一般的なメリットを載せています)
■治療費のキャッシュレスサービス
海外で病院を受診する時、保険会社から病院へ直接支払いを行う「キャッシュレスサービス」が利用できます。
このサービスを利用すれば、高額な治療費の窓口で支払いや立て替えが不要となります。
■24時間日本語対応のコールセンター
海外旅行保険に加入すると、保険会社のコールセンターが利用できます。
コールセンターでは、医療機関の紹介や手配のほか、パスポートやクレジットカードなどの紛失・盗難時の手続きなど対応を受けられます。
こういった現地での困りごとに、24時間365日、日本語で対応してもらうことが可能です。
■医療通訳サービス
多くの保険会社では、病院を受診する際の医療通訳サービスが提供されています。
ワーホリで海外を訪れる人の中には、現地の言葉に自信がないという人もいるでしょう。
病院を受診する前に保険会社に連絡を入れることで、電話などを利用した医療通訳サービスを受けることができます。
海外旅行保険のデメリット
海外旅行保険に加入する最大のデメリットは、一定のコスト負担(保険料)があることです。
保険会社やプランにもよりますが、一般的に1年間のワーキングホリデーであれば20~40万円程度の保険料がかかります。
分割は出来ず、加入時に一括で支払う必要があるため、まとまった支出が発生します。
オーストラリアワーホリでの海外旅行保険の選び方
ワーホリ保険は多くの保険会社が取り扱っていますが、自分に合った保険会社やプランを選ぶことが大切です。
特に、次のようなポイントをしっかりと押さえて保険に加入しましょう。
滞在期間をカバーする保険会社を選ぶ
オーストラリア滞在中に病院にかかることになればその医療費は全額自己負担となってしまうため、滞在期間をしっかりとカバーした海外旅行保険に加入しておくことが重要です。
短期間プランだけしか販売していない保険会社もありますので、かならず中長期の補償期間に対応している保険会社を選びましょう。
弊社ではAIG損害保険会社をお勧めしており、1年間(それ以上も可)のワーホリ渡航やネット申込にも対応しています。
プランにもよりますが、保険料は1年間で24万円~30万円です。
帰国時期が明確に決まっていない場合や変更となる可能性がある場合は、無保険の期間が生じないよう、最も長い期間で加入しておくことが大切です。
もし早期に帰国した時には、解約により保険料が返金されるので、保険会社や担当の保険会社に早めに相談しましょう。
必要な補償内容を選ぶ
海外旅行保険でもっとも大切な補償が、現地での医療費を補償する「治療救援費用」です。
海外では想像以上に高額な治療費を請求されることがあるため、保険金額が「無制限」となっているタイプがおすすめです。
弊社のお客様であった実例ですが、海外で心不全により救急搬送され、そのまま緊急手術&入院となり、2,000万円を超える医療費がかかったケースがありました。
重大な疾患のほかにも交通事故や犯罪被害により大きなケガを負ってしまうこともありますから、充実した補償内容を選びましょう。
早めの準備が大切
海外旅行保険はネットから申込できるタイプのものも多くありますが、特別な事情がある場合には加入手続きに時間がかかることがあるため、早めに準備しておきましょう。
■入通院歴や持病のある人へ
通常、ワーキングホリデー保険に加入する時には、健康に関する告知が求められます。
直近で入院や通院をしたことのある人や、持病・既往症の治療を続けている人などは申告が必要となります。
保険会社への手続きや申し込みに時間がかかることもあるので、早めに確認するようにしましょう。
弊社でも持病のある方や薬を服用されている方の海外旅行保険のご相談やご加入を多く受け付けていますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。
■加入証明書(保険付保証明書)が必要な場合
オーストラリアのビザ申請では必要ないものの、海外旅行保険の加入証明書の発行が求められる場合もあります。
弊社の取り扱っているAIG損保の海外旅行保険は、英語での証明書発行が可能です。
弊社では加入証明書をお客様に発送する機会も多いですが、発行には日数を要することもあります。
英文契約証・証明書をご希望の方は、保険お申し込み後にお早めにご依頼ください。
また、一般的にはネットから海外旅行保険に申込できるのは出発予定日から2~3か月前となっているのですが、VISA申請のためもっと早くに保険加入したいという場合は特別方法にて対応可能ですのでご連絡ください。
その他、オーストラリアで生活する上での注意
オーストラリアでは日本と異なる部分が多くありますので、生活する上で次のようなことに注意しましょう。
オーストラリアの衛生事情
オーストラリアの衛生水準は他の先進国と比較しても問題ないレベルです。
上下水道も整備されており水道水を飲むこともできますが、水質が合わないこともあるため、飲用には市販のミネラルウォーターも活用しましょう。
また、大衆の集まる施設内等での喫煙は、限定された特別な場所を除いて禁止されています。
喫煙禁止場所の範囲のほか、禁止場所で喫煙した場合の罰則は週によって異なるため注意が必要です。
オーストラリアの治安・犯罪事情
オーストラリアは比較的治安のいい国というイメージがありますが、日本と比較すると一般犯罪がとても多く発生しています。
また、オーストラリア政府が公表しているテロ警戒レベルは、2024年8月5日に引き上げられ、5段階中上から3番目となる「蓋然性がある(PROBABLE)」となりました。
特定の事案や過激主義に基づくものではないとされていますが、テロ事件の発生に備え、十分な安全対策が必要です。
オーストラリア各地で共通して発生している犯罪には、置き引きやスリ、ひったくりなどの窃盗犯罪、女性に対する暴行、ヒッチハイクやバックパッカー向け宿泊施設での強盗、盗難などです。
■夜間の一人歩きは避け、知らない人には警戒する
女性の場合は特に夜間の一人歩きは避け、短い距離でもタクシーを利用するなど対策が必要です。
たとえ昼間であっても人通りのない場所に立ち入ることは避けましょう。
また、知り合いに対しても、拒絶する場合ははっきりと「No」と意思表示することが重要です。
このほか、強盗の被害に遭わないために、見知らぬ人の車に同乗することや、自分の車に乗せることは避けましょう。
外から帰ってきた時には、不審な人が付近にいないかを注意するなど、周囲へ警戒してください。
■荷物から目を離さず、手の届く範囲で管理する
貴重品は常に身に付け、手放さないようにしましょう。
廉価な宿泊施設では、貴重品をいかなる場合でも手放さず、シャワー中でも手の届く範囲内に置くなど、目を離さないようにしなければなりません。
外務省海外安全ホームページ「オーストラリア 安全対策基礎データ」
オーストラリアの医療制度と医療費
オーストラリアの医療水準は地方都市を含めて高く、救急医療も医療先進国と遜色ないレベルです。
ただし、日本とは異なりGP(General Practitioner/総合診療医)制度が導入されていることから、最初から病院や各科の専門医を受診することはできません。
日本で継続治療を受けている場合も含めて、どのような症状でもまずはGPを受診します。
検査や専門医への紹介もGPを介して行われ、血液検査やレントゲンはGPの検査依頼状を持参して、検査機関に出向いて検査を受けます。
また、入院や手術、専門性の高い治療が必要と判断された際には、病院や開業専門医に紹介され、そこで専門的な医療を受けることが可能です。
一方で、薬剤師に一定の権限が与えられており、咳止めを含む風邪薬や解熱剤、鎮痛剤、抗アレルギー薬や消化器薬、ステロイド剤を含まない皮膚用の薬などは、薬剤師のいる薬局で購入することができます。
救急医療
オーストラリアの緊急通報ダイヤルは「000」で、警察・消防・救急の共通番号となっています。
日本とは異なり、救急車の利用は有料となっています。
また、救急医療を受診する場合の医療費は高額となっており、救急車の利用料を含めて高額の請求を受けることも考えられます。
また、公立病院の救急部門は24時間対応となっており、患者が直接出向いて受診することも可能です。
ただし、重症度が低いと判断されると、急患より後回しとなり長時間待機となるほか、軽症の場合は翌日治療可能と判断される例もあります。
救急車の搬送費用を含め、高額な医療費をしっかりとカバーできる海外旅行保険に加入しておくことが大切です。
この記事の執筆者:木代 晃輔
株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。
損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。
文書管理番号:24G01120