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カナダのワーキングホリデーVISAと選ぶべき海外旅行保険。保険プロが解説

投稿日:2025年01月14日

カナダのワーキングホリデー。VISA要件と選ぶべき海外旅行保険を保険プロが解説

2024年12月時点での情報です。


木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。

損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。

カナダは北アメリカ大陸北部に位置し、998.5万平方キロメートルという世界第二位、日本の約27倍の広大な国土面積を持つ国です。
人口は約4,010万人、首都はオタワで、公用語は英語とフランス語、通貨はカナダドルを使用しています。

カナダの位置

カナダは日本と同じように四季があり、夏は涼しく快適ですが、冬は厳しい寒さです。

ワーホリビザの申請要件

カナダのワーホリビザでは、最長1年間滞在することが可能です。
滞在期間中は、就学は6か月以内、就業に関しては期間の制限はありません。

カナダはワーキングホリデーの渡航先として非常に人気がありますが、受け入れ人数は例年6,500名の制限が設けられています。

2024年12月31日時点ですでに2025年シーズンの受付が開始されており、応募者数や招待レターの発行数などはカナダ移民局のWebサイトにおいて、週ごとに最新データが公開されています。
カナダへのワーホリを希望する人は早めに確認しておきましょう。

項目 要件
滞在可能期間 12か月間
年齢 18歳から30歳まで
申請時に必要な資金 最低2,500カナダドル(約27万円)
申請料 $179.75(IECプログラム参加費) + $100(ワークビザ申請料)の 計 $279.75 カナダドル(約3万円)
ビザ発給数 6,500名
海外旅行保険への加入 滞在期間中有効な医療保険への加入が必要

カナダ政府「Work and travel in Canada with International Experience Canada」

VISA申請の流れ

カナダのワーホリビザはオンラインでほとんどの手続きが完了しますが、まずはその年度分の募集に応募するところからスタートします
具体的な申請手続きは、次のようなステップです。

■Step1:当年度分の募集に応募する
まずはカナダ政府のWebサイトからIEC(International Experience Canada)アカウントを作成し、その年の募集に応募します。
対象に選ばれると招待レターが届きます。

■Step2:オンラインでビザを申請する
招待レターを受け取ったら、招待を受け入れるかどうか10日間の猶予が設けられています。
招待を受け入れた日から20日以内に、オンラインでビザの申請を行います。

申請にあたっては、パスポートのほか履歴書、写真、家族情報などが必要です。
また、この段階で申請費用を支払います。

■Step3:生体認証情報を登録する
申請完了後、生体認証情報として指紋と顔写真の登録が必要です。
登録手続きは、東京または大阪のビザ申請センターへ予約して訪問して行います。

海外旅行保険への加入が必須!

カナダワーホリでは、全滞在期間をカバーする健康保険への加入が必要となっています。
加入を証明する書類は、ビザ申請時の提出は求められませんが、カナダへ入国する際に提示しなければならない場合があり、加入していないと入国が認められません。

そのため、滞在期間中をカバーした海外旅行保険に加入し、加入証明書類を準備しておくようにしましょう。

Q&A ワーキングホリデーの海外旅行保険の費用の相場・目安はどのくらい?
ウィズハート 木代
木代

1年間の保険期間で、安い保険会社では大体20万円前後、高い保険会社ですと50万円となっているのが相場です。

保険会社によって行先や年齢に応じて価格(保険料)が変わってくるところもあり、40~50万円以上の金額になる保険会社もあります。

昨今の円安や海外医療費インフレでどの保険会社の海外旅行保険とも利益がひっ迫していることから値上げする保険会社が相次いでいて、今後も保険料相場は上がっていくことが予想されます。

弊社が取り扱っている保険会社はまだ値上げせずに20万円~30万円弱で頑張ってくれていますが(詳細は後述します)、もしかしたら今後上がる可能性があります。

Q&A 日本の健康保険は使えないの?
ウィズハート 木代
木代

カナダに限らず、海外では日本の健康保険証を使うことはできません
そのため海外で病院を受診した時は全額を支払う必要があり、高額な医療費がかかることがあります。

健康保険には「海外療養費制度」という制度があって帰国後に申請することで海外での治療費の一部金額の還付を受けることができますが、還付申請の手続きが複雑だったり、還付金が思ったよりもずっと少なかったケースもあるので頼り過ぎは禁物です。

Q&A クレジットカード付帯保険ではダメなの?
ウィズハート 木代
木代

カナダのワーホリでは、滞在期間中を補償する保険に加入しておくことが必要で、入国時にその証明書の提示が求められることがあります。

クレジットカード付帯保険のみでは滞在期間中の補償が不足してしまうため、入国時に問題発生の恐れがあります。
海外旅行保険に必ず加入するようにしましょう。

海外旅行保険ってどんな保険?メリットとデメリット

海外旅行保険では、さまざまな補償を受けることができます。
代表的な補償には次のようなものがあります(特定の保険会社の補償説明ではなく、あくまで一般的な内容を載せています)。

■治療費用・救援費用
ケガや病気により現地で病院を受診した時や、処方された薬を購入した時にかかった費用が補償されます。
また、ケガや病気で長期入院し、日本から家族が現地に駆けつける際にかかる費用が救援費用として補償されます。

■賠償責任補償
現地で何らかのトラブルにより、第三者に損害を与えてしまったときに保険金が支払われます。
例えば、現地の住まいでお湯を出しっぱなしにして寝てしまい、水浸しになり修理費を請求された時などに補償されます。

■携行品・生活用動産
自分の持ち物が壊れてしまったり、紛失や盗難に遭ってしまったりした時に保険金が支払われます。
例えば、外出先でスマートフォンを盗まれてしまった場合や、カメラを落として壊してしまった場合などです。

特に海外では日本人を狙ったひったくりや強盗などの犯罪が頻発していることから、この補償があると安心です。

海外旅行保険のメリット

海外旅行保険に加入しておくことで、病院を受診した際に治療費などの保険金が受け取れるほか、次のようなメリットがあります。
(特定の保険会社のサービス説明ではなく、あくまで一般的なメリットを載せています)

■治療費のキャッシュレスサービス
海外で病院を受診する時、保険会社から病院へ直接支払いを行う「キャッシュレスサービス」が利用できます。
このサービスを利用すれば、高額な治療費の窓口で支払いや立て替えが不要となります。

■24時間日本語対応のコールセンター
海外旅行保険に加入すると、保険会社のコールセンターが利用できます。
コールセンターでは、医療機関の紹介や手配のほか、パスポートやクレジットカードなどの紛失・盗難時の手続きなど対応を受けられます。
こういった現地での困りごとに、24時間365日、日本語で対応してもらうことが可能です。

■医療通訳サービス
多くの保険会社では、病院を受診する際の医療通訳サービスが提供されています。
ワーホリで海外を訪れる人の中には、現地の言葉に自信がないという人もいるでしょう。
病院を受診する前に保険会社に連絡を入れることで、電話などを利用した医療通訳サービスを受けることができます。

海外旅行保険のデメリット

海外旅行保険に加入する最大のデメリットは、一定のコスト負担(保険料)があることです。
保険会社やプランにもよりますが、一般的に1年間のワーキングホリデーであれば20~40万円程度の保険料がかかります。
分割は出来ず、加入時に一括で支払う必要があるため、まとまった支出が発生します。

カナダワーホリでの海外旅行保険の選び方

ワーホリ保険は多くの保険会社が取り扱っていますが、自分に合った保険会社やプランを選ぶことが大切です。
特に、次のようなポイントをしっかりと押さえて保険に加入しましょう。

滞在期間をカバーする保険会社を選ぶ

カナダワーホリでは、滞在期間中有効な海外旅行保険に加入しなければなりません。
しかし、短期間プランだけしか販売していない保険会社もあります。
かならず中長期の補償期間に対応している保険会社を選びましょう

弊社ではAIG損害保険会社をお勧めしており、1年間(それ以上も可)のワーホリ渡航やネット申込にも対応しています。
プランにもよりますが、保険料は1年間で24万円~30万円です。

帰国時期が明確に決まっていない場合や変更となる可能性がある場合は、無保険の期間が生じないよう、最も長い期間で加入しておくことが大切です。
もし早期に帰国した時には、解約により保険料が返金されるので、保険会社や担当の保険会社に早めに相談しましょう。

必要な補償内容を選ぶ

海外旅行保険でもっとも大切な補償が、現地での医療費を補償する「治療救援費用」です。
海外では想像以上に高額な治療費を請求されることがあるため、保険金額が「無制限」となっているタイプがおすすめです。

弊社のお客様であった実例ですが、海外で心不全により救急搬送され、そのまま緊急手術&入院となり、2,000万円を超える医療費がかかったケースがありました

重大な疾患のほかにも交通事故や犯罪被害により大きなケガを負ってしまうこともありますから、充実した補償内容を選びましょう。

早めの準備が大切

海外旅行保険はネットから申込できるタイプのものも多くありますが、特別な事情がある場合には加入手続きに時間がかかることがあるため、早めに準備しておきましょう。

■入通院歴や持病のある人へ
通常、ワーキングホリデー保険に加入する時には、健康に関する告知が求められます。
直近で入院や通院をしたことのある人や、持病・既往症の治療を続けている人などは申告が必要となります。

保険会社への手続きや申し込みに時間がかかることもあるので、早めに確認するようにしましょう。
弊社でも持病のある方や薬を服用されている方の海外旅行保険のご相談やご加入を多く受け付けていますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

海外旅行保険のご相談・お問合せはこちら

■加入証明書(保険付保証明書)が必要な場合
カナダワーホリでは、入国時に海外旅行保険の加入証明書類の提示が求められることがあります。
弊社の取り扱っているAIG損保の海外旅行保険は、英語での証明書発行が可能です。

弊社では加入証明書をお客様に発送する機会も多いですが、発行には日数を要することもあります。
英文契約証・証明書をご希望の方は、保険お申し込み後にお早めにご依頼ください。

また、一般的にはネットから海外旅行保険に申込できるのは出発予定日から2~3か月前となっているのですが、VISA申請のためもっと早くに保険加入したいという場合は特別方法にて対応可能ですのでご連絡ください。

その他、カナダで生活する上での注意

カナダでは日本と異なる部分が多くありますので、生活する上で次のようなことに注意しましょう。

カナダの衛生事情

カナダでは水質検査が厳格に行われており、水道水を飲むことができ、飲食店でも提供されています。
一方で、ミネラル分の多い硬水の地域もあるため、市販のミネラルウォーターを活用しましょう。
また、公衆トイレも整備されており、日本と同じように無料で使うことができます。

カナダの治安・犯罪事情

カナダは一般的に治安がいいと言われていますが、日本と比較すると犯罪発生率は約10倍の水準となっています。
日本人の渡航者・滞在者が被害に遭う事案としては、近年多発しているギャング絡みの発砲・暴力事件のほか、スリや置き引きといった窃盗犯罪などが多くみられます。

カナダでは次のような点に注意しましょう。

■夜間の一人歩きは避け、知らない人には警戒する
夜間の一人歩きは危険です。
特に暗く人通りの少ない場所は避けて、明るい通りや人通りの多い場所を選んで通行しましょう。
歩く時には荷物を身体の前に抱えるなど、犯罪を警戒している様子を示すことで、犯罪被害に遭う確率を低くできるとされています。

■現金や貴重品は必要以上に持ち歩かず、盗難や窃盗に注意する
日本人を含めたアジア系の観光客は多額の現金を持っていると考えている窃盗グループによって、日本人がターゲットとされている恐れがあります。
多額の現金や貴重品はできるだけ持ち歩かず、被害に遭った場合に備えて、分散して持つようにすることがおすすめです。

また、パスポートを狙った窃盗も多発しているため、脱いだ上着などのポケットに入れたまま放置せず、必ず身に付けて携行してください。

外務省海外安全ホームページ「カナダ安全対策基礎データ」

カナダの医療制度と医療費

カナダの一般的な医療水準は高く、たとえば臓器移植やがんについて最先端の治療が行われています。
また、国民皆保険制度が採用されており、コアとされる主たる医療は患者の自己負担が一切なく、すべてが税財源で公的に負担されています。

一方で、ワーホリ滞在者を始めとした外国人は公的医療保険を取得できない州もあり、その場合は医療費が全額自己負担となります。
なお、保険加入者であっても、歯科診療や処方薬剤、リハビリ治療など、コアとされていない医療については全額が自己負担となります。

■家庭医
カナダでは家庭医制度が導入されていることから、病院にかかる時にはまず地域の家庭医を受診する必要があります。
しかし、家庭医は数が少ない上に患者数を制限することが認められているため、新規の患者を受け付けていない場合もめずらしくありません。

家庭医を持てた場合でも予約が1~2週間後ということも日常で、専門医にかかるためには数か月から1年先となることがあります。
このように、受診までの待機期間の長さが大きな問題となっています。

■ウォークインクリニック
家庭医を持っていない患者は、ショッピングモールや街なかにある簡易診療施設であるウォークインクリニックを受診します。
ウォークインクリニックも常時混雑しており、首都オタワ市内では平均的に数時間待ちです。
また、ウォークインクリニックではレントゲンや血液検査、超音波検査などの機器を設置していないところがほとんどのため、外部の検査センターを利用することになります。

近年では医療機関の待ち時間が問題になっており、一部の州では民間の医療機関(プライベートクリニックや検査機関等)が解禁されています。
こういったプライベートクリニックでは医療費が自己負担となりますが、主にカナダの国民保険に加入していない外国人や富裕層などが利用しています。
これらの事情から、高額な医療費の自己負担に対応するためにも、補償の充実した海外旅行保険への加入が重要です

救急医療

カナダの緊急電話は「911」で、警察・消防・救急の共通番号となっています。
また、州ごとに、緊急ではない場合の相談先として、看護師による相談受付ホットラインが24時間365日提供されています。
州ごとに電話番号や日本語通訳サービスの有無が異なるため、滞在する州の番号を確認しておくと安心です。

緊急の場合には、「911」を利用するほか、自分で動ける場合には、救急外来(ER)が予約なしで受診可能です。

木代 晃輔

この記事の執筆者:木代 晃輔

株式会社ウィズハート 代表取締役
神奈川県出身。大学卒業後に損害保険会社で勤務。
株式会社ウィズハートを創業し、保険相談サイト「保険ウィズ」やFP相談サイトを開設。

損保勤務時は損害保険の開発業務に携わり、現在は海外旅行保険や個人賠償責任保険のプロとしても活動中。

文書管理番号:24G01120