ニュージーランドのワーキングホリデーVISAと選ぶべき海外旅行保険。保険プロが解説
2024年12月時点での情報です。
この記事の目次
この記事の執筆者:木代 晃輔
株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。
損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。
ニュージーランドは、オーストラリア大陸の東側にある島国で、北島と南島のふたつの主要な島と、多くの小さな島々があります。
首都はウェリントンで北島に所在しています。
人口は約522万人、公用語は英語とマオリ語で、通貨はニュージーランドドルです。
日本と同様に南北に細長い島国のため、北島の北部は亜熱帯性気候の特徴がある一方、南島内陸部の高山地帯では-10℃まで気温が下がることがあります。
また、南半球は日本と季節が逆となるため、年間で最も気温が高いのは1~2月、低いのは7月ごろです。
ビザ申請要件
ニュージーランドのワーホリビザはオンラインで申請することができ、概ね2週間以内に審査結果が通知されます。
合法な仕事であれば、性的サービス業を除いて、職種や就業期間など特段の制限はありません。
また、6か月を超えない限り、ワーホリビザで語学学校へ通うことも可能です。
項目 | 要件 |
---|---|
滞在可能期間 | 12か月間 3か月間の延長が可能(条件あり) |
年齢 | 18歳以上30歳 申請時点で30歳であれば、入国は31歳も可 |
申請時に必要な資金 | ・滞在中の生活費 少なくともNZ $4,200(約38万円)の資金が必要 ・ニュージーランドから出国するための航空券代 (または航空券) |
申請料 | 日本国内から申請する場合:無料 (IVL(観光税)NZ $35/約3千円) ニュージーランド国内から申請する場合:NZ $670 |
ビザ発給数 | 制限なし |
申請時期 | 12か月前から (ビザ発給から12か月以内の入国が必要) |
※1NZD=90円、2024年11月18日時点
NEW ZEALAND IMMIGRATION(ニュージーランド移民局)Working holiday visas
VISA申請の流れ
■Step1:申請資格を確認する
ニュージーランドのワーホリビザの取得申請にあたっては、申請資格を満たしている必要があります。
年齢のほか、一定額の預金など、上の申請要件をクリアしているか確認しましょう。
■Step2:オンラインにて申請する
ニュージーランドのワーホリビザ申請はオンライン受付のみとなっており、渡航の12か月前から申請することができます。
申請準備が整ったら、移民局のWebサイトからオンラインで申請します。
■Step3:ビザ申請センターの訪問予約をして、予約日に訪問する
申請内容に基づいて審査が完了すると、移民局からメールで通知され、記載されたページからワーキングホリデービザが印刷できます。
なお、パスポートの送付や対面でのビザの受け取りは必要なく、オンラインでの発給となります。
トラブルを避けるため、プリントして手持ちしておくといいでしょう。
海外旅行保険に加入しておくことが重要!
ニュージーランドのワーホリVISAでは、現地の医療保険や海外旅行保険への加入は必須にはなっていません。
しかし日本のような健康保険制度はないため、医療費は全額が自己負担となってしまいます。
ニュージーランドでの高額な医療費に備えて、海外旅行保険に加入しておくことが重要です。
- Q&A ワーキングホリデーの海外旅行保険の費用の相場・目安はどのくらい?
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木代-
1年間の保険期間で、安い保険会社では大体20万円前後、高い保険会社ですと50万円となっているのが相場です。
保険会社によって行先や年齢に応じて価格(保険料)が変わってくるところもあり、40~50万円以上の金額になる保険会社もあります。
昨今の円安や海外医療費インフレでどの保険会社の海外旅行保険とも利益がひっ迫していることから値上げする保険会社が相次いでいて、今後も保険料相場は上がっていくことが予想されます。
弊社が取り扱っている保険会社はまだ値上げせずに20万円~30万円弱で頑張ってくれていますが(詳細は後述します)、もしかしたら今後上がる可能性があります。
- Q&A 日本の健康保険は使えないの?
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木代-
ニュージーランドに限らず、海外では日本の健康保険証を使うことはできません。
そのため海外で病院を受診した時は全額を支払う必要があり、高額な医療費がかかることがあります。健康保険には「海外療養費制度」という制度があって帰国後に申請することで海外での治療費の一部金額の還付を受けることができますが、還付申請の手続きが複雑だったり、還付金が思ったよりもずっと少なかったケースもあるので頼り過ぎは禁物です。
- Q&A クレジットカード付帯保険ではダメなの?
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木代-
ニュージーランドでもクレジットカード付帯保険を活用できる場面があるかもしれません。
しかし、クレジットカード付帯保険はあくまでオマケの保険です。保険内容が十分とは言えないため、次のような点に注意しましょう。
クレジットカードの付帯保険は、多くの場合、補償期間が一定期間だけに限定されます。
例えば楽天カードの付帯保険では渡航から3か月間までとなっており、この期間を超えると補償が終了します。
つまり3か月以上のワーキングホリデーでは保険期間が足らず、VISAの要件を満たすことが出来ないのです。クレカ付帯保険が終了してから海外旅行保険に加入するという案もありますが、海外旅行保険は海外にいる状態で加入することが出来ません。
ワーホリの途中から海外旅行保険に加入することは出来ず、出発前に日本国内から海外旅行保険へ加入しておく必要があります。
海外旅行保険ってどんな保険?メリットとデメリット
海外旅行保険では、さまざまな補償を受けることができます。
代表的な補償には次のようなものがあります(特定の保険会社の補償説明ではなく、あくまで一般的な内容を載せています)。
■治療費用・救援費用
ケガや病気により現地で病院を受診した時や、処方された薬を購入した時にかかった費用が補償されます。
また、ケガや病気で長期入院し、日本から家族が現地に駆けつける際にかかる費用が救援費用として補償されます。
■賠償責任補償
現地で何らかのトラブルにより、第三者に損害を与えてしまったときに保険金が支払われます。
例えば、現地の住まいでお湯を出しっぱなしにして寝てしまい、水浸しになり修理費を請求された時などに補償されます。
■携行品・生活用動産
自分の持ち物が壊れてしまったり、紛失や盗難に遭ってしまったりした時に保険金が支払われます。
例えば、外出先でスマートフォンを盗まれてしまった場合や、カメラを落として壊してしまった場合などです。
特に海外では日本人を狙ったひったくりや強盗などの犯罪が頻発していることから、この補償があると安心です。
海外旅行保険のメリット
海外旅行保険に加入しておくことで、病院を受診した際に治療費などの保険金が受け取れるほか、次のようなメリットがあります。
(特定の保険会社のサービス説明ではなく、あくまで一般的なメリットを載せています)
■治療費のキャッシュレスサービス
海外で病院を受診する時、保険会社から病院へ直接支払いを行う「キャッシュレスサービス」が利用できます。
このサービスを利用すれば、高額な治療費の窓口で支払いや立て替えが不要となります。
■24時間日本語対応のコールセンター
海外旅行保険に加入すると、保険会社のコールセンターが利用できます。
コールセンターでは、医療機関の紹介や手配のほか、パスポートやクレジットカードなどの紛失・盗難時の手続きなど対応を受けられます。
こういった現地での困りごとに、24時間365日、日本語で対応してもらうことが可能です。
■医療通訳サービス
多くの保険会社では、病院を受診する際の医療通訳サービスが提供されています。
ワーホリで海外を訪れる人の中には、現地の言葉に自信がないという人もいるでしょう。
病院を受診する前に保険会社に連絡を入れることで、電話などを利用した医療通訳サービスを受けることができます。
海外旅行保険のデメリット
海外旅行保険に加入する最大のデメリットは、一定のコスト負担(保険料)があることです。
保険会社やプランにもよりますが、一般的に1年間のワーキングホリデーであれば20~40万円程度の保険料がかかります。
分割は出来ず、加入時に一括で支払う必要があるため、まとまった支出が発生します。
ニュージーランドワーホリでの海外旅行保険の選び方
ワーホリ保険は多くの保険会社が取り扱っていますが、自分に合った保険会社やプランを選ぶことが大切です。
特に、次のようなポイントをしっかりと押さえて保険に加入しましょう。
滞在期間をカバーする保険会社を選ぶ
ワーホリ保険に加入するときは、滞在期間を十分にカバーできる期間の加入が必要です。
短期間だけの保険会社もあるので、1年間のような中長期の期間に対応している保険会社を選びましょう。
弊社ではAIG損害保険会社をお勧めしており、1年間(それ以上も可)のワーホリ渡航やネット申込にも対応しています。
プランにもよりますが、保険料は1年間で24万円~30万円です。
帰国時期が明確に決まっていない場合や変更となる可能性がある場合は、無保険の期間が生じないよう、最も長い期間で加入しておくことが大切です。
もし早期に帰国した時には、解約により保険料が返金されるので、保険会社や担当の保険会社に早めに相談しましょう。
必要な補償内容を選ぶ
海外旅行保険でもっとも大切な補償が、現地での医療費を補償する「治療救援費用」です。
海外では想像以上に高額な治療費を請求されることがあるため、保険金額が「無制限」となっているタイプがおすすめです。
弊社のお客様であった実例ですが、海外で心不全により救急搬送され、そのまま緊急手術&入院となり、2,000万円を超える医療費がかかったケースがありました。
重大な疾患のほかにも交通事故や犯罪被害により大きなケガを負ってしまうこともありますから、充実した補償内容を選びましょう。
早めの準備が大切
海外旅行保険はネットから申込できるタイプのものも多くありますが、特別な事情がある場合には加入手続きに時間がかかることがあるため、早めに準備しておきましょう。
■入通院歴や持病のある人へ
通常、ワーキングホリデー保険に加入する時には、健康に関する告知が求められます。
直近で入院や通院をしたことのある人や、持病・既往症の治療を続けている人などは申告が必要となります。
保険会社への手続きや申し込みに時間がかかることもあるので、早めに確認するようにしましょう。
弊社でも持病のある方や薬を服用されている方の海外旅行保険のご相談やご加入を多く受け付けていますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。
■加入証明書(保険付保証明書)が必要な場合
VISA申請にあたっては、英文の保険契約証(付保証明書)という書類の提出が必要になります。
弊社でもよくお客様に発送しておりますが、日数を要することもあります。
英文契約証・証明書をご希望の方は、保険お申し込み後にお早めにご依頼ください。
また、一般的にはネットから海外旅行保険に申込できるのは出発予定日から2~3か月前となっているのですが、VISA申請のためもっと早くに保険加入したいという場合は特別方法にて対応可能ですのでご連絡ください。
その他、ニュージーランドで生活する上での注意
ニュージーランドでは日本と異なる部分が多くありますので、生活する上で次のようなことに注意しましょう。
ニュージーランドの衛生事情
ニュージーランドの衛生状態はおおむね良好ですが、魚介類を生食する時は、衛生管理の行き届いたレストランを選ぶなど注意しなければなりません。
水道水もそのまま飲むことができますが、ミネラルウォーターも多く販売されています。
ニュージーランドの治安・犯罪事情
ニュージーランドは、2024年の世界平和度指数において4位にランクインしており、世界的に見ても治安のいい国だと言えるでしょう。
Institute for Economics & Peace 2024年世界平和度指数 ニュージーランドは4位
一方で、外務省によると飲酒に絡む暴行・傷害のほか、置き引きや車上ねらい、空き巣などの窃盗事件が多発しています。
また、性犯罪は日本と比較しても発生率が高いことから、ニュージーランドの治安を過信せず、注意して行動しましょう。
ニュージーランドでの生活では次のようなことに注意しましょう。
■夜間の外出や女性の一人歩きは控える
性犯罪や路上強盗、ひったくりなどの被害に遭うことを避けるため、夜間の外出や女性の一人歩き、一見して危険な雰囲気のある場所への立ち入りは控えましょう。
住居を選ぶ時にも、そのエリアの情報をよく確認し、建物の構造や周辺環境を十分に検討して選ぶことが大切です。
■必要以上の貴重品や現金は持ち歩かない
ニュージーランドは安全な国と言われているものの、置き引きやひったくりが多く発生しています。
特に日本人は他地域からの旅行者よりも現金を多く持ち歩いているというイメージを持たれていると考えられるため、手荷物の管理には注意が必要です。
現金やカードなどの貴重品は必ず身に付け、必要以上の現金は持ち歩かないようにしましょう。
また、レストランでの食事中や観光中など、手荷物から目を離さないように注意しましょう。
さらに、最新のスマホなど高価なものを身に付けているとスリや強盗に遭うリスクが高くなります。
普段の服装や持ち物にも注意し、貴重品はボタンのついたポケットに分散して持つ、ズボンの後ろポケットに入れないなど、工夫しましょう。
外務省海外安全ホームページ ニュージーランド安全対策基礎データ
ニュージーランドの医療制度と医療費
ニュージーランドではホームドクター制を取っており、緊急でない場合はまずホームドクター(General Practitioner=GP)に予約を取って受診します。
GPは「医療センター」や「クリニック」と呼ばれ、NZ $60~70(約5~7千円)程度で診察を受けることができます。
ニュージーランドでは、GPが登録制となっています。
登録は無料で、診察料や処方箋料の優遇、必要に応じて無料の通訳が利用できるため、ニュージーランド入国後は早めに最寄りのクリニックを確認しておくといいでしょう。
GP受診後、専門医を受診するためにはGPに紹介状を書いてもらう必要があります。
専門医は非常に高額な治療費がかかるのが一般的で、10分程度の診察でもNZ $100~200(約9千~1万8千円)かかると言われています。
GPのほか、A&M(アクシデント&メディカル)クリニックや専門医の受診は有料です。
2年以上の就労ビザを取得した外国人は、公立病院の受診についてニュージーランド政府の医療補助金の対象となります。
一方で、ワーキングホリデービザは最長でも12か月(延長した場合でも15か月)のため、補助金を受けることはできません。
■公立病院(Public Hospitals)
公立病院では、救急のほか、GPや専門医から紹介を受けた患者を受け入れています。
外来診察は予約必須となりますが、緊急を要さない「待機医療サービス」では、すべてのサービスで待機時間が生じます。
救急受付では深刻な事故や緊急度の高い病状の患者の治療を行っていますが、最長6時間の待ち時間を要することがあります。
■私営の医療サービス
私営の医療サービスは有料となっており、クリニックごとに料金が異なります。
ワーホリビザで渡航している人は、公立病院であっても医療補助を受けることができず、待ち時間も長くなることから、私営のクリニックを受診することになるでしょう。
GP登録者やコミュニティサービスカード保持者には割引がありますが、海外旅行保険など民間の保険に加入していないと、高額の自己負担が発生することになります。
■事故補償制度(Accident Compensation Corporation )
ニュージーランド国内で発生した事故によるケガについて、治療費を補償するAccident Compensation Corporation (ACC)という制度があります。
ACCが適用される場合は、ワーホリビザで入国した日本人であっても、ニュージーランド国内で受ける治療費は無料となります。
ただし、治療途中で帰国した場合は、日本での治療費は支払われません。
また、医療機関によってはACCが利用できない場合があり、初診料や治療費の自己負担が発生する可能性があります。
救急医療
ニュージーランドの緊急電話番号は「111」です。
緊急の場合は、直接A&Mクリニックを訪れるか、緊急電話番号に連絡し救急車を要請します。
ニュージーランドのほとんどの都市で、救急車が有料で運営されています。
病院の救急サービスは24時間年中無休で運営されており、緊急の場合はGPを経由せず直接病院に行くことが可能です。
日本と異なり、救急車による搬送費用は有料となるため、政府補助を受ける資格がない場合は全額が自己負担となります。
ただし、事故によるケガと認められ、ACC制度が適用された場合は無料です。
この記事の執筆者:木代 晃輔
株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。
損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。
文書管理番号:24G01120