スウェーデンのワーキングホリデーVISAと選ぶべき海外旅行保険。保険プロが解説
2024年12月時点での情報です。
この記事の目次
この記事の執筆者:木代 晃輔
株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。
損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。
スウェーデン王国はヨーロッパ北部、スカンジナビア半島の東側に位置しています。
人口は約1,055万人、首都はストックホルムで、公用語はスウェーデン語です。
北欧の高緯度地域に位置することから、夏の夜は短く、冬の夜は長くなっています。
一方で、2月の平均気温はー2℃と、高緯度のわりには温暖な気候です。
ワーホリビザの申請要件
スウェーデンのワーホリビザでは、最長1年間滞在することが可能です。
項目 | 要件 |
---|---|
滞在可能期間 | 1年間 |
年齢 | 18歳から30歳まで |
申請時に必要な資金 | スウェーデンの生活に最初に必要な資金として、少なくとも15,000スウェーデンクローナ(約20万円) 帰国のための航空券または、航空券の購入に十分な資金 |
申請料 | 日本国民は無料 |
ビザ発給数 | 制限なし |
海外旅行保険への加入 | スウェーデンで有効な健康保険への加入が必要 |
スウェーデン移民庁「Working holiday visa for young people」
VISA申請の流れ
スウェーデンのビザ申請はオンライン手続きに対応しています。
申請は必要な書類を揃えた上で、スウェーデン移民庁のWebサイトから行います。
具体的には次のようなステップで申請します。
■Step1:申請資格を確認する
スウェーデンのワーホリビザの取得申請にあたっては、申請資格を満たしていなければなりません。
年齢のほか、一定額の預金、海外旅行保険への加入など、申請要件をクリアしているか確認しましょう。
■Step2:必要な書類を準備する
ビザの申請に必要な書類には次のようなものがあります。
・パスポート(滞在期間中有効なもの)
・銀行の残高を証明する取引明細書
・帰りの航空券のコピーまたは航空券の購入に十分な資金があることを証明する書類
・海外旅行保険の加入証明書
■Step3:移民庁のWebサイトで申請状況を確認する
申請状況は移民庁のWebサイトにログインして確認できます。
ビザの発給が決定された場合も同様に移民庁のWebサイトで確認が必要となります。
海外旅行保険への加入が必須!
スウェーデンのワーホリビザを申請するにあたっては、滞在期間をカバーする海外旅行保険に加入しておく必要があります。
補償内容をしっかりと確認して、要件をクリアしたプランを選択しましょう。
- Q&A ワーキングホリデーの海外旅行保険の費用の相場・目安はどのくらい?
-
木代-
1年間の保険期間で、安い保険会社では大体20万円前後、高い保険会社ですと50万円となっているのが相場です。
保険会社によって行先や年齢に応じて価格(保険料)が変わってくるところもあり、40~50万円以上の金額になる保険会社もあります。
昨今の円安や海外医療費インフレでどの保険会社の海外旅行保険とも利益がひっ迫していることから値上げする保険会社が相次いでいて、今後も保険料相場は上がっていくことが予想されます。
弊社が取り扱っている保険会社はまだ値上げせずに20万円~30万円弱で頑張ってくれていますが(詳細は後述します)、もしかしたら今後上がる可能性があります。
- Q&A 日本の健康保険は使えないの?
-
木代-
スウェーデンに限らず、海外では日本の健康保険証を使うことはできません。
そのため海外で病院を受診した時は全額を支払う必要があり、高額な医療費がかかることがあります。健康保険には「海外療養費制度」という制度があって帰国後に申請することで海外での治療費の一部金額の還付を受けることができますが、還付申請の手続きが複雑だったり、還付金が思ったよりもずっと少なかったケースもあるので頼り過ぎは禁物です。
- Q&A クレジットカード付帯保険ではダメなの?
-
木代-
スウェーデンのワーホリでは、滞在期間中を補償する医療保険として海外旅行保険に加入することが必要で、VISA申請時にその証明書を提出する必要があります。
クレジットカード付帯保険では不可となります。
海外旅行保険ってどんな保険?メリットとデメリット
海外旅行保険では、さまざまな補償を受けることができます。
代表的な補償には次のようなものがあります(特定の保険会社の補償説明ではなく、あくまで一般的な内容を載せています)。
■治療費用・救援費用
ケガや病気により現地で病院を受診した時や、処方された薬を購入した時にかかった費用が補償されます。
また、ケガや病気で長期入院し、日本から家族が現地に駆けつける際にかかる費用が救援費用として補償されます。
■賠償責任補償
現地で何らかのトラブルにより、第三者に損害を与えてしまったときに保険金が支払われます。
例えば、現地の住まいでお湯を出しっぱなしにして寝てしまい、水浸しになり修理費を請求された時などに補償されます。
■携行品・生活用動産
自分の持ち物が壊れてしまったり、紛失や盗難に遭ってしまったりした時に保険金が支払われます。
例えば、外出先でスマートフォンを盗まれてしまった場合や、カメラを落として壊してしまった場合などです。
特に海外では日本人を狙ったひったくりや強盗などの犯罪が頻発していることから、この補償があると安心です。
海外旅行保険のメリット
海外旅行保険に加入しておくことで、病院を受診した際に治療費などの保険金が受け取れるほか、次のようなメリットがあります。
(特定の保険会社のサービス説明ではなく、あくまで一般的なメリットを載せています)
■治療費のキャッシュレスサービス
海外で病院を受診する時、保険会社から病院へ直接支払いを行う「キャッシュレスサービス」が利用できます。
このサービスを利用すれば、高額な治療費の窓口で支払いや立て替えが不要となります。
■24時間日本語対応のコールセンター
海外旅行保険に加入すると、保険会社のコールセンターが利用できます。
コールセンターでは、医療機関の紹介や手配のほか、パスポートやクレジットカードなどの紛失・盗難時の手続きなど対応を受けられます。
こういった現地での困りごとに、24時間365日、日本語で対応してもらうことが可能です。
■医療通訳サービス
多くの保険会社では、病院を受診する際の医療通訳サービスが提供されています。
ワーホリで海外を訪れる人の中には、現地の言葉に自信がないという人もいるでしょう。
病院を受診する前に保険会社に連絡を入れることで、電話などを利用した医療通訳サービスを受けることができます。
海外旅行保険のデメリット
海外旅行保険に加入する最大のデメリットは、一定のコスト負担(保険料)があることです。
保険会社やプランにもよりますが、一般的に1年間のワーキングホリデーであれば20~40万円程度の保険料がかかります。
分割は出来ず、加入時に一括で支払う必要があるため、まとまった支出が発生します。
スウェーデンワーホリでの海外旅行保険の選び方
ワーホリ保険は多くの保険会社が取り扱っていますが、自分に合った保険会社やプランを選ぶことが大切です。
特に、次のようなポイントをしっかりと押さえて保険に加入しましょう。
滞在期間をカバーする保険会社を選ぶ
スウェーデンワーホリでは、スウェーデン国内で有効な海外旅行保険に加入しなければなりません。
当然ながら滞在期間中は補償されている必要がありますが、短期間プランだけしか販売していない保険会社もあります。
かならず中長期の補償期間に対応している保険会社を選びましょう。
弊社ではAIG損害保険会社をお勧めしており、1年間(それ以上も可)のワーホリ渡航やネット申込にも対応しています。
プランにもよりますが、保険料は1年間で24万円~30万円です。
帰国時期が明確に決まっていない場合や変更となる可能性がある場合は、無保険の期間が生じないよう、最も長い期間で加入しておくことが大切です。
もし早期に帰国した時には、解約により保険料が返金されるので、保険会社や担当の保険会社に早めに相談しましょう。
必要な補償内容を選ぶ
海外旅行保険でもっとも大切な補償が、現地での医療費を補償する「治療救援費用」です。
海外では想像以上に高額な治療費を請求されることがあるため、保険金額が「無制限」となっているタイプがおすすめです。
弊社のお客様であった実例ですが、海外で心不全により救急搬送され、そのまま緊急手術&入院となり、2,000万円を超える医療費がかかったケースがありました。
重大な疾患のほかにも交通事故や犯罪被害により大きなケガを負ってしまうこともありますから、充実した補償内容を選びましょう。
早めの準備が大切
海外旅行保険はネットから申込できるタイプのものも多くありますが、特別な事情がある場合には加入手続きに時間がかかることがあるため、早めに準備しておきましょう。
■入通院歴や持病のある人へ
通常、ワーキングホリデー保険に加入する時には、健康に関する告知が求められます。
直近で入院や通院をしたことのある人や、持病・既往症の治療を続けている人などは申告が必要となります。
保険会社への手続きや申し込みに時間がかかることもあるので、早めに確認するようにしましょう。
弊社でも持病のある方や薬を服用されている方の海外旅行保険のご相談やご加入を多く受け付けていますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。
■加入証明書(保険付保証明書)が必要な場合
スウェーデンワーホリでは、申請時に海外旅行保険の加入証明書の提出が必要です。
弊社の取り扱っているAIG損保の海外旅行保険は、英語での証明書発行が可能です。
弊社では加入証明書をお客様に発送する機会も多いですが、発行には日数を要することもあります。
英文契約証・証明書をご希望の方は、保険お申し込み後にお早めにご依頼ください。
また、一般的にはネットから海外旅行保険に申込できるのは出発予定日から2~3か月前となっているのですが、VISA申請のためもっと早くに保険加入したいという場合は特別方法にて対応可能ですのでご連絡ください。
その他、スウェーデンで生活する上での注意
スウェーデンでは日本と異なる部分が多くありますので、生活する上で次のようなことに注意しましょう。
スウェーデンの衛生事情
スウェーデンでは水道水を安全に飲むことができます。
11月から1月の冬季は、日照時間が1日平均1~2時間と極端に短く、ビタミンDが不足しがちになります。
スウェーデンの治安・犯罪事情
スウェーデンは一般的には治安がいいとされていますが、ギャング間の抗争による発砲事件や爆発物関係の事件が高い水準で発生しているため、十分な警戒が必要です。
また、諸外国と同様に日本人観光客をターゲットとしたスリやひったくりなどの窃盗犯罪も多く発生しています。
犯罪被害が多く発生している場所は、空港や地下鉄駅構内、列車やフェリーなどの交通機関などです。
ほかにも、旧市街(ガムラスタン)やヴァーサ号博物館などの観光スポット、ホテルやレストラン、デパートのほか、酒類を提供する飲食店が多数ある繁華街などでも注意が必要です。
■夜間の一人歩きや、ひと気のない道路は避ける
昼間は安全な場所でも夜間は雰囲気が大きく異なる場所があります。
夜間の一人歩きは控え、できるだけ人通りが多く街灯が整備された明るい道路を歩くことが大切です。
また、日常の行動パターンを把握されて被害に遭うことも考えられます。
そのため、普段から行動をパターン化せず、ルートや時間をずらしたり、危険を感じた時には商業施設に入ってやり過ごしたりなど対策が取れるよう、余裕を持った行動が重要です。
■荷物から目を離さない
普段から不必要な貴重品を持ち歩くことは控え、持ち歩く必要のある貴重品は、ポケットやポーチなど分散して持つことが大切です。
もし知らない人に道を聞かれるなど話しかけられたとしても、手荷物やスマートフォンなどの貴重品は手放さないよう注意しましょう。
■テロに備える意識を持つ
2023年8月17日に、スウェーデン政府はスウェーデンにおけるテロ脅威レベルを5段階中の3段階目(増大した脅威)から4段階目(高い脅威)に引き上げ、2024年12月現在まで継続しています。
テロの標的となりやすい、観光施設やイベント会場、レストランやショッピングモールのほか、公共交通機関など、人が多く集まる施設では警戒が必要です。
不審な状況を察知した場合はできるだけ早くその場を離れ、爆発や銃声など不測の事態に巻きこまれた際には、低い姿勢を保ちつつ速やかに安全なところに対比することが重要です。
外務省海外安全ホームページ「スウェーデン 安全対策基礎データ」
スウェーデンの医療制度と医療費
スウェーデンの医療施設や医療技術は高水準にあります。
一方で、診察予約を取ることが難しく、救急外来でも重症者以外は数時間待たされることもめずらしくありません。
スウェーデンに住民登録がある人の医療費は、基本的に税金で賄われています。
医療費はランスティングといわれる広域自治体が独自に決定していますが、自己負担額には上限が設定されており、公的医療サービスの対象者であれば、あまり高額な費用はかかりません。
医療施設はレギオンによる公営サービスを中心に提供されています。
高度先進的な医療を提供する大学病院などの総合病院と、プライマリケアを担当する地域医療センターというように、医療機関ごとに役割が明確に分かれています。
かかりつけ医制度が採用されており、プライマリケアを担当する地区の診療所を家庭医として登録します。
救急医療
緊急ダイヤルは「112」で、警察・消防・救急の共通です。
自力での移動が可能な場合は救急外来に直接出向くこともできますが、待ち時間が長くなることは覚悟しておく必要があります。
また、医療ガイド電話「1177」も公的サービスとして、医学的なアドバイスや病院情報などを24時間体制で提供しています。
なお、医療ガイド電話は英語での対応も可能となっています。
この記事の執筆者:木代 晃輔
株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。
損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。
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