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エストニアのワーキングホリデーVISAと選ぶべき海外旅行保険。保険プロが解説

更新日:2025年02月08日

エストニアのワーキングホリデー。VISA要件と選ぶべき海外旅行保険を保険プロが解説

2024年12月時点での情報です。


木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。

損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。

エストニア共和国はヨーロッパ北東部に位置する国で、旧ソ連諸国のひとつです。
バルト海に面する「バルト三国」のうち最も北にあり、海を挟んだ北側にはフィンランド、東側はロシアと接しています。

エストニアの位置

エストニアの人口は約136.5万人、首都はタリンで、エストニア語を公用語としています。
EUには2004年に加入し、2011年からは通貨にユーロが導入されています。

ワーホリビザの申請要件

エストニアのワーホリビザでは、最長1年間滞在することが可能です。
ビザ発給までにはおよそ15日程度かかるとされています。

項目 要件
滞在可能期間 1年間
年齢 申請時点で18歳から30歳
申請時に必要な資金 滞在期間中の最初の生活費をまかなうための適切な資金
帰国航空券、または帰国航空券を購入するための資金
申請料 無料
ビザ発給数 制限なし
海外旅行保険への加入 エストニア滞在中有効な医療保険および総合入院保険に加入
申請時期 渡航予定日の少なくとも15~20日以前に申請

参考:エストニア大使館HP「ワーキングホリデーVISAについて」

VISA申請の流れ

エストニアのワーホリビザは、オンラインでの申請に対応していません。

申請はまず必要な書類を揃えた上で、エストニア大使館のWebサイトからオンラインビザフォームに入力し、メールで面談を予約する必要があります
具体的には次のようなステップで申請します。

■Step1:申請資格を確認する
エストニアのワーホリビザの取得申請にあたっては、申請資格を満たしていなければなりません。
年齢のほか、一定額の預金、海外旅行保険への加入など、申請要件をクリアしているか確認しましょう。

■Step2:必要な書類を準備する
ビザの申請に必要な書類には次のようなものがあります。

・申請書
・パスポート(ビザの有効期限から少なくとも3か月有効期間があるもの)
・写真
ビザの期間中に有効となる健康保険証
・財政状況を証明するための銀行口座残高証明書
・エストニアでの計画とビザを申請する理由を記載した文書
・航空券と宿泊施設の予約

■Step3:大使館のWebサイトからフォームに入力し、面談予約する
申請書類が揃ったら、エストニア大使館のWebサイトからオンラインビザフォームを使用して、面談予約を取得します。
オンラインの入力だけでは申請は完了せず、必ず申請者本人が大使館に書類を持参する必要があります。

海外旅行保険への加入が必須!

エストニアのワーホリビザを申請するにあたっては、滞在期間をカバーする海外旅行保険に加入しておく必要があります。

また、エストニアは医療設備が日本や西欧諸国ほど整っていないため、病気の症状やケガの程度によって、他国または日本への搬送が必要となることもあります。
治療費に加えて搬送費用もカバーできる保険を選ぶことが大切です。

Q&A ワーキングホリデーの海外旅行保険の費用の相場・目安はどのくらい?
ウィズハート 木代
木代

1年間の保険期間で、安い保険会社では大体20万円前後、高い保険会社ですと50万円となっているのが相場です。

保険会社によって行先や年齢に応じて価格(保険料)が変わってくるところもあり、40~50万円以上の金額になる保険会社もあります。

昨今の円安や海外医療費インフレでどの保険会社の海外旅行保険とも利益がひっ迫していることから値上げする保険会社が相次いでいて、今後も保険料相場は上がっていくことが予想されます。

弊社が取り扱っている保険会社はまだ値上げせずに20万円~30万円弱で頑張ってくれていますが(詳細は後述します)、もしかしたら今後上がる可能性があります。

Q&A 日本の健康保険は使えないの?
ウィズハート 木代
木代

エストニアに限らず、海外では日本の健康保険証を使うことはできません
そのため海外で病院を受診した時は全額を支払う必要があり、高額な医療費がかかることがあります。

健康保険には「海外療養費制度」という制度があって帰国後に申請することで海外での治療費の一部金額の還付を受けることができますが、還付申請の手続きが複雑だったり、還付金が思ったよりもずっと少なかったケースもあるので頼り過ぎは禁物です。

Q&A クレジットカード付帯保険ではダメなの?
ウィズハート 木代
木代

ワーホリ期間に対応した海外旅行保険が必須ですので、クレジットカード付帯保険ではVISAの承認を得ることはできません。

クレジットカードの付帯保険は、多くの場合、補償期間が一定期間だけに限定されます。
例えば楽天カードの付帯保険では渡航から3か月間までとなっており、この期間を超えると補償が終了してしまいます。

海外旅行保険に加入して申請を行いましょう。

海外旅行保険ってどんな保険?メリットとデメリット

海外旅行保険では、さまざまな補償を受けることができます。
代表的な補償には次のようなものがあります(特定の保険会社の補償説明ではなく、あくまで一般的な内容を載せています)。

■治療費用・救援費用
ケガや病気により現地で病院を受診した時や、処方された薬を購入した時にかかった費用が補償されます。
また、ケガや病気で長期入院し、日本から家族が現地に駆けつける際にかかる費用が救援費用として補償されます。

■賠償責任補償
現地で何らかのトラブルにより、第三者に損害を与えてしまったときに保険金が支払われます。
例えば、現地の住まいでお湯を出しっぱなしにして寝てしまい、水浸しになり修理費を請求された時などに補償されます。

■携行品・生活用動産
自分の持ち物が壊れてしまったり、紛失や盗難に遭ってしまったりした時に保険金が支払われます。
例えば、外出先でスマートフォンを盗まれてしまった場合や、カメラを落として壊してしまった場合などです。

特に海外では日本人を狙ったひったくりや強盗などの犯罪が頻発していることから、この補償があると安心です。

海外旅行保険のメリット

海外旅行保険に加入しておくことで、病院を受診した際に治療費などの保険金が受け取れるほか、次のようなメリットがあります。
(特定の保険会社のサービス説明ではなく、あくまで一般的なメリットを載せています)

■治療費のキャッシュレスサービス
海外で病院を受診する時、保険会社から病院へ直接支払いを行う「キャッシュレスサービス」が利用できます。
このサービスを利用すれば、高額な治療費の窓口で支払いや立て替えが不要となります。

■24時間日本語対応のコールセンター
海外旅行保険に加入すると、保険会社のコールセンターが利用できます。
コールセンターでは、医療機関の紹介や手配のほか、パスポートやクレジットカードなどの紛失・盗難時の手続きなど対応を受けられます。
こういった現地での困りごとに、24時間365日、日本語で対応してもらうことが可能です。

■医療通訳サービス
多くの保険会社では、病院を受診する際の医療通訳サービスが提供されています。
ワーホリで海外を訪れる人の中には、現地の言葉に自信がないという人もいるでしょう。
病院を受診する前に保険会社に連絡を入れることで、電話などを利用した医療通訳サービスを受けることができます。

海外旅行保険のデメリット

海外旅行保険に加入する最大のデメリットは、一定のコスト負担(保険料)があることです。
保険会社やプランにもよりますが、一般的に1年間のワーキングホリデーであれば20~40万円程度の保険料がかかります。
分割は出来ず、加入時に一括で支払う必要があるため、まとまった支出が発生します。

エストニアワーホリでの海外旅行保険の選び方

ワーホリ保険は多くの保険会社が取り扱っていますが、自分に合った保険会社やプランを選ぶことが大切です。
特に、次のようなポイントをしっかりと押さえて保険に加入しましょう。

滞在期間をカバーする保険会社を選ぶ

エストニアワーホリでは、エストニア国内で有効な海外旅行保険に加入しなければなりません。

当然ながら滞在期間中は補償されている必要があります。

保険会社の中には1か月間だけのような短期間プランしか販売していない保険会社もあります。
中長期の補償期間に対応している保険会社を必ず選びましょう

弊社ではAIG損害保険会社をお勧めしており、1年間(それ以上も可)のワーホリ渡航やネット申込にも対応しています。
プランにもよりますが、保険料は1年間で24万円~30万円です。

帰国時期が明確に決まっていない場合や変更となる可能性がある場合は、無保険の期間が生じないよう、最も長い期間で加入しておくことが大切です。
もし早期に帰国した時には、解約により保険料が返金されるので、保険会社や担当の保険会社に早めに相談しましょう。

必要な補償内容を選ぶ

海外旅行保険でもっとも大切な補償が、現地での医療費を補償する「治療救援費用」です。
海外では想像以上に高額な治療費を請求されることがあるため、保険金額が「無制限」となっているタイプがおすすめです。

弊社のお客様であった実例ですが、海外で心不全により救急搬送され、そのまま緊急手術&入院となり、2,000万円を超える医療費がかかったケースがありました

重大な疾患のほかにも交通事故や犯罪被害により大きなケガを負ってしまうこともありますから、充実した補償内容を選びましょう。

早めの準備が大切

海外旅行保険はネットから申込できるタイプのものも多くありますが、特別な事情がある場合には加入手続きに時間がかかることがあるため、早めに準備しておきましょう。

■入通院歴や持病のある人へ
通常、ワーキングホリデー保険に加入する時には、健康に関する告知が求められます。
直近で入院や通院をしたことのある人や、持病・既往症の治療を続けている人などは申告が必要となります。

保険会社への手続きや申し込みに時間がかかることもあるので、早めに確認するようにしましょう。
弊社でも持病のある方や薬を服用されている方の海外旅行保険のご相談やご加入を多く受け付けていますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

海外旅行保険のご相談・お問合せはこちら

■加入証明書(保険付保証明書)が必要な場合
エストニアワーホリでは、申請時に海外旅行保険の加入証明書の提出が必要です。
弊社の取り扱っているAIG損保の海外旅行保険は、英語での証明書発行が可能です。

保険契約証サンプル

弊社では加入証明書をお客様に発送する機会も多いですが、発行には日数を要することもあります。
英文契約証・証明書をご希望の方は、保険お申し込み後にお早めにご依頼ください。

また、一般的にはネットから海外旅行保険に申込できるのは出発予定日から2~3か月前となっているのですが、VISA申請のためもっと早くに保険加入したいという場合は特別方法にて対応可能ですのでご連絡ください。

その他、エストニアで生活する上での注意

エストニアでは日本と異なる部分が多くありますので、生活する上で次のようなことに注意しましょう。

エストニアの衛生事情

エストニアは、旧ソ連諸国の中では衛生面で整備されているといえます。

エストニアの治安・犯罪事情

エストニアにおける犯罪件数は10年前と比較して約35%減少しており、2017年以降はほぼ横ばいの状況が続いています。
しかし、人口1万人あたりの犯罪発生率は日本の約4倍となるため、日本と同じような感覚でいることは危険です。

特に多く発生しているのが外国人観光客を狙ったスリや置き引きで、盗難犯罪はエストニア国内で発生する犯罪の約4割を占めています。
また、暴行や傷害などの犯罪は全犯罪の3割近く、発生率としては日本と比べて10倍と非常に高くなっています。
このほか、インターネットを利用した詐欺や薬物犯罪なども増加しているため、現地では次のような注意が必要です。

■貴重品の持ち歩きには注意
必要以上の現金や貴重品は持ち歩かず、なるべくバッグやポケットなどに分散して持つことが大切です。
また、リュックサックなど背負うタイプのバッグを避け、ズボンの後ろポケット、ショルダーバッグの外ポケットなど、自分の目が届きにくく、他人の目につきやすい状態で持つのは控えましょう。

■外出中の行動には注意
通勤や買い物等の行動パターンが固定化すると、行動を把握され狙われる危険性が高くなります。
できるだけ人通りが多く明るい道を選び、複数のルートを使い分けることが有効です。
また、近隣住民と良好な関係を構築し、周囲の変化にも注意しましょう。

在エストニア日本国大使館HP「安全の手引き」(PDF)

エストニアの医療制度と医療費

医療水準において旧ソ連諸国の中では整備が進んでいる国であるといえます。
エストニアの公用語はエストニア語ですが、特に規模の大きな病院を中心として、英語での対応が可能です。
医師の多くは英語を話すことができ、看護師など医療スタッフの中にも英語を話す人が多いとされています。

一方で、医療設備や検査機器は日本や西欧諸国ほど期待できないため、病気の種類やケガの部位・程度によっては、エストニア国内で応急処置を受けた後に、ヘルシンキをはじめとした外国に移送となる可能性があります。
さらに高度な治療が必要な場合は、西欧諸国のほか日本への移送が必要となることも考えられます。

エストニアではホームドクター(家庭医)制度が導入されており、病気になった場合は原則としてホームドクターを受診することになります。
その後、ホームドクターにより専門医の受診が必要と判断されると、各科の専門医(総合病院)の診察を受けることが可能です。

エストニア国民医療保険に加入している人は、ホームドクターおよびホームドクターから紹介された専門医の診察費は無料です。
しかし、加入していない場合は公立病院・私立病院ともに50ユーロ以上の診察費が発生します。

救急医療

警察・消防・救急の共通の緊急電話番号は「112」です。
救急車を要請した場合は、基本的に公立病院に搬送されます。

木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。

損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。

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