韓国のワーキングホリデーVISAと選ぶべき海外旅行保険。保険プロが解説
2025年1月時点での情報です。
この記事の目次

この記事の執筆者:木代 晃輔
株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。
損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。
大韓民国(韓国)は日本から近く、羽田空港から仁川国際空港までは2時間半ほど、関西国際空港からは2時間ほどの距離にあり、時差もありません。
首都はソウル特別市、通貨はウォンであり、公用語の韓国語(朝鮮語)にハングル文字を使用しています。
日本と韓国は距離が近く緯度も同程度ということから、韓国にも四季があり、梅雨や台風もあるなど、気候も似ていると言えます。
しかし、日本と比べて夏はより暑く冬はより寒いというように、四季がはっきりしています。
ワーホリビザの申請要件
韓国ワーホリビザは、最長1年間滞在することができ、旅行資金を補充するために付随的な活動として、1週間あたり25時間以内の就業が認められています。
項目 | 要件 |
---|---|
滞在可能期間 | 1年間 |
年齢 | 18歳から25歳 |
申請時に必要な資金 | 30万円以上の銀行残高+往復の航空券または船舶券 ※40万円以上の銀行残高証明書を提出する場合、航空券等は提出不要 |
申請料 | 不要 |
ビザ発給数 | 10,000件 |
駐日本国大韓民国大使館「観光就業(H-1)査証発給再開などのご案内(23.11.22より)」
VISA申請の流れ
韓国のワーホリビザはオンラインでの申請に対応していないため、申請者本人が韓国大使館または総領事館へ直接持参し申請する必要があります。
具体的には次のようなステップで手続きを進めます。
■Step1:申請資格を確認する
韓国のワーホリビザの取得申請にあたっては、申請資格を満たしていなければなりません。
年齢のほか、一定額の預金など、申請要件をクリアしているか確認しましょう。
■Step2:必要な書類を準備する
ビザの申請に必要な書類には次のようなものがあります。
・査証発給申請書
・証明写真1枚
・パスポート
・犯罪経歴証明書
・健康診断書
・保険証書
・在学証明書または最終学歴証明書
・観光就業活動計画書(1年間)
※Wordを使用し、韓国語または英文で作成
・航空券または船舶券のコピー(往復チケット)
※40万円以上の銀行残高証明書を提出する場合は不要
・銀行残高証明書原本(30万円以上)
・住民票
■Step3:駐日本韓国大使館または総領事館に申請する
書類が揃ったら、韓国大使館または総領事館に申請者本人が訪問し、申請します。
日本には、東京の韓国大使館のほか、総領事館は北海道から福岡県まで全国各地に所在しているため、自分の住んでいる地域の管轄を確認し、予約して訪問します。
海外旅行保険への加入が重要
韓国のワーホリビザ申請では、加入期間10か月以上、補償額4,000万ウォン(約435万円)以上の医療保険に加入しておかなければなりません。
滞在期間のすべてをカバーし、十分な補償やサービスの付帯した海外旅行保険に加入しておくようにしましょう。
- Q&A ワーキングホリデーの海外旅行保険の費用の相場・目安はどのくらい?
-
木代-
1年間の保険期間で、安い保険会社では大体20万円前後、高い保険会社ですと50万円となっているのが相場です。
保険会社によって行先や年齢に応じて価格(保険料)が変わってくるところもあり、40~50万円以上の金額になる保険会社もあります。
昨今の円安や海外医療費インフレでどの保険会社の海外旅行保険とも利益がひっ迫していることから値上げする保険会社が相次いでいて、今後も保険料相場は上がっていくことが予想されます。
弊社が取り扱っている保険会社はまだ値上げせずに20万円~30万円弱で頑張ってくれていますが(詳細は後述します)、もしかしたら今後上がる可能性があります。
- Q&A 日本の健康保険は使えないの?
-
木代-
韓国に限らず、海外では日本の健康保険証を使うことはできません。
そのため海外で病院を受診した時は全額を支払う必要があり、高額な医療費がかかることがあります。健康保険には「海外療養費制度」という制度があって帰国後に申請することで海外での治療費の一部金額の還付を受けることができますが、還付申請の手続きが複雑だったり、還付金が思ったよりもずっと少なかったケースもあるので頼り過ぎは禁物です。
- Q&A クレジットカード付帯保険ではダメなの?
-
木代-
クレジットカード付帯保険はあくまでオマケの保険です。
医療保障の上限金額が少ないなど、保険内容は不十分のためお勧めできません。保険期間も短いため、ワーキングホリデー期間中の保険としては心もとないものになるでしょう。
例えば楽天カードの付帯保険では渡航から3か月間までとなっており、この期間を超えると補償が終了します。クレジットカード付帯保険ではなく、海外旅行保険への加入を推奨します。
海外旅行保険ってどんな保険?メリットとデメリット
海外旅行保険では、さまざまな補償を受けることができます。
代表的な補償には次のようなものがあります(特定の保険会社の補償説明ではなく、あくまで一般的な内容を載せています)。
■治療費用・救援費用
ケガや病気により現地で病院を受診した時や、処方された薬を購入した時にかかった費用が補償されます。
また、ケガや病気で長期入院し、日本から家族が現地に駆けつける際にかかる費用が救援費用として補償されます。
■賠償責任補償
現地で何らかのトラブルにより、第三者に損害を与えてしまったときに保険金が支払われます。
例えば、現地の住まいでお湯を出しっぱなしにして寝てしまい、水浸しになり修理費を請求された時などに補償されます。
■携行品・生活用動産
自分の持ち物が壊れてしまったり、紛失や盗難に遭ってしまったりした時に保険金が支払われます。
例えば、外出先でスマートフォンを盗まれてしまった場合や、カメラを落として壊してしまった場合などです。
特に海外では日本人を狙ったひったくりや強盗などの犯罪が頻発していることから、この補償があると安心です。
海外旅行保険のメリット
海外旅行保険に加入しておくことで、病院を受診した際に治療費などの保険金が受け取れるほか、次のようなメリットがあります。
(特定の保険会社のサービス説明ではなく、あくまで一般的なメリットを載せています)
■治療費のキャッシュレスサービス
海外で病院を受診する時、保険会社から病院へ直接支払いを行う「キャッシュレスサービス」が利用できます。
このサービスを利用すれば、高額な治療費の窓口で支払いや立て替えが不要となります。
■24時間日本語対応のコールセンター
海外旅行保険に加入すると、保険会社のコールセンターが利用できます。
コールセンターでは、医療機関の紹介や手配のほか、パスポートやクレジットカードなどの紛失・盗難時の手続きなど対応を受けられます。
こういった現地での困りごとに、24時間365日、日本語で対応してもらうことが可能です。
■医療通訳サービス
多くの保険会社では、病院を受診する際の医療通訳サービスが提供されています。
ワーホリで海外を訪れる人の中には、現地の言葉に自信がないという人もいるでしょう。
病院を受診する前に保険会社に連絡を入れることで、電話などを利用した医療通訳サービスを受けることができます。
海外旅行保険のデメリット
海外旅行保険に加入する最大のデメリットは、一定のコスト負担(保険料)があることです。
保険会社やプランにもよりますが、一般的に1年間のワーキングホリデーであれば20~40万円程度の保険料がかかります。
分割は出来ず、加入時に一括で支払う必要があるため、まとまった支出が発生します。
韓国ワーホリでの海外旅行保険の選び方
ワーホリ保険は多くの保険会社が取り扱っていますが、自分に合った保険会社やプランを選ぶことが大切です。
特に、次のようなポイントをしっかりと押さえて保険に加入しましょう。
滞在期間をカバーする保険会社を選ぶ
韓国滞在中に病院にかかることになればその医療費は全額自己負担となってしまうため、滞在期間をしっかりとカバーした海外旅行保険に加入しておくことが重要です。
短期間プランだけしか販売していない保険会社もありますので、かならず中長期の補償期間に対応している保険会社を選びましょう。
弊社ではAIG損害保険会社をお勧めしており、1年間(それ以上も可)のワーホリ渡航やネット申込にも対応しています。
プランにもよりますが、保険料は1年間で24万円~30万円です。
帰国時期が明確に決まっていない場合や変更となる可能性がある場合は、無保険の期間が生じないよう、最も長い期間で加入しておくことが大切です。
もし早期に帰国した時には、解約により保険料が返金されるので、保険会社や担当の保険会社に早めに相談しましょう。
必要な補償内容を選ぶ
海外旅行保険でもっとも大切な補償が、現地での医療費を補償する「治療救援費用」です。
海外では想像以上に高額な治療費を請求されることがあるため、保険金額が「無制限」となっているタイプがおすすめです。
弊社のお客様であった実例ですが、海外で心不全により救急搬送され、そのまま緊急手術&入院となり、2,000万円を超える医療費がかかったケースがありました。
重大な疾患のほかにも交通事故や犯罪被害により大きなケガを負ってしまうこともありますから、充実した補償内容を選びましょう。
早めの準備が大切
海外旅行保険はネットから申込できるタイプのものも多くありますが、特別な事情がある場合には加入手続きに時間がかかることがあるため、早めに準備しておきましょう。
■入通院歴や持病のある人へ
通常、ワーキングホリデー保険に加入する時には、健康に関する告知が求められます。
直近で入院や通院をしたことのある人や、持病・既往症の治療を続けている人などは申告が必要となります。
保険会社への手続きや申し込みに時間がかかることもあるので、早めに確認するようにしましょう。
弊社でも持病のある方や薬を服用されている方の海外旅行保険のご相談やご加入を多く受け付けていますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。
■加入証明書(保険付保証明書)が必要な場合
韓国ワーホリビザ申請時には、海外旅行保険への加入を証明する書類の提出が求められます。
弊社の取り扱っているAIG損保の海外旅行保険は、英語での証明書発行が可能です。
弊社では加入証明書をお客様に発送する機会も多いですが、発行には日数を要することもあります。
英文契約証・証明書をご希望の方は、保険お申し込み後にお早めにご依頼ください。
また、一般的にはネットから海外旅行保険に申込できるのは出発予定日から2~3か月前となっているのですが、VISA申請のためもっと早くに保険加入したいという場合は特別方法にて対応可能ですのでご連絡ください。
その他、韓国で生活する上での注意
韓国では日本と異なる部分が多くありますので、生活する上で次のようなことに注意しましょう。
韓国の衛生事情
韓国では衛生インフラは相当整備されていますが、一部飲食店や屋台など衛生状態が良くないお店での食事には注意が必要です。
特に、食中毒や肝炎等の原因となる恐れもあるため、一見して衛生状態が良くないと思われる飲食店や屋台では生ものの飲食は避けましょう。
なお、水道水の安全性は問題ないものの、硬水のため市販のミネラルウォーターを飲んでいる人も多いようです。
韓国の治安・犯罪事情
韓国の治安は世界的に見ても安全度が高いとされています。
日本と似たような雰囲気も感じられますが、あくまでも外国であることを忘れずに、次のようなことに注意が必要です。
■貴重品の管理を徹底し、詐欺にも注意する
韓国でも諸外国と同様に、スリや置き引き、詐欺などの犯罪には特に注意が必要です。
人混みはできるだけ避け、移動する時は貴重品を身体から離さないようにしましょう。
特に、日本語で話しかけられたとしても安易に信用せず、甘い言葉や誘いには毅然と「ノー」と断ることが大切です。
■タクシー利用の際は配車アプリを使う
韓国では違法タクシーによるトラブルが多発していることから、流しのタクシーの利用は避け、できるだけ配車アプリを利用するか、周知のタクシー会社で事前予約することがおすすめです。
特に配車アプリを利用すれば、乗車・降車場所やタクシーのナンバー、運転手などがデータとして残るため、トラブルが起きにくいとされています。
■日本とは異なる文化をもつ外国であることを意識して行動する
日本語の「チョウセン」は、韓国人には不快感を持って受け止められ、トラブルに発展する恐れもあるため、使用しないほうがいいでしょう。
また、儒教思想の影響から、日本以上に上下関係の区別が明確なことから、目上や年上の人に対して敬意を払われます。
日本人観光客が訪れるようなホテルや土産物店などでは日本語が通じることも多く、街並みや人々の顔つき、体格など、日本と似ている点も多いため、日本にいる時と変わらないような気分になりがちです。
しかし、文化や行動様式、考え方など異なる面も多く、あくまでも外国であることを意識して行動しなければなりません。
外務省海外安全ホームページ「大韓民国(韓国)安全対策基礎データ」
韓国の医療制度と医療費
韓国の医療水準は、施設、技術ともに、世界的に見ても高水準だといえます。
韓国では日本と同じように公的医療保険制度が導入されていますが、公的医療保険による保障が低いことから、多くの人が民間の医療保険に加入しています。
■公的医療保険制度
韓国では外国人であっても要件を満たせば公的医療保険への加入が可能です。
しかし、窓口での自己負担額は30~60%と、受診する医療機関によっても異なります。
さらに、日本では医療費が高額になった場合でも、「高額療養費制度」によって自己負担額が一定額までに抑えられますが、韓国にはこういった制度がありません。
高額な医療費には海外旅行保険での備えがやはり大切です。
実際に日本の外務省が、「旅行中に脳梗塞や心臓病等の重病で倒れて、高額な入院費や日本への緊急移送費が発生して支払いに困るケースが多発している」として、海外旅行保険への加入を呼びかけています。
加入保険料は所得によって算出され、2023年度の平均保険料は143,840ウォン(約16,000円)とされています。
■病院
ヨーロッパのようなホームドクター制度はありませんが、開業医(個人クリニック)は多数あり、日本語を話せる医師も多いとされています。
一方で、都市部には多数の病院(総合病院)がありますが、ほとんどの病院で日本語が通じないため、外国人は国際クリニック(外国人診療所)を備えた病院を受診することとなります。
ソウル市内で日本語が通じる病院は、在大韓民国日本大使館の「安全マニュアル」内に掲載されていますので、韓国滞在時には確認しておくといいでしょう。
在大韓民国日本国大使館「令和6年度版『安全マニュアル』」
救急医療
韓国の救急ダイヤルは日本と同じ「119」で、24時間365日対応しています。
韓国語だけでなく、日本語や英語などの多言語に対応していますので、「ジャパニーズプリーズ」と伝えると、日本語通訳者を介して、病院や薬局の紹介、医療相談が可能です。
都市部には24時間の救急体制を整えた病院が多数ありますので、緊急時にはホテル等から病院を手配することもできます。

この記事の執筆者:木代 晃輔
株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。
損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。
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