デンマークのワーキングホリデーVISAと選ぶべき海外旅行保険。保険プロが解説
2024年11月時点での情報です。
この記事の目次
この記事の執筆者:木代 晃輔
株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。
損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。
デンマークはヨーロッパの北部に位置し、ノルウェー、スウェーデン、ドイツと国境を接しています。
ユトランド半島と407の島々がありますが、そのうち有人島は70です。
国土の大半は平地で、夏は涼しく、冬は温暖で雨が多いのが特徴です。
デンマークの人口は約560万人で、首都はコペンハーゲン、公用語はデンマーク語です、
EU加盟国ではありますが、ユーロを導入しておらず、自国通貨である「デンマーククローネ」を使用しています。
ビザ申請要件
デンマークのワーホリビザはオンラインで申請することができ、概ね15日以内に審査結果が通知されます。
滞在期間中は、有給の仕事の従事できる期間は最大6か月間に制限されており、基本的には休暇を楽しむことが目的のビザとされています。
項目 | 要件 |
---|---|
滞在可能期間 | 12か月間 |
年齢 | 申請書提出時点で18歳以上、31歳未満 |
申請時に必要な資金 | 15,000デンマーククローネ(約33万円)相当の資金があることを証明する +帰りの航空券または航空券購入費として5,000デンマーククローネ(約10万円) |
申請料 | 無料 |
ビザ発給数 | 制限なし |
申請時期 | 6か月前から |
※1デンマーククローネ=約21円、2024年11月28日時点
The Danish Immigration Service(デンマーク移民局)「Working Holiday for Japanese citizens」
VISA申請の流れ
デンマークのワーホリビザは、オンラインでの申請が可能です。
■Step1:申請資格を確認する
デンマークのワーホリビザを申請するにあたっては、申請資格を満たしていなければなりません。
申請時の年齢のほか、現地での生活資金と、帰りの航空券購入費に相当する資産が必要ですので確認しましょう。
■Step2:オンラインにて申請する
デンマークでは、ビザの申請をオンラインで受け付けています。
申請に必要な書類には、以下のようなものがあります。
・パスポート全ページのコピー
・帰りの航空券を持っていること、または航空券を購入するのに十分な資金があることを証明する書類
・デンマーク滞在中に自活できることを証明する書類
■Step3:ビザ申請センターで生体認証情報を登録する
ビザを申請するためには、生体認証情報として、顔写真と指紋の登録が必要です。
これらの情報は、許可が下りた場合に発行される居住カードのマイクロチップに保存されることになります。
海外旅行保険に加入しておくことが重要!
デンマークでは、現地の医療費が原則無料となっており、ワーキングホリデーでの滞在者も対象となります。
また、ビザ申請要件ともなっていないため、海外旅行保険への加入は必須ではありません。
しかし、処方薬は原則有料となっているほか、私立の病院を受診する場合は医療費の自己負担が発生します。
また、高額な医療費以外にも各種トラブルが想定されるため、海外旅行保険への加入は重要だと言えます。
- Q&A ワーキングホリデーの海外旅行保険の費用の相場・目安はどのくらい?
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木代-
1年間の保険期間で、安い保険会社では大体20万円前後、高い保険会社ですと50万円となっているのが相場です。
保険会社によって行先や年齢に応じて価格(保険料)が変わってくるところもあり、40~50万円以上の金額になる保険会社もあります。
昨今の円安や海外医療費インフレでどの保険会社の海外旅行保険とも利益がひっ迫していることから値上げする保険会社が相次いでいて、今後も保険料相場は上がっていくことが予想されます。
弊社が取り扱っている保険会社はまだ値上げせずに20万円~30万円弱で頑張ってくれていますが(詳細は後述します)、もしかしたら今後上がる可能性があります。
- Q&A 日本の健康保険は使えないの?
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木代-
デンマークに限らず、海外では日本の健康保険証を使うことはできません。
そのため海外で病院を受診した時は全額を支払う必要があり、高額な医療費がかかることがあります。健康保険には「海外療養費制度」という制度があって帰国後に申請することで海外での治療費の一部金額の還付を受けることができますが、還付申請の手続きが複雑だったり、還付金が思ったよりもずっと少なかったケースもあるので頼り過ぎは禁物です。
- Q&A クレジットカード付帯保険ではダメなの?
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木代-
デンマークでもクレジットカード付帯保険を活用できる場面があるかもしれません。
しかし、クレジットカード付帯保険はあくまでオマケの保険です。保険内容が十分とは言えないため、次のような点に注意しましょう。
クレジットカードの付帯保険は、多くの場合、補償期間が一定期間だけに限定されます。
例えば楽天カードの付帯保険では渡航から3か月間までとなっており、この期間を超えると補償が終了します。
つまり3か月以上のワーキングホリデーでは保険期間が足らず、VISAの要件を満たすことが出来ないのです。クレカ付帯保険が終了してから海外旅行保険に加入するという案もありますが、海外旅行保険は海外にいる状態で加入することが出来ません。
ワーホリの途中から海外旅行保険に加入することは出来ず、出発前に日本国内から海外旅行保険へ加入しておく必要があります。
海外旅行保険ってどんな保険?メリットとデメリット
海外旅行保険では、さまざまな補償を受けることができます。
代表的な補償には次のようなものがあります(特定の保険会社の補償説明ではなく、あくまで一般的な内容を載せています)。
■治療費用・救援費用
ケガや病気により現地で病院を受診した時や、処方された薬を購入した時にかかった費用が補償されます。
また、ケガや病気で長期入院し、日本から家族が現地に駆けつける際にかかる費用が救援費用として補償されます。
■賠償責任補償
現地で何らかのトラブルにより、第三者に損害を与えてしまったときに保険金が支払われます。
例えば、現地の住まいでお湯を出しっぱなしにして寝てしまい、水浸しになり修理費を請求された時などに補償されます。
■携行品・生活用動産
自分の持ち物が壊れてしまったり、紛失や盗難に遭ってしまったりした時に保険金が支払われます。
例えば、外出先でスマートフォンを盗まれてしまった場合や、カメラを落として壊してしまった場合などです。
特に海外では日本人を狙ったひったくりや強盗などの犯罪が頻発していることから、この補償があると安心です。
海外旅行保険のメリット
海外旅行保険に加入しておくことで、病院を受診した際に治療費などの保険金が受け取れるほか、次のようなメリットがあります。
(特定の保険会社のサービス説明ではなく、あくまで一般的なメリットを載せています)
■治療費のキャッシュレスサービス
海外で病院を受診する時、保険会社から病院へ直接支払いを行う「キャッシュレスサービス」が利用できます。
このサービスを利用すれば、高額な治療費の窓口で支払いや立て替えが不要となります。
■24時間日本語対応のコールセンター
海外旅行保険に加入すると、保険会社のコールセンターが利用できます。
コールセンターでは、医療機関の紹介や手配のほか、パスポートやクレジットカードなどの紛失・盗難時の手続きなど対応を受けられます。
こういった現地での困りごとに、24時間365日、日本語で対応してもらうことが可能です。
■医療通訳サービス
多くの保険会社では、病院を受診する際の医療通訳サービスが提供されています。
ワーホリで海外を訪れる人の中には、現地の言葉に自信がないという人もいるでしょう。
病院を受診する前に保険会社に連絡を入れることで、電話などを利用した医療通訳サービスを受けることができます。
海外旅行保険のデメリット
海外旅行保険に加入する最大のデメリットは、一定のコスト負担(保険料)があることです。
保険会社やプランにもよりますが、一般的に1年間のワーキングホリデーであれば20~40万円程度の保険料がかかります。
分割は出来ず、加入時に一括で支払う必要があるため、まとまった支出が発生します。
デンマークワーホリでの海外旅行保険の選び方
ワーホリ保険は多くの保険会社が取り扱っていますが、自分に合った保険会社やプランを選ぶことが大切です。
特に、次のようなポイントをしっかりと押さえて保険に加入しましょう。
滞在期間をカバーする保険会社を選ぶ
ワーホリ保険に加入するときは、滞在期間を十分にカバーできる期間の加入が必要です。
短期間だけの保険会社もあるので、1年間のような中長期の期間に対応している保険会社を選びましょう。
弊社ではAIG損害保険会社をお勧めしており、1年間(それ以上も可)のワーホリ渡航やネット申込にも対応しています。
プランにもよりますが、保険料は1年間で24万円~30万円です。
帰国時期が明確に決まっていない場合や変更となる可能性がある場合は、無保険の期間が生じないよう、最も長い期間で加入しておくことが大切です。
もし早期に帰国した時には、解約により保険料が返金されるので、保険会社や担当の保険会社に早めに相談しましょう。
必要な補償内容を選ぶ
海外旅行保険でもっとも大切な補償が、現地での医療費を補償する「治療救援費用」です。
海外では想像以上に高額な治療費を請求されることがあるため、保険金額が「無制限」となっているタイプがおすすめです。
弊社のお客様であった実例ですが、海外で心不全により救急搬送され、そのまま緊急手術&入院となり、2,000万円を超える医療費がかかったケースがありました。
重大な疾患のほかにも交通事故や犯罪被害により大きなケガを負ってしまうこともありますから、充実した補償内容を選びましょう。
早めの準備が大切
海外旅行保険はネットから申込できるタイプのものも多くありますが、特別な事情がある場合には加入手続きに時間がかかることがあるため、早めに準備しておきましょう。
■入通院歴や持病のある人へ
通常、ワーキングホリデー保険に加入する時には、健康に関する告知が求められます。
直近で入院や通院をしたことのある人や、持病・既往症の治療を続けている人などは申告が必要となります。
保険会社への手続きや申し込みに時間がかかることもあるので、早めに確認するようにしましょう。
弊社でも持病のある方や薬を服用されている方の海外旅行保険のご相談やご加入を多く受け付けていますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。
■加入証明書(保険付保証明書)が必要な場合
VISA申請にあたっては、英文の保険契約証(付保証明書)という書類の提出が必要になります。
弊社でもよくお客様に発送しておりますが、日数を要することもあります。
英文契約証・証明書をご希望の方は、保険お申し込み後にお早めにご依頼ください。
また、一般的にはネットから海外旅行保険に申込できるのは出発予定日から2~3か月前となっているのですが、VISA申請のためもっと早くに保険加入したいという場合は特別方法にて対応可能ですのでご連絡ください。
その他、デンマークで生活する上での注意
デンマークでは日本と異なる部分が多くありますので、生活する上で次のようなことに注意しましょう。
デンマークの衛生事情
デンマークでは水道水が安全とされているので、そのまま飲むことが可能です。
ただし、日本と異なり硬水のため、口に合わないという人もいるかもしれません。
スーパーなどではミネラルウォーターも多く販売されていますが、炭酸水も多いので購入する時は注意しましょう。
また、公衆トイレのほか商業施設や飲食店にもトイレが整備されています。
店舗利用者のみ利用可能な暗証番号式や、有料のトイレも一般的ですので、利用時には確認が必要です。
デンマークの治安・犯罪事情
デンマークは一般的に「安全な国」というイメージを持つ人も多いですが、強盗や窃盗、詐欺などの犯罪が多発していますので注意が必要です。
特に首都であるコペンハーゲン市内の繁華街や飲食店、観光地のほか、空港や駅などでは旅行者を狙った盗難が多く発生しています。
デンマークでの生活では次のようなことに注意しましょう。
■荷物から目を離さない
観光地などでは日本人を含むアジア系の観光客を狙ったスリや置き引きなどの犯罪が多発しています。
レストランでかばんをイスの背もたれにかけていたり、飲食店のカウンターで脇に置いていたりすると、目を離したわずかな瞬間に持ち去られてしまったという事例があります。
また、レストランなどで席を離れる時は、荷物を置きっぱなしにせず、わずかな時間でも持ち歩くようにしましょう。
■見知らぬ人を安易に信用しない
飲食店や電車内では、知らない人が声をかけてきても、手荷物や貴重品から目を離さないように注意しましょう。
また、周囲で小銭を落とすなどして注意を引き、その隙にスリや置き引きを働く手口があるため、どんな時も自分の手荷物から注意を逸らさないことが大切です。
デンマークの医療制度と医療費
デンマークでは、医療費が原則税金で賄われるため、ワーホリで滞在する日本人も無料となっています。
デンマークの医療サービスは、地方行政区画であるregion(レギオン)と呼ばれる5つの地域が提供しています。
例えば首都であるコペンハーゲンは「デンマーク首都地域」に含まれます。
正規の滞在資格を持っている外国人を含め、デンマークの15歳以上の住民は、医療制度のうちグループ1またはグループ2のいずれかを選択します。
グループ1は、あらかじめホームドクターを選定しておき、緊急時以外はまずホームドクターの診察を受けます。
専門医の診察が必要な時は、ホームドクターに紹介状を書いてもらった上で、指定の医師などの予約を取って受診します。
ホームドクターや専門医の診察にかかる医療費は全額が公共保険で賄われるため、自己負担はありません。
ただし、歯科や物理療法の費用の一部には、自己負担が発生します。
グループ2を選択した場合は、
理学療法士、足療法士、心理学者には医師の紹介状が必要ですが、ホームドクターや専門医などは、自分で選んで自由に受診することができます。
グループ1と同額の診察費用が公共保険により賄われますが、医師が定める治療費との差額を負担する必要があります。
■開業家庭医・ホームドクター( General Practitioner 、GP)
ホームドクターとは、いわゆるかかりつけ医のことです。
デンマークでは、グループ1を選択した人は症状に関わらず、必ず最初にホームドクターを受診します。
ホームドクターは「地域」との契約に基づいて運営されており、軽度の病気であれば診察を行ったり、薬の処方箋を発行したりします。
必要に応じて、専門医などへの紹介状を発行する役割を担っています。
■専門医・病院
専門医は、ホームドクターとは別に、産婦人科や眼科、耳鼻咽喉科などを専門に診察するドクターです。
ホームドクターは公共保険が適用されるため基本的に無料ですが、専門医を受診した場合は、選択したグループによって自己負担が発生することもあります。
病院は各地域によって運営される公営病院のことをいい、専門的な治療や機器、集中治療が必要な患者に対応しています。
日本の総合病院のように直接受診することはできず、必ずホームドクターや専門医からの紹介状が必要です。
ただし、緊急の場合には、緊急医療診察科や救急外来などで診察を受けることも可能です。
救急医療
デンマークでは24時間の緊急医療体制が整備されています。
緊急で病院を受診する必要がある場合は、「112」に連絡して救急車を要請するか、救急外来に対応した病院を直接受診します。
急患部門と緊急医療費は、公共保険が適用されるため、医療費は無料です。
この記事の執筆者:木代 晃輔
株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。
損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。
文書管理番号:24G01120